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詩「ポマセア・カナリクラータの臓物」

こんにちは。
葬送のオーケストラ「墓の魚 PEZ DE TUMBA」
作曲家です♪

今回も
南米のラテン文化を舞台にした
新作の詩
を書いたので、
掲載したいと思います。

さて、
この詩に登場する
ポマセア・カナリクラータとは、
いわゆる
ジャンボタニシの事です。

Pomacea canaliculata

ジャンボタニシ・・
正式にはスクミリンゴ貝
南米の巻貝で、
近縁種が世界各地の熱帯地方で
食用になっています。

南米で、自然と触れ合う人々には
そこそこ馴染みのある生物
という訳です。

日本では外来種として、
「丈夫で大繁殖する生物」
などとされていますが、
実は繊細で、
条件の整った水域
でしか生きられない巻貝です
(何十年もこの貝を飼育し、
調べている詩人である
私が言うのですから!!(笑))

Pomacea canaliculataの飼育

熱帯の湿地池などの
小道を歩いていると、
浅瀬の泥地まで上がって来た
これらの貝を見る事が
出来る筈です。

皆さんも
ペルペトゥア
(三世紀にカルタゴで殉教した女性)
のラテン語テキストなどを読みながら、
霧のかかった夜の小道で見た
貝の死骸の事などを想い、
人生の信仰について
考えてみるのはいかがでしょうか?

↓↓↓

【ポマセア・カナリクラータの臓物】
黒実 音子

今夜は水気が強い・・

ラテン語で書かれた
ペルペトゥアのテキストが
湿り気を帯びている。

諸君、ご存じだろうか?
それらは沼地からやって来るのだ・・
真菌を含んだ大気・・
屍穢を纏った温度・・
刈り取られた
葦(トトラ)から滲み出る黒い液体・・
悲し気な獣の咆哮・・

抗原性糖タンパク質を含んだ
球状の肉が均等に配置された荒野で、
我々は衣服を着けずに歩き、
錆びた釘と破傷風に怯えながら
王国の門を探す。

ああ、
罪という宿痾の
外科医であるキリストよ。
教えてくれ。

夜の葦(トトラ)の心臓に
カテーテル手術を施し、
世界に蔓延るこの惨めさを
取り除く事は可能なのだろうか?

主よ。
貴方は、この世界の蛆湧く虚栄と、
人間の強欲と、
世界の物質循環による均衡の中に
ホモロジーを見出し、
魂の中心に墓標を立て、
下賤な瘀血を治療した。

私は道を歩くだけで
それらを見る事が出来る。
まだ若い沼地の巻貝
ポマセア・カナリクラータの臓物の
致命的で不可逆的な損失・・
夜の街灯に集まる
膜翅目と双翅目の共演・・
沢山の恥辱の靠旗を背負った魂(レスピラトリー)・・
(ああ、我々の魂(レスピラトリー)・・)

だが、
それが終焉なのだろうか?

キリストよ・・
魂の外科医よ。

肉体の卑賤から
死への飲食作用(エンドサイトーシス)に飲み込まれ、
高挙へと脱殻し、
魂はやがて地上の素材から
再び器を作るのなら、
病とは創造であり、
命とは殺戮であり、
我々は宇宙の癌(カニス)であり、
破滅とは生命なのだ。

この世界で繰り返される
エントロピーによる遷移は、
巻貝の臓物の不可逆的な損失から、
厨房にぶら下げられた
腸抜き肉(エル・スヴェントラメント)を通過し、
壮大な復活祭(セマナ・サンタ)へと続いている・・

ああ、
それは悲し気な
内臓の埋葬(エンティエロ・デ・エンテロ)であり、
糸状菌を纏ったペルペトゥアのテキストであり、
そんな、彼の外科医の記すカルテの文字は、
一介の患者である我々が
永遠に知るべき事ではない・・



◆◆


いかがでしたでしょうか?
本日は、私の
新作詩を紹介いたしました。

という訳で、
そんな作品を日本で制作していく
私や、私のオーケストラ
「墓の魚」

これからも
よろしくお願いいたします~。




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