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介護保険料の見直し

厚生労働省では65歳以上が支払う介護保険料について、高所得者の保険料を引き上げる方向で検討に入りました。

現在、介護保険料はサービス利用者が増え、保険料は制度開始から2倍超に増加。

今回の検討は高所得者への負担を増やして制度の持続性を高める狙いだが、一方で低所得者の保険料を下げる検討も進める。

65歳以上の介護保険料は市区町村ごとに異なるが、国が基準を定めている。

国の基準に応じて9段階に別れており、基準額は全国平均で月6014円。
最も高い人は基準額の1.7倍、最も低い人は基準額の0.3倍となっている。

65歳以上の保険料は制度が始まった2000年度は月2911円。しかし、高齢化による総費用の膨張で2015年度には月5000円を突破。

膨らみ続ける費用を背景に、介護保険制度の見直しがようやく始まったが課題も多い。

介護サービスの利用者は2000年には約149万人だったのに対し、2022年には約516万人、3.5倍。
費用総額でも13.3兆円、20年間で3.7倍に膨れ上がっている。

介護保険の財政状況が逼迫し、サービスを維持するため、
具体的な対策としては軽度の要介護1、2の人が利用する訪問介護やデイサービスについて、市町村が実施する地域支援事業に移す案。

しかし、これは市町村に移すと、自治体によって介護サービスの報酬が低く設定され、運営出来なくなる事業者が出てくるという懸念がある。
要介護1、2といっても歩行困難や認知症を患ったりなど決して負担は軽くないケースが多い。

それから、自己負担の有料化(ケアプラン)という案。
介護保険の利用者負担は現在、原則1割だが、一部の高所得者は2、3割の負担。基準を拡大して今の1割から対象者を増やすか検討していく。

この他にも介護老人保健施設などの多床室の室料を全額自己負担にする案も検討されている。

しかし、保険料も利用者負担も両方上がって重くのしかるようなことがあれば、セーフティネットへの信頼度が薄れ、反発も大きくなる。

介護保険の効率化は合意形成の難しいものだけが検討課題として残っている。



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