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踏み出す一歩がここで見つかる。「星や宇宙を仕事に!」イベントレポート(後編)イワシロアヤカ/risa

「星や宇宙を仕事にする。」宇宙好きなら、一度は夢見ることかもしれない。
10年ほど前まで、その実現の方法は研究職や関連企業への就職が主なルートだった。でも今はもっと選択肢がある。宇宙を扱う業界も増えたし、Youtuberや星空ガイドとして個人起業する道もある。
しかし一方で、仕事にすることへの不安を抱える人が多いのも事実。そんな人のために、ビジネスとして成り立たせる方法を探り、仲間同士の交流を図ることでその不安を解消しようというイベント「星や宇宙を仕事に!~つかめ、未来!~」(5月18日東京にて)が開催された。
 
5月18日のイベント開催情報はこちら↓↓↓

踏み出す一歩がここで見つかる。「星や宇宙を仕事に!」イベント開催にかける想い-対談(前編)の記事はこちら↓↓↓



星空ナビゲーター risa

星空ナビゲーター risa
移動科学館Science a GoGo代表
星空案内人 科学コミュニケーター
1990年7月14日、埼玉県生まれ。東京理科大学理学部第二部物理学科卒。
”科学をもっと身近に”を軸に、科学イベント企画、天文台広報、キャリア講師、YouTube星空解説員など活動中。子供たちの好奇心の芽を伸ばす活動を通じ、"「なぜ?」を「もっと知りたい!」に変える”を体現する。

 

イワシロアヤカ

イワシロアヤカ
sorashiro(ソラシロ)代表
星空案内人 認定ワークショップデザイナー®
1988年11月16日生まれ。愛媛県今治市出身。”星空のチカラを生きるチカラに”を掲げ、星や宇宙をテーマに"体験"をプロデュース。子どもから大人まで、みんなで楽しめる星空観察会、教室、座談会などを企画・開催。

イベントが終わりましたね!終わった今の感想を教えてください!

イワシロ:
ものすごく楽しかったです!限られた時間で準備するのがメチャクチャ大変だったけど…(笑)なんとか完走!応援して下さった皆さん本当にありがとうございます!
 
risa:
参加していただいた皆さんの熱気が本当にすごくて…本当に皆さんのご協力あってこそあの場が作れたと思います!楽しかったです!

イベントの内容はどうでしたか?

イワシロ:
ステージ企画のオープニング&アイスブレイクからスタートしました。ホスト、スピーカー、ブースの紹介があって、そのあと5人一組に分かれてグループでの交流タイムに。自己紹介をしたあと、1年後にやりたいことをシェアしていただきました。
 
risa:
初っ端からワイワイと積極的な交流が生まれていて、温度が上がっていましたよね。始まったばかりでの、この盛り上がりを見て正直驚きました。
 
イワシロ:
本当に。最初に「1年後という未来を思い描く」問いをrisaちゃんが設定してくれたので、ワクワクした気持ちで始めることができました!
 
risa:
場が温まって、そのままゲストによるトークセッションに入っていきました。
株式会社サイトロンジャパンの都築泰久さん、Relive TLV Production代表でYouTuberの成澤広幸さんに、「星空をビジネスにするには」を語っていただきました。
印象的だったのは『人は価値のあるものに金を払う』という都築さんが紹介したフレーズ。当たり前なんだけど、改めて考えさせられる内容でしたよね。
 
イワシロ:
そうそう。星空の事業は、手放しに「いいね!」「素敵!」と言われがちだけれど、ありがたくもそう言われてしまうからこそ、「お金」に変えていくことが難しい。そこで評価されたことで満足してしまったり、価値を「お金」に変える前に諦めてしまったりする例をいくつも見てきたと。「星空の罠」があることを意識しておかなければならないよということでしたね。

ゲストによるトークセッション

risa:
そんな中でも仕事として成り立たせるために、成澤さんは「市場規模」を見て事業を考える、と言っていました。市場規模をもとに売り上げの見通しを立てることができれば、企画を作ったり誰かに提案したりしたときに説得力が生まれますよね。
 
イワシロ:
ご自身のことを「ミスターすき間産業」と言っていましたが、ライバルがどれくらいいるのかということも考えながら、なるべくまだ誰もいないブルーオーシャンを狙うようにしているという事でした。成澤さんは元営業職ということもあって、かなり戦略的だなという印象を受けましたね。

都築さんは会社員として、成澤さんはフリーランスとして、違う立場からのお話はありましたか?

