見出し画像

「QUADRA WELCOME KIT」制作秘話。クアドラの一員になった! という意識を入社前から持ってもらうために

ピラミッドフィルム クアドラ(以下:クアドラ)では、「THIS IS QUADRA PROJECT」と銘打ってパーパスとバリューを制定しました。そして、このプロジェクトの一環として、オリジナルのウェルカムキット「QUADRA WELCOME KIT」(クアドラ・ウェルカム・キット)を制作。社員への配布がスタートします。このQUADRA WELCOME KITには、どんな思いが込められ、どのようにつくられたのか。クリエイティブを手がけたメンバーに聞きました。


メンバー紹介

左から、清水龍輝、阿部達也、北丸郁香

阿部達也(あべたつや)
クリエイティブディレクター / ディレクションチームマネージャー
1988年大阪生まれ。栃木・岐阜・長崎・大阪と転勤を重ね、2011年より上海で就職。デジタルを活用した課題解決や価値創造におけるプランニングとディレクションを手掛ける。2016年に帰国し、現在は東京を拠点に活動中。

清水龍輝(しみずりゅうき)
プロジェクトマネージャー  / プロジェクトマネジメントチームマネージャー
Webのみならず、デバイスから筐体、イベントまで多岐にわたる案件の進行管理を担当。クライアントとスタッフの状況をくみ取り、果断に進めることを信条とする。仕切りなおしと効率化が得意。

北丸郁香(きたまるふみか)
デザイナー
愛媛生まれ大阪育ち。社員3人の小さなデザイン事務所を経てクアドラへ入社。Web、グラフィック、インタラクティブコンテンツまで幅広く担当。特技はどんな系統のデザインもできること。まろやかなコミュニケーションを心がけている。

帰属意識や組織への期待を高めるウェルカムキットをつくりたい

――まず「QUADRA WELCOME KIT」が生まれた理由を聞かせてください。

阿部__クアドラは今年、創立15周年を迎え、パーパスとバリューをアップデートしたんです。その新しいパーパスとバリューを形骸化せず、社員一人ひとりが自分ごと化していくうえで、組織への帰属意識や一緒に働く意義を感じてもらうことが必要だという話になりました。そのひとつの方法として生まれたのが「QUADRA WELCOME KIT」です。このキットを通じて、内定者が入社するまでの期間に「これからこの組織に所属するんだ」と期待をふくらませたり、クアドラの空気感を感じたりしてほしいと思っています。

――制作が決まってから、プロジェクトはどのように進めていったんですか。

阿部__まずは、この企画を一緒に楽しんで動いてくれそうなプロジェクトマネージャーチームの清水くんに声をかけて。次にデザイナーさんがほしかったので、デザインチームに相談しました。

北丸__マネージャーから「やりたい人いますか?」と聞かれて、すぐに手を挙げました! 会社のブランディングに関わる仕事にも興味があったし、日常の業務はデジタル系の内容が多く、アナログでものづくりをするチャンスがあまりないので、この機会に経験してみたかったんです。

清水__僕もそうですね。誰かに何かをプレゼントしたり、ギフトを開封したりする瞬間って楽しいじゃないですか。だから、会社から社員への贈り物をつくる仕事は非常に楽しそうだなと。ものづくりの過程でいろいろ手配するのはプロジェクトマネージャーの役割だから、役に立てる場面も多いと思いました。

会社の空気や組織の成り立ちが、すぐにわかる

――QUADRA WELCOME KITには、どんなものが入っていますか?

