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夜泣き


Eさんが田舎の両親の所へ小さな子供を連れ、里帰りした時の話を聞いた。Eさんは里帰り中、実家の二階で子供二人と過ごしていた。里帰りも半ばに差し掛かった時期のことだ。夜中、普段は夜泣きなど一切しない4歳の息子が家中に響き渡る程、泣き声を出した。家族は何事かと思い、飛び起き、部屋へ駆けつけた。

Eさんの両親も一生懸命あやしたが全く泣き止まない。するとすぐ下の3歳の娘も釣られて泣き出した。子供たち二人は泣きながら何故か部屋を出て、階段を降り始めた。大人たちが戸惑いながら着いていくと、一階の仏壇の部屋に辿り着いた。すると子供達は大声で泣きながら「お爺ちゃんがいる!怖い怖い!」と叫び出した。Eさんは子供達をあやしながらそばに居る自分の父を指差し「お爺ちゃんならここにいるよ」と子供達に話しかけた。

すると子供達は首を振り誰もいない襖の手前を指差しここにいると泣きながら訴えた。大人たちはゾッとしながらも、仏間に飾られているEさんの亡くなった祖父の写真を指差し「このお爺ちゃん?」と子供達に聞くと、子供達はぴたりと泣き止み真顔で「違う」と答えた。すると泣き疲れたからかその場で二人ともスヤスヤと寝てしまったそうだ。

取り残された大人達は子供達が指差した誰もいない襖の前を見つつ祖父でなければ一体誰なのだと恐怖を感じ急いで寝床に向かった。翌日子供達に聞くとまだそこにいると指差していたそうだ。

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