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夢のロボット

とある研究施設、博士とその助手が目の前にある人型のロボットを見て会話をしている。
「ようやく、完成した。夢のロボットが。」
「博士、ようやくこの時が来たのですね。」
「うむ、何十年とかかってしまったがな。このロボット一台あれば何でもできる。人間が怠惰になっていきこれからはこのロボットの時代が来る。このロボットたち中心の世界となる。早速起動させよう。」
博士はロボットの背中にあるボタンを押した。ロックンロールの起動音が鳴り、ロボットの目のような部分が青く光った。
「コンニチハ、ゴシュジンサマ。」
「おお、話しましたね、博士。」
「もちろんだとも、この程度のは世の中にいくらでもあるがこのロボットはまだまだこんなものではないぞ。そうだな、駐車場にある俺の車を研究所の前に持ってきてくれ。」博士は倉庫の赤い車を指さして言った。
「カシコマリマシタ。」
ロボットは早速研究所から駐車場に向かっていき車を持ち上げ研究所に持ってきた。その時間はおよそ30秒。人が駐車場に行くだけで1分ほどかかるのに対し、ロボットはものの30秒で成し遂げた。
「早いですね。ていうか、車に乗るんじゃなくて車を持ち上げてくるんですね。」
助手は笑いながら言った。
「運転をしなくてもこのロボットは速いし、力もあるからな、便利だとも。」
その後、このロボットは人間の生活に必要なことは何でもやって遂げた。料理、買い物、掃除、洗濯、睡眠を促進させる音楽を奏でたり、お金を稼いでくれたりした。そしてこのロボットの移動手段として空を飛んだり、凄まじいスピードで走ったり人間離れしたことも容易にできた。
「このロボットに武器とかってないんですか。」
「ないとも、こんなに便利なロボットがいてわざわざ戦争を起こすやつもいなかろう。」
「確かに、そうですね。」
「このロボットを世界に供給し、このロボット中心の世界を作るのだ。」
「さすがです、博士。」

数ヶ月後、このロボットは世界中に売れていき、爆発的な売り上げを記録した。
数年後には、全世界の人が凍ロボットを所持し、ロボットに頼るという生活を送っていた。このロボットにはAIの機能も備わっており、医学、政治学、経済学などの知識もアップデートされ、難病で苦しんでいた人やがんを患っていた人たちの病気を瞬く間に治っていった。このロボットは政治や経済も回しており、さらに数年後には、知識のアップデートが進み、ロボットを人間は崇めるべきといったロボットに有意な法律もできていた。そして、数年前とは打って変わって博士が望んだロボット中心の世界へと変わっていった。
「まさかここまでロボットのアップデートが早かったとは。ここまで望みどおりになるとはな。わはははは。」博士は高笑いをしながら豪華になった研究室の椅子に座っている。
「そういえば、博士、このロボットの動力源は何になってるのですか。」助手は長年の疑問をぶつけてみた。
「このロボットの動力源はな、私なのだよ。私がこの世に存在する限りはあのロボットたちは動き続ける。しかも私は先日、医学ロボットに作ってもらった不老不死の薬を飲んだから、一生死ぬことはないぞ。わはははは。」
「さすがです、博士。僕も飲んでもいいですか。」
「もちろんじゃよ。」。
そして、助手も不老不死の薬を飲んだ。

その半年後、思わぬ事態が起こった。ロボット中心の世の中に我慢できなくなった人間が反旗を翻したのである。人間たちは博士の命を狙い過去に特殊部だったものや、警察や殺し屋までもが動き始めたのである。
「まさか、反乱が起きてしまったか、誰なんだ私が動力と伝えたものは。だがしかし、この私を殺そうというのも無理だろう、なんせロボットたちがいるのだから。しかも私は不老不死の薬も飲んでいるのだ。わはははは。」

数日後、研究施設の前に武器を持った集団が攻め込んできた。そして博士はあっけなく死んでいった。このロボットには、武器もついていないし、生活を便利にするためのロボットであったため、ロボットたちは戦うことをプログラミングしていなかったのだ。そして、ロボットたちはあっけなく機関銃などの武器で壊されていった。そしてものの数時間で博士も殺されてしまったのである。
その数時間後ロボットは全停止した。
「まさか、こんなにあっけなく死んでしまうとは。博士はロボットが武器を持っていないこと忘れてたみたいだね。動力源を知れてよかった。これで僕がこの研究室を独占できる。今度はちゃんと平和ボケしていないロボットを作らないとだね。わはははは。」助手が豪華になった研究室の椅子に座り微笑みを浮かべている。

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