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映画『ナミビアの砂漠』 分からないけど分かる気がする(ネタバレ感想文)

監督:山中瑶子/2024年 日(2024年9月6日公開)

純子だから観ました。
我が家では河合優美のことを「純子」と呼んでいます。

「女の生きざま映画」でした。

27歳の若き才能・山中瑶子監督。
商業映画として、どこまで自分の思い通りに撮れているんだろうか?
正直言うと、私はこの作品の魅力が分かりませんでした。
いや、少し語弊のある言い方だな。
「どうしてこういう撮り方をしたのか」という意図というかセンスみたいなものが、若い女性の感覚と私がズレているというのが正しいかもしれません。

ただ、監督の頭の中は少し分かるような気がします。

例えば、男性観。
どの程度監督自身が投影されているか知りませんが、男たちを悪く描かないんですね。
この手の話は「ダメ男」に立脚することが多い。
でも、この映画は違う。
男たちの無神経な面は否めないけど、むしろダメなのは私の方。こんなダメな私に優しくしてくれてありがとう。
そういう映画。
ねもしゅーとは大違い。

この手の話の女性主人公は、「遊んでるけど虚しい」とか「本当の私を判ってくれない」とかいうパターンが多いと思うんですが、この映画は違う。
根は真面目なんですよ。
ちゃんと働いてますしね。

でもね、安定感抜群の佐藤浩市の息子じゃ物足らなくなるんだ。
火遊び感のある金子大地を選んじゃうんだ。
分かる、分かるぞ!一緒にトイレに入りたくはないけどな。

それなのに、彼は自分を見てくれない。
え?おかしいでしょ?彼は私を見る「べき」だし、もっと私をかまってくれる「べき」じゃない?

カウンセラーに言われますよね。「べき」と思ってるんじゃない?と。
ベッキー(<べき論者のこと)は根が真面目なんですよ。
根は真面目だから病むんです。
そして、「べき」にならない世の中と自分自身に苛立ち、それを子供のようにぶちまけてしまう。

男たち、こんな私に優しくしてくれてありがとう。
19歳の後輩、自分を見てるみたいで嫌だよ。
隣の唐田えりかみたいな綺麗なお姉さんになりたかったよ。
そんな映画。

山中瑶子は『ゴーストワールド』(2001年)が好きだとか。
『ゴーストワールド』的なことを撮りたかったんだろうな、ということも分かる気がします。

ただねえ、印象に残ったのが、俺の記憶の倍以上唐田えりか綺麗だったことと、「キャンプだホイ」の作詞作曲がマイク真木だったことなんだよなあ。
ま、こんな中年男性の言うことは気にせず、撮りたいものを撮ってください。監督の今後に期待しています。

(2024.09.08 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて鑑賞 ★★★☆☆)

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