イワシロ:
星や宇宙の仕事も色々で、会社に所属してやる方もいれば、個人で活動するという選択をする方もいますよね。会社というチームでやれることとして、自分だけで100%稼がなくてもいいというのは大きなメリット。
耕す、種をまく、収穫するという役割が分かれている。未来のための投資に時間やお金をかけられるのは組織のいいところ、というお話がありました。私も会社に所属していたことがあるので、これはよくわかります。

一方で、フリーで活動するとなると、自分の食い扶持は自分で稼いで来ないといけないから、そこは負担が本当に大きい。でも、クライアント一人ひとりとドメスティックに接することができたり、自分のペースで仕事ができたりするのは大きな魅力ということでした。
 
risa:
色んな人と会って、交流して、話して、そんな中でアイデアややりたいことが自分の中で整理されていく。仲間ができれば、チャレンジするときも背中を押してくれたり、味方になってくれたりする。そんなお話も出ていました。
お二人が色々苦労されてきたからこそたどり着いた仕事の「原点」に触れられた気がして…。ものすごく貴重な機会だったなと思います。

次のパネルセッションでは、夢に向かってチャレンジ中の3名が登場しましたね。

risa:
夢を持った3名の登壇で、会場はさらに熱くなっていました。それぞれの夢を語っていただき、それに対してゲストスピーカーたちもアツく返す。エネルギーの乗ったやり取りが生まれてました。
実際にチャレンジしている方のお話を聞くことで、どの段階にどんな悩みにぶつかるのか、どんな解決策を取っていくのかを知ることができたのではないでしょうか。これから何か始めようと思っている方にとって、夢に向かって取るアクションが具体的になっていく時間だったかなと思います。
 
イワシロ:
惑星科学者VTuberの星見まどかさんは「“宇宙について楽しく伝える”を仕事にすること」、東大大学院生でYouTuberでもあるリコットさんは「日本一のアストロエンターテイナー」、北海道のホテルで星空ガイドとして活躍するこむらなおみさん(ほし屋さん)は「たくさんの方と星や宇宙を楽しみたい。ホテル以外の仕事を増やしたい」と、それぞれに夢や目標を持ち活動されています。
パネリストの皆さんには、夢がかなった状態を10点満点として現状を評価していただきました。まどかさんは4点、リコットさんは0.06点(辛口!)、こむらさんは4点という評価でした。

パネルセッション

risa:
こむらさんは、地域や周辺の観光地にどうやって仕事を拡げていくのか、というお悩みをお持ちでした。自身も天体望遠鏡販売会社を経営しながら、20年以上各地で観望会を実施する船本成克さん(有限会社スターゲイズ)は、持ち込む企画書について「実績や予算を入れて作り込むこと。そして相手方の持っている星空資源の素晴らしさをわかってもらうことも大切」とアドバイスされていました。
 
イワシロ:
リコットさんの自己評価はかなり辛口でしたが、目指す立ち位置を見据え、SNSのフォロワー数から導き出した分析結果を数値化してくれていました。こういう考え方がまず参考になりましたよね。達成まで長い道のりであることを明確に認識し、継続や認知という課題に気付き、解決していこうとする姿が刺激になったのではないでしょうか。
同じくYouTuberの成澤さんからは、他業種とのコラボやターゲットのいる市場に進出するというアイデアが出ていましたね。
 
risa:
星見まどかさんは、ひとりで活動を続けている中で感じる「キャパシティの限界」について語ってくれました。時間的にも能力的にも限界はある。もうこれ以上増やせないけれどどうすれば…というリアルな悩みが飛び出ていました。
 
