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弥生短歌 20首vol.8

1.花びらの ジュエリー達を 横目早足
目を合わせたら 欲しくなるから
 
2.小糠雨 肺にしっとり 湿気帯び
日々芽吹く葉を 眺めコーヒー

3.3月は 別れの季節 寂しさと
応援したい 気持ちが交錯

4.本屋さん どんどんなくなる 寂寥感
背表紙眺め 手に取る贅沢

5.新玉ねぎ 野菜売り場で こんもりと
春はもうすぐ 包丁が待つ

6.深く暗い 悲しみ達は 時間差で
津波のように 押し寄せ奪う

7.彼(か)の国で 透明になる アジア人
真の平等は まだまだ遠い

8.新しい 布団を選ぶ 母息子
大きな雛に 餌やるペンギン

9.春眠の 暁(あかつき)もまだ ぼんやりと
君の輪郭 焦点が合う

10.息子着た 中学ジャージで ウキウキと
オカンSDGS  今も昔も

11.窓の外 靄(もや)か黄砂か 茫漠と
君への言葉も 手を擦り抜ける

12.ロケットは 軌道がずれたら 爆発し
僕の人生 ズレズレ生き延び

13.朝露の 光閉じ込め 雑草の
逞しく伸び 天を目指して

14.ぐんぐんと ミモザの花が 枝伸ばし
くだらない悩み 吹き飛ばすよう

15.老夫婦 同じ角度の 猫背歩く
中空の鷺 一瞥(いちべつ)し去る

16.空き地にて 花を咲かせる タンポポの
秘めた強さに 背筋伸ばして

17.コンビニで 荷物を搬入する彼等
華やかアイテム 無表情に積む

18.干物鯵 焼くと香ばし 思い出す
十年も前に 亡くなった猫

19.
春と冬 季節が行き来 洋服は
毎朝何着よ コーデ難し
 
20.私らの 社会を回す 人達は
無意識のうちに 透明なのだ

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