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妖怪大作戦 ~母のいたずら~

前回の『副業:お母さん』に記載の通り、とにかくボーイに早く寝てほしかった頃の話。

ボーイはお風呂に入る前、必ずテレビを見ていた。
風呂が沸いても、入ろうと声を掛けても、
テレビに夢中で、行動しない。
なんなら、本当に沸いたの?と疑ってくる。

怒ったところで意味がない。
だって聞いてないから。
今のボーイの耳はテレビの音しか聞こえない仕様になってるから。

そっちがその気なら、こっちだって・・・!

私は思いついてしまった。

ボーイが怖がっていた「妖怪」に手伝ってもらうのだ。

学童の先生によるとその妖怪は、夜に窓を叩いてくるらしい。
妖怪がいるかも…と思わせたら動くかもしれない!

私はボーイが一人でリビングにいるときに、
洗面所の扉を閉めて、中からそっとドアを叩いた。

コツン、コツン、コツン

ゆっくりと、でも明らかに誰かが叩いている風のリズムで。

すぐにボーイがリビングから洗面所にやって来た。

「いま、お母さんドアとんとんした?」

不思議そうに聞くボーイに

「え?なにもしてないけど?まさか、、、あの、妖怪来た?」
と迫真の演技でお迎えした。
(中高演劇部なので演技力には自信がある)

みるみる青ざめるボーイ。

内心ざまーみろと笑う私。

その日からしばらくは一人でリビングにいることを避けるようになり、
お風呂に入るのもスムーズになった。

ただやりすぎ注意なのが、一人でトイレにも行けなくなること。
自分で蒔いた種とは言え、これは面倒だった。
でもトイレに行かないのも困るので仕方なく毎回扉の前まで付き合った。

妖怪はいないよと言っても通じない。
だって、叩く音したから。
私、叩いたから。
あぁ、、、妖怪は、私か・・・
妖怪、いたわ・・・。

やるせないとき、動画で残すことにしている。

トイレに「ついてきて~」と言っている姿をスマホで録画。
将来これを見せつけて笑ってやる…と思いながら、この状況を楽しむ。

妖怪いたずら母さん、少しだけ気が晴れた。


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