見出し画像

【保存版】論文の読み方

院進学してからはルーチンワーク化して、博士課程になった今では特に悩むことなく英語論文を読めるようになりました。
これも、学部に所属していたゼミの教授が丁寧に「(英語)論文の読み方」を教えてくれたからだと思います。

でも、院進学した同期の中には、論文の読み方を学部で誰にも教えてもらうことがなかったために、英語論文の読み方がまったくわからない!なんて人も多かったです。
学部生であればなおさら、卒業論文の時期になって急いで参考論文を読み始める、なんてことになるので、論文の読み方を身につける暇がありません。
また、教授によっては英語論文を「読める」ことを前提として、そこからの研究方法しか教えてくれなかったりもします(笑)

そこで今回は、誰も教えてくれない「論文の読み方」の基本をnoteにしたいと思います!
英語論文のみに限らず、日本語で書かれた論文を読む際にも活用できるので、読んでいただけたら嬉しいです。
(ちょっと長くなりますので、時間がない方は一番最後のまとめ画像をご覧ください(笑))

英語に限らず論文を読む前には、論文の基本的な構成について知る必要があります。どのような順序で論文が書かれているのかを知ることで、自分が研究を進める際にも役立ちます!
今回は、構成の紹介と同時に各章をどのように読むべきなのかも紹介していきます。

論文の一番最初、多くはタイトル下に書かれている「論文の要約」のことです。
どういう問題意識を持ち、どのような既存研究・理論を利用して、どのように分析を行い、どのような結果が出たかが簡潔に示されている部分です。

論文の本文を読むかどうかは、この要約を読んで決めます。実際の論文ではこんな感じの位置に↓

Salisu Lawan Indabawa and Zakari Uba (2014)”Human Relations and Behavioral Science Approach to Motivation in Selected Business Organizations in Kano Metropolis Nigeria”, European Journal of Business and Management,Vol.6, No.25, 2014

本文のトップバッター、「論文・研究の導入部分」のことです。
ここでは、abstractに書かれた内容をさらに詳しく記述してあります。
導入部分なので、研究を行う理由、どんな問題意識や現象から何を目的として研究を行うのかが詳しく書いてあります。

ここでは必ず、論文の目的=goalを明確にしましょう。
目的を明確にすることで、のちに紹介される既存研究・理論や分析手法などをなぜ採用するのか、それがどうして適切なのかが考えやすくなります。

研究分野にもよりますが、商学系の論文ではIntroductionに研究の全貌が書かれていたりもします。
自分の分野では、どのような作法・フレームワークに則って論文が書かれているのかも掴めるようになると良いと思います!

所謂、「既存研究をレビュー」する部分です。
関連する研究を紹介したり、論文内で使用する言葉、重要なキーワードの定義が行われていたりします。

研究によっては、ここで研究の「仮説」を書く場合もあるので、もしそのような記述があれば必ず確認するようにしましょう!

ここでは、「分析の手法」「分析に使用するデータの収集方法」が紹介されます。
研究目的を達成する上で、使用するデータが適切か、収集方法に偏りはないか、正しい分析手法に則っているのかが書いてあります。

Methodでは、「このタイプの研究を行うためには、この手法が使用できる」ということも学べるため、
統計的知識が研究で必要となる分野の方、統計に詳しくなりたいという方は詳しく読んでみると良いかもしれません。

文字通り、「分析の結果」を示す部分です。
仮説が支持されたかどうかもここに記述されます。

ここから論文の主張をしていくので、かならず目を通しておきましょう!

ここでは、前述の結果から考えられることを述べていきます。
研究の主張の肝となる部分です。
また、調査で思ったような結果が出なかった場合は、それについての考察が記述してある場合もあります。

「研究がどんな貢献をするのか、どのように役立つのかを示す」部分です。
商学系の論文では、学術的インプリケーション(理論に対する貢献や既存研究に対する貢献)と実務的インプリケーション(分析結果や論文の主張をどのように実務に活かしていけるのか)が書かれていることが多いです。

Limitationは限界、つまり研究では明らかにできなかった部分、研究のweak pointを記述します。
ここに研究の弱点を書いてしまうことで、批判に対するディフェンスができるわけです(ちょっとずるいですが笑)。

Feature Researchは、その分野でどのような研究が今後できるのか、今回の研究をどのように発展させていけるのかが示してあります。
ここから自分の研究に対する意義を見つけ、引用したりもできます。

この前後に、短く結論をまとめたConclusionが続くこともあります。

参考文献の部分です。論文で使用した既存研究の詳細がずらっと書いてあります。
論文を読んだ上で気になったものがあれば、ここからさらに論文を読んでいくと良いでしょう。


長くなりましたが、以上が英語論文の大まかな流れになります。
この順序、各章に大体何が書いてあるのかを意識することによって、論文の内容はぐっと頭の中に入りやすくなります。

しかし!論文は最初から最後まで読む、精読することが良いとは限りません。
実は、論文は特定の章だけを読めば内容が把握できてしまうのです。
特に、母国語で書かれていない英語論文は読むのに時間がかかります。

そこで次回は、より効率的に研究を進めていくための(英語)論文の読み方を紹介していこうと思います。
お暇があればぜひ読んでみてください!

↓今回のnoteのまとめ↓