イワシロ:
「誰もがぶち当たるであろう悩み」と都築さん。「やらないことを決める。できないと思ったら早い段階で切る、誰かに(仕事を)振っていく」とアドバイス。何でも完璧を求めてしまうというまどかさんは、今日このあとやりたいことリストを見直してみます、と早速行動に移す決意をしていました。
 
risa:
文章で伝わらないかもしれないのですが…このパート、まだまだ聞きたいのに時間が足りなかったですね!

パネルセッション(配信のスクリーンショット)

イワシロ:
本当にね。まだまだ話し足りないし、まだまだ聞きたかったです。それくらいみんなが求めていた場だったのかもしれません。
このパート、実は参加者のみなさんにもパネリストの皆さんと同じ質問をぶつけていたんですよ。記入できるワークシートにして配布していたんですね。「叶えたい夢」「現状の数値化」そして「今、夢に向かってできることは何か」というコーチングの要素を取り入れた質問でした。
記入しながら真剣に聞いてくれている方も多くいて…それぞれに「次の一歩」を模索する濃い時間になったのかなと思っています。

ブース出展もあったのですよね。どんな様子でしたか?

各ブースの様子

risa:
宇宙日本食を開発中の「チームゆら」のブースには試作品のみかんゼリーが展示されていたり、今回配信を担当していただいた「アストロコネクト」のブースにはオリジナル宇宙グッズが並んでいたりと、本当に様々な方面で活躍されているみなさんに出展していただきました。
みんなカラーが違っていて面白かったです!それぞれの活動の内容も、持っている想いも違っていて。

ブースの様子  チームゆら 
中央:増田結桜(ますだ・ゆら)さん 中学2年生
 ブースの様子(ヒロ@星のソムリエ)

イワシロ:
参加者の方からは、「気になっていた人に会えて話せたので嬉しかった!」というお声もいただきました。それぞれのブースに何かしらの展示物があったので、初めましての方も、それを通して交流しやすい構造になっていたかなと思いました。話しかけるハードルが下がると言いますか。参加者と出展者の交流はもちろん、出展者さん同士まで「会いたいと思ってました!」と繋がりを拡げているのを見てグッときちゃいましたね。ここでも交流が生まれているんだなぁと。
 
risa:
自分たちもたくさん刺激をもらったし、「こんな場が欲しかった!」と温かい声をいただいたので、嬉しい気持ちになりましたね。
 
イワシロ:
私が展開したsorashiroのブースでは、「ミニコーチング」もやっていました。夢や目標に向かってどんな具体的な一歩を踏み出すかを見つけるというのが目的です。
今、気になっていることや叶えたいと思っていることを思い浮かべてもらってから、「問い」のおみくじを引いてもらい、答えてもらうという流れ。
おみくじには、インパクトがあるけどだからこそ自分の枠を外せる「問い」が書いてあるんですよ。
「余命1年だったら何をしたい?」
「夢を叶えるために今何を捨てる?」とか。
答えは与えられない。自問自答なんですね。問いに答える過程で「それってどういうこと?」「ほかには?」などとツッコミを入れながら深めていってもらって、最後に「あなたなら絶対うまくいく!」みたいに背中を押してくれる勇気づけのひとことを持って帰っていただくという流れです。
 
risa:
漫然と感じている課題とか自分の目指すゴールとかって、今ある枠の中だけで考えてしまっていると明確にならなかったり、限界を作ってしまったりしがちですもんね。パンチのある問いが枠を壊してくれるのはいいですよね。
 
イワシロ:
しかもおみくじだから、予定調和ではなく即興性もある。体験して下さった方の中には、まず「問い」のおみくじを引いた時点でハッとした顔をされる方もいて。答えを探す中で、「自分が本当にしたいことは何か」「どんなことが壁になっているのか」「理想に近づくためにできることは何か」に気付いてもらえたのかなと思います。好きなことを仕事にしていくためのヒントとパワーを持って帰っていただけていたら嬉しいですね。

「星や宇宙を仕事に!」というテーマについてはいかがでしたか?

