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「届ける」を考えるだけでいい


マーケティングとは

「マーケティングとは何か」についての定義づけをメモに残しておきたいと思う。

マーケティングとは何か?
それは、「必要な価値」を「必要な人」に届けるための「仕組みづくり」
のことである。

神田昌典 未来実現マーケティングより

この言葉がとてもシンプルで分かりやすくて腑に落ちる。
マーケティングの定義については堅苦しい表現が多く、なかなかスッと自分の中に入ってこない。

例えば、フィリップ・コトラーの定義で

「ターゲット市場を選び出し、優れた顧客価値をつくり出し、分配し、コミュニケーションをすることによって、顧客を獲得し、維持し、増やすための技術と知識である」

引用:コトラーのマーケティング・マネジメント

例えば、商店街のアパレルショップの店長がマーケティングについて学ぼうと思った時、コトラー氏の定義のような日常で使わない語彙で綴られた文章を理解できるだろうか。

理解することが難易度高となり、まずは難しい言語と難しい文脈を理解するところから始まる。
そして、その難しい文脈でおばあちゃんに施策を講じていくわけだが、それがうまくいくようには到底思えない。


例え講じる施策が同じでも、「難しい言語を理解することから始まる」という部分は先ほどの言葉によって省略できる。

ある意味、神田氏の立場からすると、
「商店街のアパレルショップの店長にマーケティングの定義を分かりやすく届ける」というマーケティングが講じられているともいえる。


必要なモノと必要なヒト

次に「必要な価値」と「価値を必要とする人」の部分だが、
これはとてもシンプルな話で、Aを提供したい人とAを必要とする人がいれば市場は成立するという話。

つまり、ラーメンを食べたいと思っている人と、ラーメンを食べて欲しい人がいればいいだけの話だ。

みそラーメンを食べたいと思っている人が5人いれば、みそラーメン5食を。
とんこつラーメンが3人、しょうゆが2人であればそれぞれの人数分を提供すればいい。
ただしここで、「とんこつラーメンが食べたい人が何人いるか分からないんです」
という問題に直面することもある。

そうなった時に、アンケートをとってみたり調査データを活用するという行動になる。

「とんこつラーメン好きが何人いるかわからない」→「アンケートで聞いてみよう」となるわけだ。


届けるということ

最後に届けるという点について

ラーメンを必要としている人がいるのを分かっていて、
ラーメンも用意できているのだが、提供できなければ意味がないということだ。

「必要としている人に、必要なものを届けられない」

お店のメニューに「とんこつラーメン」がなければ注文する人はいないし、
「みそらーめん」の看板だけのお店ならとんこつ好きは避けるだろう。
また、とんこつラーメンをつくるための材料を店まで調達する方法がなければ、
そもそもつくることすらできない。

マーケティングというと、発見される(認知してもらう)ことにSNSをはじめとしたあらゆる手法が用いられる。
そして認知してもらった人に、リピートしてもらうため、忘れられないため、付加価値をつけること重きを置かれがち。

しかし、生活インフラのような根本的なところにマーケティング思考が必要なのではないかと思う。

生活インフラ的な部分に・・・
ある意味この「届ける」という部分が一番重要度が高く、難易度が高い部分だろう。

・貧困の地域に食糧を届けたいが、国交がなく届けられない。
 また、交通網が整備されていなくて届けることができない。
 またまた、交通網はあるが反政府組織のエリアを通過しないと
 いけないため、リスクが高すぎて実行できないなど。

・被災地の避難所にいる赤ちゃんのために、ミルクを届ける。
 持病を持っている人に、症状にあった薬を届ける。
(健康保険証がマイナンバーと紐付けされることで、医療データと連動し、
 必要な場所にどれだけの量を届けたら良いかが可視化される)

このようにみると、マーケティングとはただ単に「売るため」の手法といったものではないことが理解できる。

手法は時代によって大きく変化するものだからこそ、手法に踊らされていないか?を意識する必要があるだろう。


※ 最後に

「一個人がそんなスケールのことを考えても・・・」という葛藤はある。
しかし、「売るため」だけでマーケティングを捉えてしまっていると、結局のところ市場の変化や時代の変化には追ていけないと感じる。
今仕事として「売る」というミクロ的な視点と、「世界の変化」というマクロ的な視点の両軸が必要だろう。

例え商店街のアパレルショップであろうが、マクロで加速した変化は遅かれ小さな街にも訪れる。

まだ表面化していないということは、グラデーション的に生活インフラなどが変化し続けているということ。
準備が整った段階でいっきに表面化し「システムチェンジ」と騒がれる。

1年後、5年後、10年後どうなっているんだろ?
その時々において「自分たちは、どんな人を幸せにしているんだろうか?」
を一日一分だけ考え続けていこうと思う。


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