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数学エッセイ | 方程式を使わないで方程式を解く方法

 古代ギリシアの数学者ディオファントス(3世紀頃)は、文字を用いて式を立てたはじめての人物だと言われている。

 ディオファントスの年齢について、次のような詩が残っている。

ディオファントスの一生の6分の1は少年時代で、そのあと、一生の12分の1経ってからヒゲを伸ばし、さらに7分の1経って結婚して、5年後に子どもが生まれた。この子どもは父より4年前に父の年の半分でこの世を去った。

ディオファントスの一生を「X」とおけば、次のような方程式を立てることができる。

この方程式を解けば
X=84
ディオファントスは84歳まで生きたことが分かる。

これが「普通の」解き方だが、方程式を使わない解き方もある。

上の「詩」に登場する分数の分母(6, 12, 7, 2)の数の「最小公倍数」を求めれば、一応「84」という答えを導くことができる。

 方程式を学ぶと、小学生の頃のように「□」と「◯」を使って考えるより分かりやすくなる側面もあるが、方程式を必ず使わなくてはならない、ということではない。


中学生の方程式の問題によく次のような方程式の「応用問題」がある。

Q
3つの連続した整数(1、2、3のような)がある。すべて足したら、66になった。3つの数字はなにか?

教科書的な解き方だと次のような感じ。

3つの数のうち、真ん中の数をXとおくと、連続する3つの整数は

X-1、X、X+1だから、

( X-1 )+X+(X+1) = 66
                                 3X  = 66
両辺を3で割って、   X= 22
よって、求める整数は21、22、23 。

🤔これって、方程式をわざわざ立てる必要があるだろうか?
3つ連続しているのだから、真ん中の数は3つの数の「平均」であり、3つの数の和は明らかに3の倍数である。
つまり、方程式をいちいち立てなくても、3つの数の「和」(合計)を「3」で割れば、すぐに真ん中の数がわかる。

上の問題なら、
66÷3=22
だから、21, 22, 23

このほうが早いし、簡単に解ける。
方程式を解くときも
3X = 66という式が出てくる。結局はやっていることは同じだ。


方程式を知らなかった中学生が方程式を覚えると、何でも方程式を使って問題を解こうするが、問題を解く前にすこし考える癖をつけたほうがいいような気がする。


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