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webと建築からUXとはなにかを素人が考えてみる(後半戦)

前回の記事はこちら

webと建築からUXとはなにかを素人が考えてみる(前半戦)

前半ではUXの概念について書いたので、後半は建築について。内容は以前参加した勉強会をもとに執筆しています。

仕事は何か目的を果たすために制作することが根底にあり、作品がそれ自体のために作られることはなく、何よりもまず果たすべき目的が存在し、それに向けて制作を行う。

また、建築家は芸術的側面をもつが、社会的、地域的に根付く存在であり、心理学、行動学、人間の性質の理解が必要とされる職業である。

実際に施工する部分もあるため、建築家はエンジニアとしての側面も併せ持つ職業である。


誰のための建築?

建築家の山崎健太郎さんの手がけた建築を例にUXと建築を例に紹介

こちらは千葉県佐倉市にあるはくすい保育園
このプロジェクトは「保育園は大きな家である」というテーマを基に設計されたそう。

こちらの保育園、みなさんが保育士や、園長だったらどう感じるだろう。

おそらく子供が怪我しそうで怖い」「年長と年少ではお昼寝の時間等が違うから管理しずらい」「こんな造りじゃ夏場クーラー効かなくて子供が熱中症になる!」

そう感じるかもしれない。しかしそれは子供の意見ではなく親や教育者の目線で考えではないだろうか。


「クーラーはどういうタイミングでつけるんですか?」と山崎さんの質問に保育士さんは「私達が暑いと感じたらです。」という回答されたそう。自分たちの都合で物事を進めてしまっていたようです。

この場所でしか感じられない風や、雨や屋根散水の水が南側の庇から滝になって遊べる楽しみが子供たちの原体験として残ってくれれば嬉しい。

という気持ちで設計をされたみたいで、素晴らしいデザインだと思う。


患者と家族の「学び」の場所

続いては佐賀県にある認知症を主とした心療内科「さやのもとクリニック

山崎さん曰く、佐賀県の人は内向的な人が多く、親族に認知症の人がいると病院に隠れるようにして行く方が多いらしい。


このクリニックでは、患者とその家族が病気とつきあっていくための「学び」の場所として、待合いスペースを設えた。

認知症を扱う場合に、患者本人とドクターの関わり合いでは不十分であり、必然的に家族も病気とつきあっていかなければならず、家族も含めた関わり合いは高齢者医療の本質のようにも思う。と話していた。


ここでも医者や看護師施主らと打ち合わせをして設計をしたが、やはり出てくる意見は彼らにとって管理が容易な施設で患者のことを第一に考えたものではなかった。


病院のもつマイナスイメージを、「学び」の場として直接的に病気やケアに役に立つ事が得られることではなく、ここを訪れる人に対して、病気と向き合うための小さなきっかけづくりの場を作りたかったようです。

どれもいい写真ばかり。


建築家と施主の関係性

建築は一度立てると50年使うものと言われている。よって自ずとエンドユーザーのことを意識することが当たり前になっている。


先の例で山崎さんは施主から求められた意見に対して説得をして、最終的にあのような建築にしたのではないと語っていた。


ではどのように話が進行したかというと「説得」ではなく「共感」してもらうこに重点を置いたそう。


建築はむこう50年使用するものなので、建築家は施主に覚悟を求め、共感してもらうことでエンドユーザーのためのデザインを成立させているよう。


webとクライアントの関係性

webの世界は栄枯盛衰がとても激しい。半年前のデザインが古くなったり、新しい商品を売るために短期的にサイクルを繰り返す必要がある。よって建築と同じようにはうまくいかないのが現実。


しかし、webの世界はどうしてもブラウザのなかに閉じこもりがちで、実空間を意識することがおざなりなりがちだと感じることもあります。


情報空間と現実を結びつけることを意識したほうが良さそうと感じる。

IoTやVRなどのテクノロジーが発展するとますます現実と情報空間を意識した製作技術が求められるのではないだろうか。

建築家にとって当たり前かもしれないが、ソフトウェアの世界では忘れられがちの意識なので、UXがバズワードになっているのではないだろうか。


どうやってUXを学ぶ?

最初に上げた、人間中心設計、全人的医療、ファンクショナル・アプローチなどに関する情報は著書はたくさんあります。まぁでも学ぶの大変そう。
山崎さんのアドバイスでは「ロングライフデザイン」ので考えられたプロダクトが参考になると語っていた。

特にランドスケープデザイナーの方々の仕事は、数百年という単位で設計しているらしいので人に対してデザインすることにとても敏感だという。

adobeの偉いおじさんは2017年のサミットで「感情は体験の通貨」と説いていた。

誰のためのデザインもとい、誰に贈るデザインなのか?


自分の実空間を意識して仕事に取り組みたい。

※画像出典:http://ykdw.org/

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