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【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 53

いつもと同じ朝。
それなのに、ジョルジュの様子が違う。
焦ります。
普段の私。自分お腹すいてるんですけど猫様のご飯からですか?
その前に猫トイレの掃除ですね。へいへい。
え?何?食事前に軽く運動したいから玩具持ってこい?
へいへい。
ああ、面倒くさい。
と思っていた自分を殴りたくなるほど焦る場面。
それが、猫様のイレギュラーな状態です。

可視化された幸せ

いつものように遊びに誘っても見向きもしない。
ご飯をあげても見向きもしない。
食べない。この時がまさしく飼い主が絶望する瞬間です。
ジョルジュは高齢で、あまりたくさん一度に食べるとケポってしまいます。
だから、ケポらないように朝は特に少なくしてあります。
自分だけ先に食べ終わって、足りないからと他の子の皿を狙うのが常なのです。
それを、撫でながら「もう少ししたらまた少しあげるからね」とやんわり方向転換させるのが恒例行事。
それなのに。
常ならぬ事態に飼い主はパ二クり、あれやこれやと試します。
ふやかしフードの食感が気に入らないのかとカリカリを持ってきて、ダメ。
総合栄養食ちゅーるを口に持ってきて顔を背けられると、この世の終わりの心境になります。
指に付けたら舐めてくれたので、終末時計が少しだけ戻ります。
ジョルジュはその日、ストーブの前に敷いた着る毛布の上で一日寝て過ごしました。
でも、歩いてトイレには行けるし、ぐったりしているわけではないので様子を見ることにしました。
昼はオヤツをあげても食べず、指にくっつけた物ならかろうじてOK。
夕方も食欲がないので、指にくっつける物をちゅーるから猫の病み上がりや食欲減退時のサプリ、フェロビタⅡに変えました。
いっしょにベッドで寝てくれるジョルジュを撫でながら、この幸せな日常がもうすぐ終わるかもしれないとなかなか眠れませんでした。
こんなに食欲がなくて、しかもあまり動かないのはやはり何かある。
明日は動物病院へ行こう。そう決めていました。
眠っている間は当然ですが、ジョルジュが普通にご飯を食べてくれる夢を見ました。
朝、ジョルジュがそわそわしながら電子レンジの上やカウンターの上を歩き回っていました。
もしや、とも思ってご飯をあげたら普通に食べてくれました。
念のため少し用意したら完食したので、いつもはあげないけどお代わりをあげました。
ジョルジュ、普通に腹すいてくれてありがとう。
映画観なくても普通の日常が戻ってきただけで感激して泣くので、猫飼いの感情面のコスパ最強です。

今回は出番がなかったルネ・モネ


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