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アメリカ大統領選とは?平成生まれの私が見るアメリカ選挙-真ん中からの視点で-

毎回11月に行われる4年に一度のアメリカの大統領選挙。期日前投票も行われ、いよいよ本格的に共和党=トランプと、民主党=バイデンの争いが本格化してきました。この選挙結果は遠い国の出来事ではなく、アメリカの政策や方針は、今後の私たちの日本の経済活動にも大きく影響を及ぼします。今日は私が2012年と2020年選挙期間に現地にいて感じたこと、色々な人と話をして知ったことをシェアしたいと思います。

アメリカ大統領選関連用語まとめ

・共和党(Republian Party、リパブリカン)=右派=保守派
 →トランプ氏
・民主党(Demoratic Party、デモクラット)=左派=リベラル派
 →バイデン氏
・保守派:大きな変化を苦手として伝統的な考え方を持つ
 →例)同性愛には反対派が多い(聖書が基となった考え方)
・リベラル派:自由主義、個性を尊重する考え方
 →例)同性愛には賛成派が多い(個人の自由を主張する考え方)
・ラティーノ=メキシコ系とその他南米系(スペイン語話者と使われることも)

選挙時期のアメリカー2012年と2020年ー

シアトルにて

私は、2012年オバマ大統領が再選する年、アメリカのシアトルにて留学生活をしていました。(ワシントン州シアトルは民主党推しの人が多い地域です。)当時大学生だった私にとって、そこまでアメリカの選挙について詳しく分かっていなかったものの、人々の熱狂振りがすごいのは肌で感じました。

まず、大学で。大学構内で学生たちがサークルのような集まりを作り、「選挙に行こう!」と呼びかけたり、選挙開票日には学生がホールに集まり、開票結果をテレビ中継で見ながら、州ごとの開票結果に一喜一憂していました。年々若者の投票率が下がっているという日本の様子とは180度違う光景でした。そもそも、私自身その当時、友人と政権や法案について議論を交わしたことがほとんどなかったのですから。

スライド1                              (写真:筆者撮影)

次に、レストラン。アメリカの家庭料理が食べられるお店でお気に入りだったお店。久しぶりに10月に訪れると、「お客様はどちらをサポートしますか?オバマなら青色の左のドアから!ロムニーなら右の赤色のドアからご入店ください!」というドアには、遊び心がありながらも、こんなにも大胆に政治的思考を主張させる入り口には少しびっくりしました。

スライド1                              (写真:筆者撮影)

ヒューストンにて

そして、2018年から2020年の夏までは、大統領選挙に向けて激動するアメリカのヒューストンの文化交流団体で働いていました。(ヒューストン市は民主党の支持者が多いのに対し、ヒューストン市のあるテキサス州自体は共和党の支持者が多い地域です。)この時にも肌で両者の支持者がいることを感じました。

まず、オフィスで。2018年の中間選挙開票の翌日朝、駐車場からオフィスに向かう途中同僚に会い、「昨日の開票結果見た?どう思った?私は中継放送ずっと見てた〜!」との第一声。その後も、オフィスの中では中間選挙の結果について議論が交わされていました。オフィスの同僚は民主党支持者がほとんどだと思います。

次に、車や家の前のサインや旗です。
アメリカでは国旗が至る所に掲げられています。そして、それと同じくして、選挙が近くなると誰を支持するかのサインプレートが家の前に立てられてたり、選挙会場となる場所の芝生部分に立てられたりします。(下図参照)
政治に関する主張を表に出さない私たち日本の社会では考えられない現象ですよね。お隣さんと自分の庭に違うプレートが立っていることもあって、見ているこちらは何かトラブルにならないかと心配してしまいますが、そこは無駄な心配のようでした。

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そして、車社会のアメリカでは一部の人は車にも誰を支持するかを装飾し、主張するのです。下の左の画像はバイデンを応援する方の車。右はトランプを支持する方の車です。写真にはテキサス州の端、メキシコとの国境に住んでいるラティーノ=メキシコ系とその他南米系の方々がどちらに投票するかの、リアルな意見が書かれた記事をリンクにて入れています。下に日本語訳の抜粋文を掲載します。

