『NO MUSIC, NO LIFE』(2000)
これは、あとがきによると、2000年初執筆だった(らしい)、30分ほどでさっと書いたもの(らしい)、ルーズリーフ2枚のおはなし。
日付的に、センター試験の結果も出て、授業が自由登校になるくらいの時期のようだ。受験勉強の息抜き? 浮かんだら、書かずにいられなかった頃。
某レコードショップのキャッチコピーとしても有名なこのフレーズ。
わたしの生活、人生においても、執筆当時も今も。音楽は欠かせない。
BGMにこちらをどうぞ。
基本的に執筆当時の原文ママです。
まだこの世界に音楽が生まれていなかった時代
OR
音楽というものが消えてしまった ずっとずっと未来の時代。
*
人は、水のしずくがピチョンと落ちる音に、
神秘を感じた。
火山噴火の爆発音に、
恐怖を覚えた。
一つ一つの音の違いに、
興味を感じ、不思議を覚えた。
*
CDやMDやLPや。 そんなソフトはこの世にない。
コンポも、ラジオを聞くためだけのもの。
TVに歌番組や、クラシック中継なんてプログラムはない。
歌手なんてvocationもない。
そんな時代に、音楽を再(??)発見した人がいた。
その時代には、博物館には、
楽器 ―― ギターやドラムやトランペット
CD、MD、LPなどのミュージックソフト
CD5枚チェンジャーなんかがついたコンポ
そんな物が展示されていた。
化石と同レベルで。
一家一台でピアノがある時代も去っていた。
*
彼は、毎日色んなモノの音を楽しんでいた。
空から降ってくる雨のどしゃぶり音。
鳥の鳴き音。
グラスにスプーンのあたった音。
窓から首を出して、外に耳をすませていた。
博物館で化石と同レベルの楽器を見るのもスキだった。
”音楽というモノが何かわからないけど、きっとスバラシイと思う”
彼はそう思っていた。
*
ある日彼は、そっと息を吹きかけようとして、
口から ピュー と音がでるのに気付いた。
「何だ、今の?」
もう一回やってみると、さっきとは違う音がでた。
続けてピューピューしていると、違う音たちが並んだ。
う??
澄んだ音たちが並んだ。
彼は面白がって、それを毎日毎日やった。
「これは何っていう動作なんだろう?」
彼は博物館に行ってみた。
楽器コーナーには沢山のモノたちがいた。
打楽器。
ドラム??ティンパニ??シロフォン??チャイム??カバサ??
→ NO. チガウ。
鍵盤楽器。
ピアノ??エレクトーン??チェンバロ??オルガン??
→ NO. コレモチガウ。
弦楽器。
バイオリン??ビオラ??チェロ??コントラバス??ギター??
→ NO. コレモチガウ。
管楽器。
木管楽器:ピッコロ、フルート??クラリネット。サックス?リコーダー
金管楽器:トランペット、コルネット??トロンボーン、ユーフォニアム、
テューバ??ホルン
→ Let me see・・・ コレカナ??
説明を読んでみると、
―― 管楽器はマウスピースに息を入れて音を出します
彼は、息を入れると、という記述が気になった。
マウスピースから管内に息が入るという事は、
口から息を吹き出しているという事だ。
→ Yes. コレダ。
彼は喜んで家に帰った。
大発見だった。
窓から夕焼けを見ながら、口から音をかなでた。
「あ、大事な事忘れた」
彼は音を出すのをやめた。
「コレは何って言うんだっけ??」
*
彼は博物館や図書館に通いつめた。
そして、口を使って鳴らすモノをカンタンに
”笛”というコトを知った。
「フエか。 じゃあこれは 口笛??」
彼はまたもや大発見をした。
嬉しくて口笛を吹いたら、館内は静かにっておこられた。
帰り道、ピューと吹いたら、鳥が肩に止まった。
暗くなっても吹いてたら、家にヘビがいた。
「昔の迷言がホントになった☆」
*
彼は、お風呂の中で、ふと思った。
息が出る所なら、笛は他にもあるかも。
湯舟から出たら寒くて、くしゃみがでた。
あ、鼻も息がでるじゃん。
鼻から息を出してみるが、口笛のようにうまくはいかない。
息の通し方を工夫しているうちに、
フンフン♪
と、音が鳴った。
「鼻笛だ!!」
彼は嬉しくて風呂の中でフンフン♪うたった。
エコーしていた。
*
彼は思った。
何だかサイキン楽しいなあ。いつからだろう。
そっか、笛を見つけてからだ。
音楽は、
音があって楽しいってコトなんだ。
彼は1人で音を楽しみ、
音のある楽しい生活を送った。
His happy life made from MUSIC.
NO misic, no his life.
end
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