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乳がん患者の傷、隠す?見せる?

今朝のNHKニュースで気になった話題を一つ取り上げる。乳がん患者さんが手術後の傷を見せることなく、温泉や入浴施設を楽しめるように、専用の入浴着が発売されたとのこと。ふんわりとギャザーの入ったデザインで、色は淡いピンク。水に濡れても生地が透けない工夫が施され、安心して利用できる。衛生面から使い捨てを想定しているとのことで価格も500円程度と手軽に入手できるらしい。

乳がん患者さんの中には傷跡を人に見せることに抵抗がある人も多く、温泉旅行やスーパー銭湯に行くこと自体を諦める人も多い。また、自分の体に傷があることで周囲の人に余計な気遣いをさせたくないという気持ちも強いようだ。

この取り組みや商品によって救われる人も多いと思う。細やかな女性の心情に寄り添った素晴らしい商品だと思う。

一方、CAFEMOMのこの記事を見てほしい。英語なのでわかりやすく写真も掲載しておく。興味のある方はリンクを貼りますので、飛んでみてください。一人一人の詳しいプロフィールが読めます。(英語)

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こちらはニューヨークを拠点とする写真家の作品で、12人の乳房摘出手術を受けた女性達が惜しげもなく、彼女たちの胸をさらしている。美しいタトゥーとそれぞれの個性的なファッションで。

彼女たちは、自分の胸の傷跡を「人目から隠すもの」とは捉えていない。乳がんという事実、乳房摘出という痛みを伴う経験を経て、彼女たちのタトゥーを施された胸は、がんと闘い、勝利した戦利品であり、勲章なのだ。

「隠す」どころか、多くの人に見てもらい、乳がんについてもっと知ってほしい、議論してほしい、そして乳房摘出されたからと言って彼女たちの女性性が失われたとは決して思わないでほしいという強い意思が感じ取れる。

もちろん、全員の日本人乳がん患者たちが傷跡を隠したいと思っているわけではないだろうし、アメリカ人女性は全員さらけ出したいと思っているとは思わない。あくまでも一つの傾向としてこのアプローチの違いが興味深いと思うのだ。

周りの人たちがどう感じるかまで考えて「隠す」方にフォーカスした日本社会と、それこそ「アナと雪の女王」のように「ありのままでー♪」を地で行くアメリカの女性達。どちらも理解できる。まあ、どちらか一つを選べと言われると私自身は間違いなく後者を選ぶけど。

乳がん患者の術後の人々の意識や立ち位置は、単に国というわかりやすい差を超えて、私たちが帰属する社会の規範やマナーあるいは文化的背景によって、ここまで思考回路、発言や行動に多大な影響を及ぼすのかと思うと非常に興味が尽きない。もちろんこの問いというか、比較についてどちらが正解、不正解はないのは明白だ。あなたならどちらを選びますか。どちらの方が生きやすいですか。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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