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この写真の記事の内容は、

「今までとは違う何かが新しいもの欲しい。だからトランプに投票します。」という人から、「まだ決めていないんですよ。この人だ、と思った人に投票したい。でもバイデンはこの人だと思う決定打がありません。もう少し様子を見て決めようと思っています。」という人、「この美しい場所に壁は必要ないと思います。ー会話中(視察の?)ヘリコプターが頭上を通過ーえっと、なんというか、この一瞬でも私の考えは変わったりするわけです。」「メキシコとアメリカとの壁を作ることは両国の人々の命を守る」「アメリカを素晴らしい国に保つことは何が悪いんでよう。私の家族を素晴らしい家族に保つのと同じことだ。」という人、様々です。


現地の方々がみんなトランプを支持していないわけではないのです。特に自分たちの住む環境に何が・どちらの政策が最善かきちんと見極めています。*この手の記事は自分から探しに行かないと目に入ってこないところにも注意が必要です。

私が聞いたリアルな現地の方の意見2020年

リベラル派

「また、トランプが壁を作るとか言ってる。彼がこういう"レイシズム(人種主義的)"な発言をすると移民系の子供に対するイジメが増えているとニュースでも言ってるし、やめてもらいたい。」「またも黒人が白人警官に殺害された。」「コロナが流行って来ているからといって、特定の国からの入国を禁止するトランプはレイシズムだ。」「コロナ対策が遅かったからコロナウィルスがこんなにもアメリカで流行ってしまった。」

保守派

「移民と不法移民は全く話が違う。不法移民は不当な労働環境に陥る危険がある。」「2016年の時もあったな〜そう言えば。いつも選挙の年になるとBlack Lives Matterが大きく叫ばれる気がする。」「経済が良いのが一番に決まっている。トランプはそれを成し遂げてくれた。トランプはたった4年しか政治をしていないのにこの成果。バイデンは何十年も政権にいて何をしていたんだ。」「国を素早く封鎖し、コロナに迅速に対応してくれた。」

この両者の意見を見てどう思いましたか?ちなみに、この文章は私が覚えている友人・知人たちの言葉です。この文章も私がどう文章を書くのか、語気を強くするか、どうやって日本語訳を書くか、私がどちら寄りの思想かによってもフィルターがかかってしまうので、読み手は注意が必要だということを明記しておきます。

体験からくる私の感想2020年

テキサス州ヒューストンに住んでいた時に、感じたことを5つ挙げたいと思います。

1、政治の思想やその人の肌の色に関係なく、私に接してくれた人はみんな優しかったということ。そして、異文化にもオープンで日本文化に興味津々だったということ。

2、黒人が白人警官に殺されたというニュースを多く見る中で、黒人さんの警官もたくさんいるのになぁ、と思いました。街では事故が多いので、よく警官の方が高速道路を止めて現場にいるのを幾度となく見ましたが(それだけ交通事故が多いんです...涙)、私の体感としては、黒人警官もも白人警官も半分半分ぐらいの割合いた感覚です。そして男女比も均等で女性の黒人さんの警官もよく見かけました。その実体験があるだけに、なんだか不思議なモヤモヤした気持ちになりました。白人さんが黒人さんを、この構図・フレーズで私たちの憤りが強調させられている気がしました。

