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【書店さまが選ぶ当店のイチオシ!】

テーマ別PHP新書フェア
紀伊國屋書店さいたま新都心店 新書・理工書ご担当 岩本学様
【取材・文】PHP研究所東部書店普及部 平賀哲史

JRさいたま新都心駅から直結した商業施設・コクーンシティ内「コクーン1」1Fにある当店は、1日の来店客数が平日で1,000~1,300人、休日だと1,800~2,000人ものお客様で賑わいます。客層のメインは平日だと中・高生の学生さん、休日は親子などご家族連れが多く来店されます。当店2Fには映画館があり、線路を挟む反対側には、さいたまスーパーアリーナもあります。コンサートやイベント開催日には、アニメファンやアイドル系・有名アーチストファンのお客様が立ち寄るケースも多いことから、映画のノベライズやコミック、ライトノベルのジャンル強化にも注力してまいりました。
今回お薦めするのは、「テーマ別PHP新書フェア」です。もともとは2021年に、三省堂書店神保町本店で創業140周年記念の一環として、いま読者の関心が高い八つのテーマから、PHP新書のロングセラー既刊を編集部が厳選したフェアとして誕生したとのこと。店頭でも好評で、期待以上の販売実績を収めたという情報を、PHP研究所の営業担当者にお聞きしたのがきっかけでした。

note 書店の現場から(店頭)


新書担当として3年半、つねに意識してきたのは、メイン客層である若年層にもアピールできる新書の品揃え、棚づくりでした。たとえば他社レーベルですが、ちくまプリマー新書や岩波ジュニア新書といった、比較的若めの読者向けテーマを揃えた新書の品目充実にはこだわってまいりました。一般的に新書は、新刊中心の棚づくりだと、どうしても年配向けの品目に偏りがちです。そこで既刊にも目を向けていき、新しいテーマや品目開発に積極的に取り組んだおかげで、教育系ハウツーものや英語学習法など、当店に多い親子連れのお客様に支持されるテーマの発掘や、既刊の定番化も成果を挙げることができました。
そのため、「テーマ別PHP新書フェア」の話をうかがったとき、21年下半期以降の新書市場において、ひたすら新刊ヒット作頼みという状況の打開策を思案していた私は、PHP新書はもとより、有力既刊品目掘り起こしのチャンスになるのでは、と考えました。加えて、当店独自のフェアパネル、テーマごとの板パネルといった拡材、すべての品目に簡潔なセールスコピーを入れたミニPOPまで用意していただけるというご提案も、魅力的でした。棚づくりの観点からも、差し中心で代わり映えしない棚周りに、変化と目新しさというインパクトを与えられるのではと、さらなる可能性を感じたのです。
当店では、21年12月の開始から、22年7月末終了までの8カ月間、PHP新書レーベルの棚一列を使い、「ビジネスパーソン、瞠目の一冊」「世界のリアルと歴史を知る」など8テーマを、毎月ワンテーマずつ順番に展開していきました。新書市場全体が苦戦するなか、PHP新書の売上げは、対前1.5倍増でした。当初の思惑以上の収穫もありました。動きのよかった『会社人生、五十路の壁』は、同時展開中の「年代別!! 人生後半を愉しみ切る! 新書フェア」にも加えてみると、予想以上の反響があり、これこそシナジー効果だと実感いたしました。『微分・積分を知らずに経営を語るな』は、微分・積分というテーマが新書の読者にも受け入れられたという事実に、理工書担当でもある自身にとって、いい意味で従来の思い込みを覆され、新鮮な驚きと気づきを得る機会となりました。
当店には、テレビやTwitter経由のトレンド情報に敏感なお客様が多いことも意識しつつ、タイムリーかつニュース性の高いテーマや売り方をさらに模索し、新書の面白さや魅力をより幅広いお客様にお伝えすべく、引き続き取り組んでまいりたいと思います。