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theとitsの使い分け


 この記事は前回に引きつづき、森うさぎさんからいただいたコメントに対する私の返事になります。


#前回の記事はこちら   (↓)


  この記事のテーマは2つあります。

 ひとつは
「『that』 と『 it』の使い分け」に関すること
 もう1つは
「その」を意味する「『the』と『its』」の使い分けに関すること、です。

 どちらのテーマも一筋縄ではいきませんし、最初に正直に告白すると、「なんとなくのフィーリング」で用いていることが多いです。

 ですが、私にできる限り、わかりやすくverbalize してみたいと思っています。




(1) 前の文の名詞・語句、あるいは内容を受けるときの「that」と「it」との使い分け


 まず最初に「it」の用法から考えてみましょう。
 「it」は言うまでもなく「それ」という意味です。一番の基本的な使い方は、「it」という言葉より前に登場した単語を指すときの用法です。
 「it」は「それ」なので、
基本的には
①itより前に登場した名詞で、且つ、
②「単数形」の名詞
を指します。

(例文)
 I have a pen. It was made in China. 
(私はペンを1本持っています。それは中国で作られました)

 「It」の前にある単数形の名詞は、
「a pen」しかないので「It = a pen」ですね。

 では次の例文です。

(例文)
He said he was sick, but it was a lie. 
(彼は病気だと言ったが、それはウソでした)

 さきほどの文とは異なり、「it」の前には単数形の名詞がありません。
 この文の「it」が指しているのは「he was sick」ということになります。
 あえて「it」を使わないで書き換えれば、次のようになります。

He said that he was sick
But that he was sick was a lie.

 普通はこんな言い方をすることはありませんが、
『that he was sick 』=『it』
ということです。

 つまり、「it」が使われるのは、「単数形の名詞」であれ、複数の単語から成り立つ「節」であれ、指す内容がきちんとあるときである、と言えます。

 それに対して、「that」が使われる場合はどうでしょうか?

 たとえば、「That is why S +V ~」(そういった訳で)のように「that」が用いられる場合は、「that」より前に話される内容か長かったりして、「it」のときのように「この単語を指している」とか「この語句を指している」ということを明瞭に示すことができません。
 あえて言うなら、「thatより前の部分全部」ということになりますね。

 そのほかにも、たとえば「That's all for today.」(今日はここまで)という表現で「that」は「今日やったこと」を指していることは間違いないけれども、「これとこれとこれ」という意識はないでしょう。


小括 | that と it との使い分け


①「it」には、単数形の名詞であれ、複数個の単語から成り立つ「節」であれ、きちんと指し示している部分がある。

②「that」は漠然と、that 以前に話された内容を包括的に捉えるときに使う。

 私はいちおう、このような使い分けがあると考えています。
 しかしながら、「it」の効力がどこまでおよぶのかは、文脈や話者の気持ちに依る面があるので、「it」と「that」との区別が判然としない場合もあります。

 私自身は、「it」を使うべきか、それとも「that」を使うべきか、と悩んだときには、「,which」とか「, in which case」という「関係代名詞の非制限用法」を用いて英作文しています。
 自信のない表現には近づきたくない、という心理が働きます。

He said nothing, which made her angry. 
(彼は何も言わなかった。それが彼女を怒らせた)

 非制限用法を使えば、「it」や「that」を使わなくても、なんとかなります😊。

 では、次の話題に移ります。


(2) the と its の使い分け


 「the」「定冠詞」と言います。

 「its」には、「それの」という所有格(1人称のmyに相当するもの)と「それのもの」という所有代名詞(1人称のmineに相当するもの)としての用法があります。しかしながら、文法書以外で所有代名詞としての「its」を私は見かけたことがないので、本稿では、「所有格」としての「its」だけを扱うことにします

