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エッセイ | 橋について

 橋って、なんか好きです。なんでなんでしょうね。
 何年か前になりますが、橋を眺めることにはまったことがあります。いまでも、なにもとくにすることのない暇な日には、よく橋を見に行きます。

 橋と一口で言っても、さまざまな種類があります。吊り橋、斜張橋、ラーメン橋、トラス橋などなど。しかし、最もポピュラーな橋は桁橋ですね。

 橋脚に板状のものを載せた最もシンプルな橋。桁橋は町の至るところにあります。よく見ると、両端にはあそびの部分があります。

 ガチッと固定してしまうと、ちょっとした振動の力を逃がすところがなくなって、壊れやすくなってしまうからでしょうか?

 線路なども、一本のレールが繋がっているのではなく、パーツパーツの間には、隙間があいています。何キロにも渡って繋がっていると、夏の暑さで膨張して、フニャフニャになってしまうからでしょう。

 「架け橋」とか「レール」とかいう言葉は、人生を表す比喩として、比較的よく使われる言葉ですね。橋もレールも、微細な部分を無視すれば、ずっと連続したもののように見えますが、数多くの断絶した箇所を持っています。

 人生もまた、橋やレールと同じもののように思えることがあります。

 昨日と今日と明日は、いつも繋がっているように思えますが、一日の中でも人は変わっていきます。

 長い長い先にある目的地を見ると、ため息が出そうになります。人生の先にあるものは、誰でも「死」だけですが、目の前にある一瞬一瞬というパーツを組み立てていくしかありませんね。途中途中に「あそび」を挟みながら。たとえそれが、まだら模様のゴツゴツとしたパーツの組み合わせに過ぎないとしても。

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