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詩「その髄穴に相応しいミサ・プラグエを」

「その髄穴に相応しいミサ・プラグエを」
黒実 音子


かつて疫病(エピデミア)の流行した
荒野に打ち捨てられた
獣の頭蓋に、
無機の風が吹き当たり、
哀れな音を奏でている。

それは、亡者の悲鳴であり、
穿孔から発せられる
死喘鳴の笛・・

命のない
無機の自然が行う、
生きている者への
無駄な模倣・・

ああ、ああ、
その髄穴に相応しいミサ・プラグエを
まだ誰も見つけておらぬ。
疫病の美しさを讃えるその歌は
決して人の世の
楽譜に書かれる事はない故に。

それは、
天使ウリエルにより隠され、
真実の空洞の中で
密かに流れるのだ。

苦潮(ノシーバス)で死んだ
魚の臓物の中・・
あるいは、
捨てられた医療動物の
腹部に塞き止められた
藻類グロエオマルガリータの
光を求める
その活路への希望の中に・・




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