 さて、困った。

 「冠詞」の話をすれば、まるまる1冊の本でもまとまらないくらい細かな用法があるので、わずか数千字の記事で、その全貌を描くことは無理です。

 ということで、詳細に書くことはあきらめて、定冠詞と人称代名詞のざっくりした話を書きます。

 まず、定冠詞「the」のざっくりした話から書きます。


(3) 定冠詞「the」の用法をざっくりと。


 定冠詞「the」には、様々な用法がありますが、この記事ではとりあえず2つの用法に的を絞ります

 まず、1つ目のthe の用法は、文脈から容易に判断でき、自然と定まる名詞の前に置かれる使い方です。

(例文)
The other day I took a taxi. The driver was a woman, not a man. 
(先日、私はタクシーに乗りました。運転手は男性ではなく、女性でした)

 この文の場合、タクシーに乗ったと言っているのですから、「The driver」と言えば「タクシーの運転手」であることは明白ですね。

 もう1つの使い方は、「総称的な the の用法」です。

The housewife is very busy on weekday mornings. 
(主婦というものは、平日の朝は忙しいものです)

 「総称的な the 」は、「the + 単数形の名詞」で、全体をひっくるめて指します。この例文の場合、特定の主婦を指すのではなく、一般的な主婦のこと全体を指します。主婦という「人」というより、主婦としての「役割」に着眼したものの言い方という感じです。


(4) 人称代名詞と定冠詞の違いが際立つとき。


 人称代名詞の「所有格」と、定冠詞の「the」の違いが際立つのは、次のような例文でしょうか?

(例文)
He hit me on the head. 
(彼は私の頭をひっぱたいた)

He caught me by the neck. 
(彼は私の首筋をつかんだ)




「たたく&つかむ」系の、「hit」や「catch」の動詞は、一般に今、掲げたように「定冠詞」を用います。

 日本人的な感覚だと、「on the head」ではなく「on my head」、「by the neck」ではなく「by my neck」となぜ言えないのだろう?、という感じがします。

 というのは、「手をあげろ!」なら
「Raise your hand.」、「手を洗え!」なら「Wash your hands.」ですからね。

 ところで、「Raise your hand.」の代わりに「Raise the hand.」とか、「Wash the hands.」ということは可能でしょうか?

 文法的には可能だと私は考えますが、「the」にすると、「あなたの」という意味ではなくなりそうです。
 私の語感では、手を洗わせたいあなたの手をつかんで、水道まで強制的に連れて行って「その手を洗え!」というのなら「Wash the hands.」と言えるんじゃないか、と思っています。
 要するに、「あなた」に属する手を切り離して考えて、「その手を洗えよ!」と無理強いするなら、「Wash the hands.」と言えなくもない。

 ここで、「He hit me on the head.」についてもう一度考えてみます。

 英語は前から意味をくみとります。当たり前どすけど。

 He hit me on the head.は、「on the head」がなくても、いちおう文としては成立します。「He hit me.」 だけでもちゃんとした文になっています。
 だから、「on the head」というときは、「head」は誰の頭ということを言わなくても「私の頭」を指すことは明白です。それゆえに「my」ではなく「the」が使われるのでしょう。

 また、今言ったことと少し矛盾しますが、「the」をheadの前に置くと、総称的なニュアンスを感じないでもありません。「誰の?」ということではなく、「頭いっぱん」を部位として総称しているかのように聞こえる。


(5) the と its


  theを用いると、前後の関係や常識から自分と相手との間で合意され、特定されるモノというイメージがあります。

 それに対して「its」は、主格の「it」と同じように、直前の単数名詞を指すので、その名詞に「's」をつけて元の文に「代入」しても文の意味が変わらないはずです。
  直近の単数名詞に「アポストロフィ・『s』」をつけて、元の文に代入することが出来るなら「its」を使うことができそうです。

 どちらを用いても大差ない、ということもありそうです。


結び


 まとまりの悪い記事になりました。
 時間をかければ、もう少しスッキリ書けそうな気もしますが、キリがないので、このまま投稿します。何か思い付いたらまた記事を書きます。


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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします