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令和6年8月1日の昼飯


本日、食したカップラーメンはこちら!

明星
低糖質&176kcal
「おいしさ+ロカボNOODLES」
豚旨カレー

だぁぁぁぁぁぁ!


早速! いただきます!

健康を謳うとどうしても味がバサバサとなりがちなのですが、そういった感じがまったくしないお味です。
普通のカレーラーメンと遜色ございません。


しかし、最近、流行っているんですかね? こういう健康系。
日清の完全メシの売れ行きもいいようですし。
まぁ、女性の方などはインスタントにも健康や美容を求めるのでしょうかね。

コスパよく簡単に健康を手に入れる。
やはり時代はこの流れなんでしょうかね。

ということで、今日は「健康」つながりのお話を。

 ――俺みたいに後悔し続けるか……
 モーブは血が垂れる己が手のひらを見ながら、薄ら笑いを浮かべていた。
 そう、あの時に俺が、もっと、オキザリスの手をしっかりと掴んでいれば……

 まだこの聖人世界が、融合国など8つの国に分かれる前の話である。

 王になる前のオキザリスは片田舎のソバ屋で働いていた。
 当時16歳の美しいオキザリスは、当然、そのソバ屋の超売れっ子看板娘であった。
 嫌味のない笑顔。
 健康的な汗。
 コマネズミのように懸命に働く姿は、きっと、お嫁さんにしたいランキングでもあれば堂々の2位にランキングされてもおかしくはなかった。

 そんなオキザリスは超人気者。
 モーブ、アルダイン、史内の三人もオキザリス目当てでソバ屋に足しげく通っていたのである。
 あっ! 当然、この時の三人も騎士ではなくてただのオッサンだからね!

 当時40歳ぐらいのオッサン三人組は店に入るや否や木目調の汚いテーブルに腰かけた。
「今日も繁盛しとるな!」
 その一人であるモーブがオキザリスに声をかけながら、壁にかかるメニューに目を通す。

「モーブさんたち、こんにちは!」
 お水をテーブルに置くオキザリスは、いつものように満面の笑顔でモーブ、アルダイン、史内の三人を出迎えた。

「やっぱりオキザリスの笑顔を見ると元気になるわ」
 モーブと伴に座ったアルダインも自然と笑顔になっていた。

「そう? なら、このニコニコ笑顔で銀貨3枚ね!」
「えー! お金とるの?」
 銀貨三枚と言えば、日本円にして約3千円である!
 高っ!
 どこぞのバーガー屋さんは、スマイル0円だぞ!

 笑いながら手をひらひらさせ、お金を催促するオキザリス。
 アルダインは渋々、銀貨三枚をテーブルに置いた。

「ありがとう! アルダインさん大好き! ということで、ご注文はいつものでいい?」
「あぁ、いつものかけそばで」
「店長! かけ3つ! 天ぷら全種類もりもりで!」

 その注文に驚く三人組はオキザリスを見上げた。
「えっーーーーー!」
「えっーーーーー!」
「……!!!!」

 少々涙目のモーブは、何とか注文を取り消そうと頑張った。
「オキザリスちゃん! 天ぷら全種類入れちゃうの? そんな大量にはドンブリの上にのらないでしょ!」

 だが、アルダインは既にあきらめモード。
「もう……それ……かけそばじゃなくて……天そばだから……」
「……↓」
 史内に至ってはだんまり……って、これはさっきからか……

 胸の前でお盆を両手でだき抱えたオキザリスは、わざとらしく上目遣いでモーブたちを見つめた。
「ダメ?」

 顔を赤らめて目を泳がせるモーブたち。
「いやぁ、ダメってわけではないけど……」
「全然、OK! OK!」
「……v」

「店長! 追加オーダー入りやした! お持ち帰りの天ぷら盛り合わせ150個で~す!」
 咄嗟にオキザリスの手を掴んだモーブ。
「……それのお勘定も当然、ワシらだよね……」
 すでに、その目は少々涙目になっていた。

 再び、オキザリスは上目遣いでモーブを見つめた。
「モーブさん? もしかしてダメ?」

「大丈夫! 大丈夫! このモーブに任せなさい!」
 顔を赤らめたモーブはオキザリスを掴んでいた手を放して、照れるように頭をかいてその場を取り繕った。

 掴まれていた手がフリーになったオキザリスはチャンスとばかりに微笑んだ。
 その場でクルリと回転するオキザリスとおぼん!
 その軌跡はまるで汚い蕎麦屋の床の上に美しい魔方陣を描くかごとく軽やかであった。
 
 瞬間、モーブたちは固まった!
 というのも、このオキザリスの動きは、まさしく最上級魔法の詠唱パターン!

 まずい……
 これはまずい……
 これを食らえば一撃即死間違いなしなのだ!

 そんなオキザリスが魔方陣の中心でピタリと止まった。
 それと同時に、ついに最上級魔法の一言が発せられたのであった!

「店長! またまた追加オーダー入りやした! そばつゆタワー入りま~す♥」

 その途端、おぉぉというどよめきが店内から沸き起こった。
 それに合わせるかのように、ソバを運んでいたアルバイトたちが満面のビジネススマイルを浮かべてオキザリスの元へ急いで集まってきたではないか。

 大勢の笑顔の中心でオキザリスの最上級魔法の詠唱が続いていく!
「そばつゆコール! 入りま~す♥」

 ワン♪ ワン♪ ワンこのわんこそば♪
 ニャン♪ にゃん♪ ニャンこのにしんそば♪
 ポンポコ♪ タヌキはタヌキそば♪
 女ギツネそばで煮込みます♪
 ボッタお客の怒り声! そんな衝撃ソク吸収!
 ココは蕎麦屋のアブソーバー!
 ハイ! ハイ! ハイハイハイッ♥

 リズミカルな手拍子の元、タワー状に組まれたドンブリの上部からは蕎麦屋の店長によってつがれたソバつゆがドブドブと流れ落ちていた。
 そ~れ! それ! それ! ソバつゆだぁ~♪

 暗い空の下、店を出た三人組は身震いをしていた。
 ぴゅ~ぅぅぅ
「サブい……」
 財布の中身どころか身ぐるみまで奪われた三人組はパンツ一丁で震えていた。

「モーブ、あの時、なんで手を放したんだ……」
「……」

 このソバ屋……下手なキャバクラよりもぼったくりである。
 そうここはぼったくりソバ屋「clubショック! 危《アブ》蕎~麦~ソーバー」なのである。

「モーブ、お前が、オキザリスの手を放さなければ、そばつゆタワーはなかったんだぞ!」
「アルダイン! そう言うお前が一番ノリノリだっただろうが!」
「……(泣)」

 だが、そんなひどい扱いをされたとしてもモーブたちは、この店を訴えることはなかった。
 それどころか、凝りもせずに給料日になると、再びこの店に通うのである。
 この三人は、そんなにオキザリスがお気に入りだったのだろうか。
 確かにそれもある。
 それもあるのだが、誰もが皆、オキザリスが客から奪ったお金の使い道を知っていたのであった。

 このころの聖人世界は荒れていた。
 荒れていたというよりも、壊れ始めていたのだった。

 引き裂かれる空は、いつも暗く雷鳴がとどろいていた。
 徐々に大地は崩れ、まるで泥水にながされるかの様に壊れた大門へと吸い込まれていたのであった。

第576話 0ポイント より

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