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映画『遊星からの物体X』 パルム・ドック賞を与えるべき(ネタバレ感想文 )

監督:ジョン・カーペンター/1982年 米

大好きなんですよ、この映画。

実は、結構ジョン・カーペンターが好きでして、そこそこ観てるんです。
『ザ・フォッグ』(80年)とか『ニューヨーク1997』(81年)とか
『スターマン/愛・宇宙はるかに』(84年)とか『ゼイリブ』(88年)
『透明人間』(92年)、『マウス・オブ・マッドネス』(94年)、
『エスケープ・フロム・L.A.』(96年)、『ゴースト・オブ・マーズ』(2001年)。我ながら無駄に観てる(笑)

カーペンターの『ハロウィン』は(78年)(<観てないけど)、ヒッチコック『サイコ』(60年)の系譜だと思うんです。
『ザ・フォッグ』は怨霊ものの系譜でしょうかね。
そしてこの『遊星からの物体X』 はリドリー・スコット『エイリアン』(79年)の系譜だと思うのです。

「宇宙人が攻めてくるなんて映画を撮るのはアメリカ人だけ」というのは、マイケル・ムーア『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)で語られる説ですが、アメリカ人は襲われる話が好きですよね。
アメリカという国自体が原住民を襲って奪った国だから「いつか自分も襲われる」という恐怖が潜在意識の中にあるということらしいですけどね。
「仮想敵」を作って恐怖を煽り、団結させるお国柄なんだとか。
ちなみに東洋思想の日本は「敵は自分の中にいる」思想なんだそうです。
だから『ゴジラ』(54年)は、人間が実験で目覚めさせてしまった設定なんですよ。宇宙からヒョヒョ~ンと理由もなく飛んできたわけではない。

だいぶ話が脱線しましたが、何が言いたいかというと、60年以降の「サイコの時代」は恐怖の対象が人でしたが、80年頃に始まる「エイリアンの時代」の恐怖の対象は「得体が知れない物体」になったんだな、と。
恐怖の対象は時代の片鱗でもありますからね。得体の知れない恐怖の時代に変化したというわけです。
ちなみに『ゴジラ』は、当時の日本の(数年前の)恐怖「戦争」「空襲」の残影です。

実際、同じ原作が本作に先んじて『遊星よりの物体X』という邦題で1951年に映画化されていますが、大昔にテレビ放送で観た私の曖昧な記憶では、宇宙生物を殺すのか捕獲するのかみたいな「人間ドラマ」の比重が高かったような気がします。そもそも「物体」というよりも「怪人」でしたからね。まあ、当時の特撮事情もありますが。

『遊星よりの物体X』(1951年)

で、この『遊星からの物体X』ですが、今観ると「人狼ゲーム」なんですよ。元祖・人狼ゲーム。当時そんな言葉はありませんでしたけど。

それと、やはり当時はそんな賞はありませんでしたが、犬の名演技にパルム・ドック賞を授与してほしい。
それくらいハスキー犬の演技が凄い。犬がこっち向くだけで怖い。

(2024.08.02 CSにて歳鑑賞 ★★★★★)

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