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仏・ストラスブール〜過去何度も国籍が変わった「街道の街」

〜街歩きスナップ②

「日本以外だったらどこに住みたい?」と聞かれたら、私が迷わず答える街がフランス東部に位置するストラスブールです。

ストラスブールはStrasbourgと綴るが、「街道の街」という意味で「欧州の十字路」の街として有名です。「最後の授業」でも知られているアルザス・ロレーヌ地方のうちストラスブールはバ・ラン県の県庁所在地。19世紀だけでも4回も国籍を変えた複雑な歴史があります(フランス領になったりドイツ領になったり)。 

今日はそんなフランスなのにちょっとドイツっぽい街ストラスブールを写真で案内します!

ドイツに歩いて行ける街

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私が留学生としてストラスブールに初めて足を踏み入れたのは1999年。まだユーロではなくフランが使われていて、まさにユーロに移行する直前。ドイツの隣町、Kehl(ケール)にはトラムでも徒歩でも行ける国境の街だ。ユーロ前もドイツへはたまに買い物などで行っていた。一応国境にはチェックポイントがあったが、ノーチェックだった。

トラムはそれこそ20年前から低床で全面ガラス張りのモダントラムで、車椅子、バギー、スーツケースでも他人の介添え等不要です。昔から日本の地方自治体が視察で来ていました。欧州で色々な国に住んだり、行ったりしたが、ここまでバリアフリーのトラムはなかなかないと思います。

ストラスブール市の人口は28万人程度だが、欧州議会・欧州人権裁判所・欧州評議会などが設置されているちょっと独特の雰囲気があります。2007年にパリーストラスブール間を新幹線(TGV)が開通して2時間弱で結ぶ。その前は4時間近くかかっていたので、私が留学していた頃はパリは結構遠い存在だった。

住みやすい街

アルザスの街はフランスにしては(?)清潔で、人の生活もゲルマン要素があるように感じます。ストラスブールはコンパクトながらも生活しやすい街でした。そして私がいた頃から差別などを感じることはありませんでした(スリは少ないがたまにいた!)。先日書いたオランダ・マーストリヒトもそうでしたが、「国境」がなせる故か、外国人が行き来することが昔から当たり前のカルチャーというのはあると思います。↓の新書にも記載されていましたが、ライン川沿いで貿易をもとに発展した街でもあり、人々はオープンマインドと感じます。

アルザスの鳥、コウノトリ。公園で見ることもあります。

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これは旧税関(Ancienne Douane)。今はレストランになっています。

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建築を楽しむ

アルザスの平原から見渡せるストラスブール大聖堂。地元の人は単にカテドラルと呼んだりするが、創建は11世紀のゴシック建築の傑作の一つと言われていてヴォージュ山脈のバラ色の石を使っているためピンクのような赤っぽい石が特徴的です。ゴシック様式の大聖堂ですが、内部はロマネスク様式を取り入れたり、世界最大の天文時計もあります。正面のアングルも素晴らしいですが、西側側面のアングルもゴシック様式の建築美が見れます。ミサがない時間は中に入ってステンドグラスや薔薇窓を見ることができます。最初にカテドラル近くで重低音の鐘の音を聞いた時にはちょっとびっくり。荘厳な音がします。

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カテドラルは展望台があり、所々人の重みでへこんでいる石の狭い階段(332段)を上ると、この眺めに出会います。体力がある人はぜひ! 中世からさほど変わらないのかも。

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カテドラルから出ると右手にはMaison Kammerzellというホテル・レストランが見えます。15世紀の建物です。75枚の装飾ガラスが目をひきます。

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カテドラルの前には活版印刷の発明者、グーテンベルグ広場。

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ちょっと歩くと小フランス(Petite France)地区、このあたりは世界遺産に指定されています。漆喰を使ったハーフティンバー様式の街並みは暖かみがあります。

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ストラスブール観光が初めての場合はボートツアーがおすすめです。屋根(空調)あり、屋根なしボートがありますが、カテドラル裏手のロアン宮からスタートし、プチット・フランス、欧州議会等がある現代建築群などを見ながら、日本語音声ガイドでストラスブールの歴史を知ることができます。

1時間半くらいですが休憩にもなります。冬場は川が凍らない時期まで運行されています。

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食を楽しむ

他のフランスの街と同様、ストラスブールは美食の街でもあります。お菓子・ケーキも有名です。

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どの喫茶サロンに行っても「はずれる」ことはないと思いますが、ここは老舗の”Christian"。市内に2軒ありますが、カテドラル参道のお店は内装が凝っていて独特の雰囲気があります。

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秋にはモンブラン(フランス語ではTorche aux maronsと言わないと通じない)を食べにドイツから行っています!ドイツでは栗を食べる習慣はあまりないような・・・。そしてフランスではケーキにフォークが刺さって出てきたことは見たことがありません!(ドイツのナイフが刺さったケーキは運ぶ便宜などの理由があるようです)

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星付きレストランもアルザス・ストラスブールは数軒あります。ここは緑あふれる隠れ家的なビュルイーゼル(BUEREHIESEL)。オランジュリー公園の中にあります。こういったお店に行くのは夜もすばらしいですが、ランチもおすすめです。夜よりも手頃で時間も長くないので、胃の負担も軽いと思います。テラスもあり、カジュアルな感じで、ジーンズで来ている人もちらほら。

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メニューも凝っています。フランス語の他にドイツ語も完備しています。

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ドイツっぽい定番料理もあります。これはタルト・フランベ。ドイツで言うところのフラムクーヘンです。アルザスワインが合います。ちなみにアルザスのワイングラスは取っ手が緑色で小ぶりです。ストラスブール駅のカフェはアルザスワインのグラスワインが3ユーロちょっとで飲めるので、電車に乗る前におすすめ!

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クグロフ。山の形をしたこのパンはお輿入れ前のマリー・アントワネットが立ち寄った時にフランスに伝わったと言われる菓子?パンです。朝食ミーティングなどの時にも出てくるパンです。このクグロフは家庭でも作っている人もいて型も簡単に買えます。上にはプレッツエルも。味はストラスブールの方がドイツのよりもややマイルド。

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ブルターニュ地方の蕎麦粉のガレットを出すお店もいくつかあります。軽いランチにぴったり。

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モーツアルトのオルガン

カテドラル近くのサン・トーマ教会にはモーツアルトが演奏したと言われるオルガンが残っています。

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フランス随一のクリスマスマーケット

アルザス地方はフランスでも歴史が古くクリスマスマーケット(Marche de Noel)が有名です。ストラスブールの市場は毎年テーマがあるようでデコレーションも年ごとに少しずつ違います。カテドラル近くにはバカラのシャンデリアを飾る道もあり、ドイツのマーケットとは違う雰囲気です。私はドイツもストラスブールのクリスマーケットもどちらも好きです! ただ、ストラスブールは街自体がコンパクトなので、観光客であふれていてクリスマスの時期は歩きづらい気がします。ストラスブールのマルシェは近年テロの被害にもあったり、今年はコロナでどうなることやら・・・。

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クレベール広場ではクリスマス時期にはモミの木を販売しています。

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ホットワインのグラスもドイツなどと同様年ごとにデザインが異なります。白ワインのホットワインも美味しいです。(たまに悪酔いするけれど・・・) 

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今日は日本の次に好きな街、ストラスブールについて書いてみました。その素晴らしさが伝えきれませんが、フランス・ドイツ近辺にいらしたらぜひ散歩してみてください! フランスとドイツの「良いとこどり」の街並みと食に出会えます!!

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次回はアルザス・コルマールとワイン街道の街歩きスナップです。

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