イワシロ:
ゲストトークセッションで出てきた「星空の罠」という言葉の通り、これまでは対価として「お金」をいただくのが難しいとされてきたのがこの分野だと思います。だからこそ新しい価値を生み出すために何かできるのかを考えていく必要があるんですよね。
 
risa:
今回のイベントが、そんな課題に対してヒントを得られる場、多様な関わり方・考え方を持つみなさんが出会う場になって、ビジネスとしての価値を見出すきっかけになれていたら最高ですね!開催に至るまでたいへんな部分もたくさんありましたが、「仕事にしたい!」という想いに共感して応援して下さる方も多くいて、同じく課題を感じながらチャレンジしている仲間がいるんだな、と感じました。
 
イワシロ:
星や宇宙の中でビジネスとして勢いがあるのは、「宇宙開発」や「宇宙輸送」の分野かと思います。でも、そうした分野に関わる人材を生み出しているのは普及者、つまり星空ガイドさんだったり、望遠鏡屋さんだったり、情報発信者だったりするわけですよね。そう考えると、「宇宙開発」「宇宙輸送」の手前のビジネスには重要な役割があるし、これからもっと新しいいろんな形の「星の仕事」が生まれていって欲しいですね。

最後に、「星や宇宙を仕事に」することを目指す皆さんへ、メッセージをお願いします!

risa:
好きなことを仕事にするのって、どこか勇気がいることになってしまってて、続けていて時に不安になる瞬間も本当に沢山あると思います。
ひとりで走っていると、この方向であってるかな?もっといい方法があるんじゃないかって考えすぎて動けなくなってしまったり、自分に自信がなくなってしまったり。
でも、仲間がいれば!気軽に相談をしたり、壁にぶつかった時にどう乗り越えたか、情報を共有することで、抜け道を見つけられます。継続することがなによりも大切!
ひとりだと頑張れないことも、仲間となら頑張れます!同じ想いを持つ皆さんと繋がって、なりたい自分を、未来を掴みましょう!皆さんの夢を応援しています!!
 
イワシロ:
星の仕事、と言っても仕事の幅は無限大。自分の道を自分で拓いていくこともできると思います。例えば私は、パフォーマー(星空ガイドやトークショーなど)として働くこともしていますが、プロデューサーとしての働き方(こうしたセミナー系のイベントや講座、好きなことを仕事にしたいと考える人のサポートなど)を通して、星や宇宙の業界を盛り上げていくという道を開拓しています。
これから自分の道を選ぶみなさんにも、人と関わる中で自分を見つめ、自分に合ったやり方を見つけてどんどん進んでいって欲しいなと思います。
私もまだまだチャレンジ中ですから、一緒になって発展していければ嬉しいです!

 ホスト
risa(移動科学館Science a GoGo)
イワシロアヤカ(sorashiro)
木原美智子(日本旅行)

 
ゲストスピーカー
都築泰久

成澤広幸

船本成克

 パネリスト
こむらなおみ(ほし屋さん)
https://www.instagram.com/hoshiyasan.komukomumi/

リコット

星見まどか

 ブース出展していただいたみなさん
アストロコネクト

一般社団法人チームゆら

ササキユウタ
https://linktr.ee/barnards_yuta

宙クリップ

国立天文台すばる望遠鏡

ヒロ@星のソムリエ(秋池浩)
株式会社サイトロンジャパン
有限会社スターゲイズ
星見まどか
リコット
ほし屋さん
移動科学館Science a GoGo
sorashiro


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