阿部__まずは“これまで入社後に渡していたもの”をひと通り入れています。たとえば、社員証や名刺、ロッカーのカギ……。ささいなものでも、内定時期に受け取ると「これを持って生活する未来が近づいているな」と思えるのではないかと考えたからです。

清水__ブレストのときには、オリジナルTシャツやマグカップなんかのアイデアも出ましたね。でも、実用に寄せすぎたり、サイズ的に大きすぎたりするものはどうなんだろうかと……。ロゴ入りのマグなんて声もあったけど、ロゴがいつも露骨に目につくようなアイテムは、みんながあんまり喜ばないと思いました。

阿部__GoogleやAppleだったらともかくね(笑)。なので、オリジナルのカラビナなどにはロゴが入っていますが、わりとシンプルな仕上がりになっています。それから、写真つきの組織図。どんな人たちがどんな関係値で働いていて、自分はどのポジションに入るのか、すぐに可視化できるものを目指しました。

――働くメンバーの顔が見えると、会社の空気も感じられますね。

阿部__ほかに会社の空気を伝えているのは、クアドラのパーパスを社長の手書き文字で書いたカードと、マネージャーから入社する社員一人ひとりに向けたメッセージですね。

パーパスについては、自分でクアドラのWebサイトを開くなど能動的に動かないかぎり知るチャンスがないので、入社するタイミングで一度は絶対に見てもらえるようにしました。

マネージャーからのメッセージは、一人ひとりに直筆で書いてもらっています。「あなたのために書きました」という熱量が伝わることで、はじめて社員からも同じ情熱が返ってくるんじゃないかなと思って……そういう部分に力を尽くす姿勢をマネージャーに持ってもらいたいし、社員にも感じてほしいと。

それから、オリジナルのピンバッジです。キット制作と並行して、年1回の社員表彰イベントのリニューアルが進んでいたんですね。もともとはその年いちばんよく働いた社員に賞金が出るイベントだったのですが、これからは会社のバリューやカルチャーを体現した人を、もっと違う形で評価していきたいという話になりました。そこで、賞金代わりに各賞オリジナルのピンバッジをつくることが決まったんです。年末の打ち上げで消えてしまう賞金ではなく、業務中でも常に目に付く社員証のストラップにつけられる勲章にすることで、永続的にその人の功績が可視化されますよね。それによって、本人も周囲の人も、その人の功績を意識するようになるかなと。その流れで、誰もがまずひとつはピンバッジを持てるよう、QUADRA WELCOME KITにも入社記念ピンバッジを入れています。

アナログでのものづくりには、やや苦戦

 ――オリジナルのピンバッジ、制作過程が聞きたいです。

北丸__いろんなリファレンスを見てイメージを詰めながらデザインしていったのですが、難しかったですね……(笑)。イラレで図案を出して、すり合わせて……何度かリテイクもありました。

阿部__僕たちもアナログでものをつくった経験があまりなかったから、発想が“デジタルありき”になっていたんですよね。図案が立体になったときの見栄えを、画面のなかで想像しきれなかった。データではシンプルすぎるくらいのデザインでも、立体になると急にパワーが出たりするんです。だから、文字をベースにしたオーソドックスな形状に統一しつつ、各賞のバッジでそれぞれ違うフォントを使うなど、遊びも入れました。たくさん賞を取ったとき、いろんなデザインのバッジがもらえるほうが楽しいと思って。

北丸__「何ミリ以下の細い線は再現できない」とか、アナログならではのレギュレーションもたくさんありましたよね。そういうルールに合わせて最終調整していく過程は大変だったけど、細かい作業は大好きなので、楽しかったです。

清水__ベースとなる金属の質や色に合わせて、着色のことを考えなきゃいけないとかね。考えてみれば当たり前なんだけど、学びが深かったなと思います。

阿部__ピンバッジをどう納めるかもけっこう考えましたよね。バッジひとつをなんとなく箱に入れるとしょぼく見えるから、バッジのタイトルをあしらった台紙に付けておこう、とか。もらったバッジは社員証のストラップに付けてもらうイメージだったけど、個人でストラップを変えている人は付けられないかもしれないから専用ホルダーを用意しよう、とか。それは清水くんのアイデアだったね。

清水__僕自身がバッジをつけられないストラップだったんですよね。でも、もらったバッジを家にしまいこまれると意味がないから、専用ホルダーにはめてどんどん増やしていってもらいたいなと思っています。

シンプルに「持っていてうれしいもの」を目指した

――キット全体の制作において、どんなところで苦労しましたか?

