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50代転職日記 #9

総菜屋の役員面接、最終選考にやってきた。
相変わらず自宅から遠く離れた本社の会議室で面接が行われた。
社長の息子さんは私より10歳くらい若い。家業を継ぐために勤めていた会社を辞めてこられたそうだ。
2代目にありがちな神経質で猜疑心が強いタイプや、脳味噌お花畑タイプでもない、本当に温厚で優しい人だ。
始めは緊張していたものの、だんだんと打ち解けて気づいたら1時間以上話し込んでしまった。
「あー、入社したい。ここに決まりますように~。神様お願いします。」
御社と同じく急拡大した会社で私は不器用ながらも業務課題を乗り越えてきた。これからの業務課題クリアに関しては再現性があると思う、是非やらせてほしいと力の限り訴えた。
最終面接を終え結果を待つ間、仕事中に日頃会うことがない会社のOBや同僚に次々に会った。
「元気ですか?仕事はどうですか?」と聞かれて、最終面接の結果次第ではもう辞めますとは言えないので、「いやまあボチボチです」と顔をひきつらせながら答えた。また1年後も此処で変わらず働いているかもしれないけれど、もう仕事に対する情熱は完全に失って心ここにあらずの状態。それを見透かされているかのように会社の中でも意味のある人が代わる代わる目の前に現れる。本当に不思議な時間だった。
面接から1週間して、コンサルタントからまた電話が欲しいと連絡があった。折り返すと、いつもの明るい声で「内定出ました。最終面接の評価が高かったようですよ。おめでとうございます!」
転職活動を始めて3ヶ月、一時は応募先もなく途方に暮れて半年から1年の活動を覚悟していたが、やっと内定をいただけた。
内定の受諾をして、次は会社へ辞意を伝えた。次が決まっているので引き留めは無し。次月の中旬を最終出勤にして40日の有給休暇を消化して退職することになった。



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