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映画『もっと超越した所へ。』あっちゃんの元夫は前髪クネ男だからなぁ(ネタバレ感想文 )

監督:山岸聖太/2022年 日(2022年10月14日公開)

ねもしゅーこと根本宗子(<逆だ)作品(脚本)を見たかったのと、女優陣を堪能したくて映画館へ。

ねもしゅー作品は、ドラマ「下北沢ダイハード」の1エピソードを見たきりなので、その特性が掴めていません。ちなみにそのドラマの演出家が、この映画の山岸聖太監督だったと記憶しています。

『サマーフィルムにのって』(2020年)の伊藤万理華、
『美人が婚活してみたら』(18年)の黒川芽以、
『生きてるだけで、愛。』(18年)の趣里、
そして『もらとりあむタマ子』(13年)の前田敦子。
みんないい女優。
ちなみに各代表作は私の個人的な趣味(偏愛)です。

この4人のキャラを書き分ける作業、ねもしゅー楽しかっただろうなぁと想像しています。男4人も含め計8人、誰一人モブキャラがいない。8人をきっちり描く作業は、作家として楽しいと思うんだ。

でも正直言うと、観る側にとってはあまり満腹感が無かった。
やっぱり、どうしても印象が「4分の1」に薄まってしまう。
上述した「俺が選んだ勝手な代表作」は、どれも主演女優が超魅力的だったから、今回もそういうものを求めてしまったせいもあるんですけどね。
おそらく、作り手は4人をまとめた一つのストーリーを見せたくて、
観客(というか私)は一人一人の人生をもっと深く見たかった、
という齟齬なのではないかと思います。

ちなみに「俺が選んだ勝手な代表作」でどれだけ主演女優が魅力的だったか、予告編でお楽しみください。

あー、満腹。

ところで、この『もっと超越した所へ。』を観た男性も女性も、登場人物8名(各4名)に「これは私だ!」「自分がここにいる!」って共感するんでしょうか?
割と特殊なキャラだと思うんですけど、どうなんでしょう?
ちなみに俺はいなかったな。俺はダメ男じゃないから。ワッハッハ。
いや、真面目な話、ダメ男ってイケメンなんですよ。イケメンで女性がチヤホヤしてくれるからダメでも生きていける。南の島は寝転がってても木の実が落ちてくるし凍死もしないから経済発展しない。イケメンは努力せずに女性が寄ってくるから人間的に成長しない。
イイ男ってのは必ずしもイケメンではないんですよ。顔を他の部分でカバーするからイイ男になる。俺のようにな。ワッハッハ。
この話をヨメにしたら「だからお前はダメなんだ」となじられたよ。

そんなヨタ話はさておき、そもそもこの映画の作り手は共感を求めてたんでしょうか?もし共感を求めてたなら、あの「最後の大仕掛け」で世界観を壊したら台無しなんじゃないかなあ?

3年前のエピソードで「(あり得ない)狭い人間関係」を提示するので、私は「リアルな共感」よりも「フィクションの面白さ」に寄せてるんだと思って観ていました。
だから最後の大仕掛けも、「最初からフィクション寄りだったから(共感はしない代わりに)こういう展開もアリ」とは思ったんですけどね。
(ちなみにこのセットをセットとして見せる手法は、鈴木清純が『結婚(陣内・原田御両家篇)』(1993年)でシレッとやっている。)

むしろ、最後の大仕掛け自体よりも、その選択した結論が納得できないんですけどぉ。本当にそんな妥協でいいのか?

そこまでは「女は泣いて強くなる」物語だと思って観ていました。
以前と同じような日常に戻っていくけど彼女たちは一回り成長していました、という話でよかった気もしますがね。
それはそれで悪くないと思うんだけど、それは昭和の価値観なのかなあ?
そこをぶち壊した先が「超越した所」なのか?
「超越した所」が、「もっとイイ男」ではなくて、「自分の考え方を変える」という点に帰着する辺りが、ねもしゅーらしさなのかそういう時代なのか……。
前田あっちゃんの元夫は前髪クネ男だからなぁ……。

(2022.10.16 吉祥寺オデヲンにて鑑賞 ★★★☆☆)

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