阿部__「このキットをもらったとき、ちゃんと会社の帰属意識につながるか?」というところと、それが押しつけがましくならないようなバランスですかね。さっき清水くんが言ってくれたみたいに、露骨にロゴを入れないとか(笑)。

役員から各賞のピンバッジに「会社のロゴは入れなくていいの?」なんてフィードバックが出たこともあったんですが、裏面にひっそり入れるまでで留めました。つくっている側はどうしても盛り上がってしまうので、受け取る側の気持ちに立つことはいつも心がけていましたね。

北丸__確かにそのバランスは難しかったです。デザイン面では、シンプルに「持っていてうれしい」「これ、いいな」と思えるビジュアルを追求しました。カードや台紙はこれまでのクアドラのトーンを活かしつつ、ピンバッジではいままで社内になかったトーンで“新しい感”も出しています。

清水__クアドラはリモート勤務の人も多いし、全社イベントみたいに全員が集まるリアルの機会もないから、ある意味「会社そのものとの接点」をもともと感じづらいんです。なので、キットで渡すアイテムは機能性より、ふと目に入ったとき「なんとなく会社を感じられること」を重視しました。とくに内定者からすると、はじめて会社にもらうものがあまりにグイグイ迫ってくる感じだったら、びっくりしちゃうと思うので……(笑)。ほのかに会社を香らせる塩梅、ですね。

――キットは、どのように内定者の元に届けられるんですか?

阿部__オリジナルの箱に入れて郵送します。いまその最後のレイアウトなどを考えているところなんですが……適当にアイテムを詰め合わせると、郵送中に箱の中でばらばらになって、開封したとき悲しいじゃないですか。だから、中身が動かないようにうまく固定する方法を試行錯誤しています。これからお届けする方には、そんなところも見ていただけたら。最終的には内定者だけに贈るキットになりますが、初回は既存社員にもひとつずつ配る予定です。「全員が持っている」という状態からはじめたいので。

――最後に、制作プロジェクトを振り返っての感想をお願いします。

阿部__ウェルカムキットって、会社の目先の利益だけを考えると「本当に必要か?」となってしまうツールだと思うんです。だから、この提案を受け入れて、ここまでやらせてくれた会社のスタンスがありがたいと感じます。それは同時に、会社もこのキットに期待しているということだと思うので、なんとなく渡して終わりにはしたくないですね。受け取るみんなのリアクションを見ながら、中身をどんどんブラッシュアップさせていきたいです。

北丸__制作段階でちらっとバッジを見た社員は「めっちゃかわいい!」って言ってくれましたよ。自分のつくったデザインが手に取れるものに具現化されて、誰かに喜んでもらえるのって、こんなにうれしいんだなって思いました。

清水__いざ配ってみたらいろんな意見が出るだろうけど、前向きに受け止めていきたいですね。そうやって要望を取り入れていった結果、10年後は実用性に傾いて洗剤とか入ってるかもしれないけど(笑)。

ただ、QUADRA WELCOME KITに入っているアイテムを通じてクアドラという会社のカルチャーに触れられるのは、入社する社員にとってもすごく良い安心材料になるんじゃないかと考えています。内定を出した後、入社までの間にキットを渡すことで、クアドラとの繋がりや仲間になるんだという実感を得てもらえるんじゃないかな。

阿部__受け取った人たちの感想、早く聞きたいですね。QUADRA WELCOME KITをもらってうれしそうにしている新入社員の顔を見たら、既存社員にもまた新しい風が吹くような気がします。

取材・文:菅原さくら

(この記事の内容は2022年11月7日時点での情報です)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?