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一語の宇宙 | wust??


wust

Edith Wharton の『ETHAN FROME』を読んでいて何回か見かけた単語。

先月、下の写真(↓)のEdith Whartonの
「Ehtan Frome」を読んでいて、「wust」という単語を何度か見かけました。

wust」という単語が出てきた箇所を引用してみます。

長い英文を引用しますが、私が強調した「太字」の前後だけ目を通していただければ、とりあえずOKです。


Edith Wharton, "Ethan Frome & Summer," The Modern Library Classics, p10より引用。

"Wust kind," my informant assented. "More'n enough to kill most men.But the Fromes are tough. Ethan'll likely touch a hundred." 
"Good God!" I exclaimed. At the moment Ethan Frome, after climbing to his seat, had leaned over to assure himself of the security of a wooden box--also with a druggist's label on it--which he had placed in the back of the buggy, and I saw his face as it probably looked when he thought himself alone, "That man touch a hundred? He looks as if he was dead and in hell now!" 
Harmon drew a stab of tobacco from his pocket, cut off a wedge and pressed it into the leather pouch of his cheek. "Guess he's been in Starkfield too many winters. Most of the smart ones get away." 
"Why didn't he?" 
"Somebody had to stay and care for the folks. There warn't ever anybody but Ethan. Fust his father--then his mother--then his wife." 

前掲書、p10。
「Wust」と「Fust」の強調は
わたし(山根)によるもの。

ちょっと目を通していただければ分かるように、すこし妙な英語で書かれています。訛りのある英語、あるいは、異国出身の非ネイティブの英語だということが類推できると思います。

「wust」「fust」というつづりが明らかに正しい英語ではありません。

私はわからない単語に遭遇したときは、辞書やスマホで確認しますが、その前に類推してみました。

wust」がなにかは、わかりませんでしたが、引用した10ページの下のほうに出てくる「Fust」は、明らかに「First」が訛ったものだと容易に類推できますね。

「Fust」=「First」(ファ~スト)
ならば、
「wust」は「ワ~スト」になるはず
だと私は推理しました。

ネットでも辞書でも、わからなかったので、日本語の翻訳を見て確認すればいいのですが、「イーサン・フロム」の翻訳は、図書館にも書店でも見当たらなかったので、
noteAIに訳させてみました。


noteAIアシストによる翻訳は以下の通りです。

「わんさつりょくにったくよろこんだよ」と、情報提供者は賛同した。

「ほとんどの人を殺すのは十分です。しかし、フロームズはタフだ。イーサンはほぼ100歳になるだろう」

「まさか!」私は驚いた。その時、イーサン・フロームズは席に座った後、彼が一人であると思ったときに自身のいる場所の安全性を確認するために、薬剤師のラベルが付いた木製の箱をバギーの後ろに置いた。「あの人が100歳になるのか?彼は今、死んで地獄にいるかのように見える!」

ハーモンはポケットからタバコの一切れを取り出し、くちぶさがりの革の袋に詰め込んだ。

「たぶん、彼はスタークフィールドに長くいすぎたんだろう。賢い人のほとんどは去っていくんだ」と彼は言った。

「なぜ彼が去らなかったんですか?」

「家族の面倒を見る人が必要だったんです。誰もイーサン以外いなかったんです。最初は父親、それから母親、そして妻ですよ」

noteAIアシストによる翻訳

Edith Wharton, "Ethan Frome & Summer," The Modern Library Classics, p13より引用。

That Frome farm was always 'bout as bare's a milkpan when the cat's been round; and you know what one of them old water-mills is wuth nowadays. 

前掲書、p13より引用。

13ページには、「wuth」という単語が登場しますが、
「wust」が「worst」ならば、
「wuth」は「worth」になるはずです

さきほどと同じように、noteAIに翻訳させると次のようになりました。

「フロームの農場は、猫がまわったときのミルクパンほどさびれたものでした。それに、古い水車小屋が今ではどの程度の価値があるかご存知でしょう」と彼は言った。

noteAIによる翻訳。

まとめ


英語の教科書や検定試験の問題は、訛りや非標準的な英語は、標準的なつづりに書き改められている場合がほとんどです。

しかし、英語原文、特に小説の文章は、必ずしも正書法に基づいている英語だとは限りません。
スタインベックやマーク・トゥウェインの小説は、方言が多く読みなれないと難しい箇所があります。


私はわからない単語があれば、辞書ですぐ調べたほうが誤読が少ないと考えます。
しかし、調べようにもすぐにわからない単語がガチな原文には出てくるので、類推・推理する必要があります。

単に知らない単語ならば、調べたほうがよいですが、やはり「類推する力」も持っていたほうがいい。

そういう力は、英会話の教科書をいくら読んでも身に付くことはありません。既存のテキストばかり使って学習していては、類推力は身につきません。

ほんとうの英語力を身につけたいならば、資格試験の勉強だけでは不十分だと思いました。

今回の「wust」「fust」「wuth」は比較的簡単な推理力で解決できましたが、これからも原書を読んで、読解力を高めていきたいと思います。


「一語の宇宙」では、英単語を1つとりあげて、エッセイを書きます。次のマガジン(↓)に収録していきます。


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単に学習法だけを取り上げるのではなく、英語の周辺の知識と身につける方法を考えます。また英語を学ぶ意義について、時折振り返ります。

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