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映画『ラスト・オブ・モヒカン』 世界一かっこいいハーレクイン・ロマンス活劇(ネタバレ感想文 )

監督:マイケル・マン/1992年 米

私の、というか、我が家(夫婦)の偏愛映画。
もう5万回くらい観てる。嘘。
実際には何回観たのか覚えてないけど、細かい所までいちいち覚えてるくらい何度も観ています。
でも久しぶり。たまたまケーブルテレビでの放映を鑑賞。20年ぶりかな。

何度観ても燃えるし何度観ても泣く。
今となってはオープニングだけで泣く。
この映画でウチのヨメはダニエル・デイ・ルイスに惚れ、私はマデリン・ストウに惚れました。萌えるね。
実は我が家の熱狂度・ハマリ度は『アメリ』(2001年)と並ぶほど高いのです。知らなかったろ(<誰に向かって言ってるんだ?)
まあ、これでマイケル・マンを買いかぶったという反省はありますけど。

これねえ、「モヒカン族の最後」というタイトルから、勝手に「社会派」イメージを持っちゃう人もいるんですが、活劇です。
単純にかっこいい活劇です。なんなら「ハーレクイン・ロマンス活劇」。

中盤でね、襲われるんですよ。
マデリン・ストウ危機一髪にね、ダニエル・デイ・ルイスがガーッと走ってきてバーッと救出するシーンがあります。
もう「王子様が私を助けに来てくれる」ロマンス活劇。
俺の「テレビで観るときは正座して観ちゃう」三大シーンの一つ。
え?あとの2つ?
『天空の城ラピュタ』(1986年)でパズーがシータを炎の城から救出するシーンと、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93年)のスクランブルシーン「Kill Wyvern」。

「単純にかっこいい活劇」と書きましたが、細部は結構きちんと作り込まれてると思うんです。
映画の舞台は、1757年のフレンチ・インディアン戦争だそうですが、この当時の単発銃とか、ましてやトマホークなどの原住民の武器の資料ってなかなかないと思うんですよね。私の友人がNHKで日露戦争当時のドラマを制作する際に、その時代の服装とか持ち物とかの資料がなくて苦労していたのを思い出しました。
ちなみにダニエル・デイ・ルイスは、役作りのために毎日長い銃身を背負って生活したそうですよ。そりゃ命中率も高いですわ。

これは「失う」者達の映画です。

3人の「父親」が出てきます。
モヒカン族の長チンガチェック、イギリス軍指揮官マンロー、そしてヒューロン族のマグアも我が子を失った父親であったことを明かします。
我が子を失った父親同士が戦い、娘を守るべく戦って命を落とす父親。

一方で、父親を失い、妹を失う娘がいる。
恋人を失い、自らの命と引き換えに彼女を救う者がいる。
一つの戦いが一つの民族を失っていく。
そしてネイティブ・アメリカンが自国を失っていく。

あらゆる物を失い、生き残った者達が大地に立つ。
失われゆく世界に残された希望。
これは、そういう映画です。

いや、単純にカッコいい活劇なんですけどね。

余談
映画とは全然関係ない話ですが、「カッコいい!」って言葉が流行・定着したのは1960年代と、意外と最近なんですって。知らなかった。
(最近と言っても半世紀も前だけど)

平野啓一郎氏の著述では「坂本九が言っていた」という野坂昭如の言説が引用されており、また別の所ではクレイジーキャッツが使って流行ったという説もあり、松岡正剛も「青島幸男が作った言葉」だと言っていたので、『シャボン玉ホリデー』辺りが発信源ではないかと推測されます。
はっぱふみふみ(<それは大橋巨泉)

(2023.07.01 CSにて再鑑賞 ★★★★★)

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