3、加えて、ソーシャルメディアが、ちょっと怖く感じた日がありました。Black Lives Matter運動の中でBlackout Tuesdayと称し、黒く塗りつぶされた画像をソーシャルメディアに投稿することで、人種差別撤廃に訴える運動が世界中に広がりました。物事を深く考えすぎる私は、あまり事件の内容や状況を詳しく自分で理解・咀嚼できていなかったのと、あまりSNSは得意じゃないので特に投稿する気はなく、その後もその投稿はしませんでした。もちろん、痛ましい事件で、この類の事件は昔から多いことも大学の授業で学んでいたので、まだまだ根強いんだ、とアメリカのリアルを体感した感覚でした。ただ、私の中で何が本当なのかその当時のニュースだけではわからなかったのです。そんな中、私の友人はほとんどがBlackout Tuesdayに参加しています。そしてアメリカでは、「運動に参加しないということは、その運動に反対していると同じことだ。」とまで言われるようになりました。でも、私は何か引っかかるものがあり、その日黙々と涙をこらえながら鶴を折ってFacebookに投稿しました。それが、私なりの「平和」を祈る方法だったから。でもその日、私は言論の自由が失われている気がしました。

3、アメリカのコロナの対策はとても早かったと思います。各州法律が違うので、各自治体に任せているところもありますが、トランプは最初は"レイシズム"と言われながらも、早い段階で国の入り口を閉じる、または入国可能対象国を絞って、ウィルスが国に持ち込まれることを防いでいた印象です。でも、これはその後ウィルスの蔓延によって対応が遅かったと批判される羽目になってしまっています。そして、各自治体もかなり権限があるので、素早くStay at Home Order(外出自粛令)を出していました。なので、私の働いていた環境は一瞬で在宅勤務に切り替わり、レストランなども店内飲食が不可能になり、外に出るのも運動など限られた時のみに制限されました。いつも渋滞のできる道路やハイウェイは車が一気に減り、ゴーストタウンのような雰囲気が出るほど、誰も外を歩いていなかったのを覚えています。

4、コロナが蔓延していて、州知事の命令で50人以上の集会ができなかった5月、6月。あれ?Black Lives Matterのデモは許されるんだ、と思いました。絶対に感染者数が増えてしまう、と思いました。根本から根付いている負の連鎖を断つために、人々が力を合わせる必要はあります。でも単純に私には政府の政策との矛盾点でした。アフリカン・アメリカンの友人も「みんな〜今はコロナが流行っているからそんな大きなデモはダメだー!家にいるべきだよ。」と言っていて、同じ考えの友人がいて良かった、と安心したのを覚えています。

5、何の話をするにも「人種」の言葉を使わないといけない大きな矛盾。私は"レイシズム"にならないようにするには、ある人の特徴も話せない、ひいては「アメリカ人」と総称するのもレイシズムに当てはまると思ってしまいます。(すごい極論ですが、笑)  アメリカには先住民と言われるネイティブ・アメリカン、アメリカで生まれ育った方もいれば、別の国で生まれ育ちその後アメリカに渡ってきた方、そもそも移民の国なので〇〇系アメリカ人という呼ばれる方々も沢山います。だから、アメリカ人と一言でまとめられるのかな、と疑問に思ったりもするのです。おそらくトランプが、"レイシズム"と言われるのには、ある一定の人種のことを批判的・攻撃的とも捉えられる言い方で言うからですよね(涙)。でも、反対に"レイシズムは反対"と言っている状態自体が、肌の色をメインテーマにして、あえて肌の色を意識させるような感覚を覚えました。変に意識しちゃうというか。

まとめ

右にも左にも寄らず、中間的視点でアメリカ大統領選挙を見ようとしてきましたが、2020年は現状コロナ政策、Black Lives Matter運動どちらにおいても、民主党と共和党との間で激しい批判大会が繰り広げられています。政党同士、支持者グループ同士が批判し合うという構図のせいで、人々も今まで以上に分断されているんじゃないかな、と思ったりもします。お互いをいがみあい、相手の意見も聞こうとしないような構造ができてきている気がします。もしくは、自分とは違う意見や考え方の人とは付き合わないというようなことも起こってきているかもしれません。文章の中に注意点として、私の文章にでさえバイアスがかかっている可能性があることや、自分から見つけに行かないと得られない情報があるということを書きました。一つの情報に頼らずあらゆる角度からの情報を仕入れて総合的に判断できる人間になる必要がありそうです。