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ピアノ教室に求めるものは単に上達の為だけではない

〜ピアノ講師になり覆されていく価値観〜

 

ピアノ講師になってから、
それはもう様々な生徒さん、保護者の方と巡り会ってきた。


ありがたい事に、自分のところに来てくれる生徒さんはなぜか素直で優しい心を持った子ばかりで、頭が下がる。

将来の夢を聞くと、
「世界を平和にしたい」と
真っ直ぐで素直な心を持ち、
語学の勉強に励む子や

「お金を稼げたら良い」と
小学生ながら現実的で、勉強熱心な子もいる。


私の子どもの頃を振り返ると、
毎週あるピアノのレッスンやコンクールをこなすのに必死、ろくに勉強をしてこなかったので
自分の意志の元、夢と計画を持っている子どもたちをただ尊敬する。


ピアノ講師になる前までの私の価値観は、

ピアノ教室に通う(子どもに習わせる)目的
⬇️
「ピアノが弾けるようになりたい、なってほしい」
「音楽を楽しみ上達したい」
「コンクールで賞を取りたい」

等の理由からピアノ教室は成り立っている、とばかり思っていた。


しかし、
全員が「ピアノの上達」 を最優先に求めいる訳ではない、と
ピアノ講師になって初めて知ることになった。




ピアノ講師になって2年目の頃
ADHDの傾向のある年長さん(以下Bちゃん)と出会う。

Bちゃんは、ピアノの置いてある部屋に入るまでとても時間が必要で
泣きわめき、とても大きな声で叫び、逃げ足も早く、なかなかレッスンを始められない。

保護者が
「今日は帰ろう」と言うと「帰らない」
「ピアノ辞める?」と聞くと「辞めない」

結局ピアノを弾かないまま、時間がきてしまい、無理やり抱っこされて帰る、ということが何度あったことか。


ピアノが嫌い、という訳ではなさそうで
気持ちの切り替えが上手く出来ず、言い表すことの出来ない感情と戦っているようだった。


かと思えば、「こんにちは〜」と来て
すんなり教室に入る日もあった。



このままではピアノの上達は難しいし、レッスンが成立しない。
周りの大人がどう対応しても、Bちゃんの気分次第、、、


そこで1度、保護者の方と面談をする事にした。(普段はBちゃんもいてゆっくり会話する事が難しい為)


・学校、お家でのご様子
・◯◯をすれば気分が上がる
・されたくないこと、ゆずれないこと
・レッスン方針
・保護者様のご希望
・お家での保護者様へのお願い


以上の6点を中心に面談を進めた。


1番重要なことは「保護者様のご希望」
ここのズレだけは無いようにしたかった。

・目に見えるような上達はすぐには難しいこと、
・弾いてね⇒弾いてくれる訳では無いので、Bちゃんのタイミングを待つ形になるが、Bちゃんなりに少しずつ上達していること
・今は色々な事をインプットしている途中で、アウトプットしていけるタイミングはその子それぞれなので、成長を長いスパンで見守ってあげたい、ということを伝えた。

保護者様も理解してくださり、
ご希望としては
「楽しく続けてほしい、30分集中することを覚えられるようになってほしい」
という事だった。

また、レッスンに来る前に様子が不安定だったら
「今日は丸つけしてもらったら帰ろう」
「今日は先生とおはなしの時間にしよう」等
1つ目標を決めてもらい、
1つ出来たことに対してたくさん褒めてあげて、
1つ、2つと様子をみて出来そうだったら増やしていく、、

小さな目標を大切にして積み重ねていくこと、今後の方針やお家でのお願いを伝えるようにした。



ヒアリングをして、もちろんすぐに何かが変わる、ということはない。


しかし、
保護者の方のこれまで不安そうだった表情に
少し余裕が見られるようになり、
それに影響されてか、Bちゃんもすんなりお部屋に来てくれる日が増えていった。



現在、Bちゃんは小学校高学年。
成長に伴い、挨拶や意思の疎通が上手くとれるようになってきた。
演奏面も、コツコツと積み重ねてくれたお陰で
少しずつ好きな曲にもチャレンジできるようになっている。
今では「ピアノ教室に通う目的、目標」にも変化がでてきた。
それには本人の努力はもちろん、影で支えて下さりこちらの方針を理解して下さった保護者様があっての事。

ピアノ教室に通う目的、目標は
生徒さんの数だけ違う。
ピアノ教室、という存在がその子にとっての拠り所になれていたら良いな、と思う。

私の凝り固まった価値観が覆された出来事の1つだった。


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