抽象化スキルは経験の再利用性を高める

僕が尊敬する友人の言葉に「抽象化スキルは、経験の再利用性を高める」というものがあります。

そんな時代でも「やったことのない仕事の職務経験」が求められるような、一見矛盾した状況に適応する人材が出てくると思います。僕は、そうした人材に共通しているのは、抽象化スキルだと考えています。

抽象化スキルとは、その対象となることがらより、特に注目すべき要素を抜き出しつつ、他は無視するというスキルです。これによって、物事の本質に迫ることができます。

例えば、「マクドナルドでのアルバイト経験」ということを抽象化してみます。

マクドナルドを構成する要素は「店舗において、顧客と直接対面しながら、ハンバーガーとドリンクを中心とした商材を売る外食ビジネス」であるとします。これを極端に抽象化すれば「外食ビジネス」になるでしょう。

また、アルバイトを構成する要素は「会社都合でシフト管理されながら、与えられた仕事を遂行する存在」であるとします。これも極端に抽象化すれば「仕事」になります。

「マクドナルドでのアルバイト経験」を「外食ビジネスでの仕事経験」だと考え、外食ビジネスのあるべき姿を理解しようと、書籍やネットで外食ビジネスについて座学をこなしながら日々を過ごせるかどうか。

自分がマクドナルドではないレストランで食事をするときは、マクドナルドとの違いを意識しながら、なにか学べるところはないかと考えるクセがついているかどうか。

このように、マクドナルドでのアルバイト経験から、外食ビジネスについての理解を深められる人材は、マクドナルド以外の外食において、アルバイトではない職を得られる可能性が高いでしょう。

しかしそれを「マックでバイトしているだけ」と考える人材は、その枠から飛び出ることはできません。もっとミクロな視点でも、日々特定の問題を処理しながらも、問題解決方法を抽象化して考えられないと、似たような失敗を繰り返すことになってしまいます。

「抽象化スキルは、経験の再利用性を高める」というわけです。経験の素因数分解をして、一見異なる多くの仕事のなかに、最大公約数を見つけていくという態度こそ、生死を分ける重要なものになるはずです。


抽象化スキルが、生死を分ける時代に : NED-WLT

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