末永 逸

遠い昔に雪のまち幻想文学賞を、近い昔に詩人会議新人賞をいただきました。 俳句、短歌、詩…

末永 逸

遠い昔に雪のまち幻想文学賞を、近い昔に詩人会議新人賞をいただきました。 俳句、短歌、詩、ショートショート、小説、エッセイなど幅広いジャンルにチャレンジしていくつもりです。

最近の記事

【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 66

家の中を片付けていると、懐かしいものが出てきます。 回想でたびたび手が止まります。 ジョルジュの歴代首輪、ボロボロのヴィンテージもの。 この家で生きた歴史が刻まれているような気がして、ボロボロでも捨てられません。 いつか一堂に会した放射状のデザインで額に飾ろうかと思っています。 歴代の爪とぎ。 段ボールの層をギチギチに重ねたチープなものから、ちゃんとしたそれ用の材質までさまざま。 ボロボロだけど、爪とぎとして使った形跡はなく、歯型と咬みちぎり跡だけ。 なのに何となく置いてあっ

    • 【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 65

      同じ飼い主が同じように接して同じ環境で育った猫でも、全く性格が違います。 ジョルジュはおっとり。ルネはアグレッシブ。 モネは…最初は警戒心が強くて臆病だからあまり近寄ってこないのかと思っていましたが、最近ある発見をしました。 それは、ただの横着。 みんなにおやつを配る時、ジョルジュとルネはそわそわしながら準備段階で近くを歩き廻り、ルネは皿に入れるはしから食べようとします。 これでは何個入ったかわかりません。 なので三つの皿をトレーに載せて片手で持ち、もう片手でおやつの袋から皿

      • 【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 64

        動物病院へジョルジュの健康診断に行ってきました。 もう17歳。 猫界の後期高齢者です。 病気に備えて保険には入っているものの、病気で一番難儀するのは本人なので、そうならないに越したことはありません。 日頃の検診が大事。 まず、体重を量って「重い」と言われました。 といっても前回の検診の時からすると、700gくらい減っています。 次に食欲を聞かれました。 めっちゃ食べるし他の子の分まで食べようとすると正直に答えました。 次に元気を聞かれました。 走り回って高いところへも登ると

        • 【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 63

          ライオンや虎は日夜獲物を狙って草食動物の脅威に。 家の中の猫は毎日休みなく可愛いので、スマホやPCの写真フォルダのストレージの脅威になります。 可愛さを一旦休んでもらおうとすると、ウー、シャーとなってそれはそれで大変です。 ウー、シャー、となっている時は本人たちにもストレスであり、体にも負荷がかかっているからわざと怒らせるようなことは絶対してはなりません。 そして、危険です。 あなたに鋭い牙と鋭い爪と、可愛い猫に立ち向かえる血も涙もない度胸があれば別ですが。 ストレージの脅

        【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 66

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 62

          かなり前、私は一番星に誓いました。 noteの記事にも書きました。 標準体重オーバー気味のジョルジュと、20年前のベスト体重から5キロ増えた自分の減量を。 あれから進捗状況を書いていないから、自動的に結果にコミットできなかったみたいになっています。 自分に関して言えば、確かにそうです。 もう、これが一昔前とは違う新しい自分だと諦めて受け入れました。 でも、ジョルジュに関する限り、違います。 うまくいったというより、ちょっと心配です。 5.6キロあった体重が、4.7キロ。 痩

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 62

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 61

          猫の爪切り。 人生で一度もしたことがありません。 切った方がいいとはよく聞きます。 そして、気をつけて切らないと血管の通っている部分まで切ってしまうということもよく聞きます。 でも、引っ掻かれると痛い。 血が出るし、猫ひっかき病も怖いし。 それに、人間の皮膚は薄いけど、再生するからいいんです。 せっかく買った座椅子がバリバリやられるのは見るに堪えません。 布も皮もフェイクレザーも決して再生することはありません。 もっとも、もしそういうものが再生したら何かがとり憑いている証拠だ

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 61

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 60

          その朝、モネの緊急事態を告げる鳴き声で目が覚めました。 脱衣室も階段下の物置部屋も2階の使っていない部屋の押し入れも閉まっているからどこからも天井裏へ行けるはずがないのに、天井裏から声がします。 階段下の物置部屋のドアを開けてみたら上の方の梁にモネの姿があり、明らかに1階と2階の間の天井裏へ入ったもよう。 モネがもう一段階下に来てくれれば、ママが何かに乗って届かない高さではありません。 でも、道具を取りに行くとママが救出を諦めてどこかへ行ったと思って外に出る穴を探してしまうの

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 60

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 59

          幸せの基準は一日の中に「もう少しこうしていたい」と思う時間があるかどうかという事。 そう考えると、ベッドに猫が一緒にいるからもう少し寝ていよう、とか、膝に猫がいるから後で洗い物しよう、とか、そういう時間がとても大切に思えます。 左手がジョルジュの枕になっていて使用禁止の為、右手だけでパソコンのキーボードを打っているこの時間、不自由だけどとても幸せです。 洗濯機から乾燥終了音がして、皺防止の回転が繰り返されているから早く取り出さないと湿気が残ってしまうけど、幸せです。 なにしろ

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 59

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 58

          猫はケポるもの。 よほど病的な症状があったり、食べるたびにというのであれば病院へ連れて行く必要がありますが、それ以外ならやることは二つ。 掃除と、落ち着いてからの栄養補給です。 もし、叱ったりしたら大変なことになります。 猫にヤな奴と思われて「甘えてやらん、膝にのってやらん、撫でさせてやらんの刑」が待っています。 これは、300年前なら島流しに匹敵する重い刑罰です。 それに、次から隠れたところでケポります。 主に、手が届かなくて掃除ができない場所がターゲットになります。 家具

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 58

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 57

          猫様たちには安全で快適な生活をして長生きしてほしい。 これが全猫飼いの願いです。 猫にとって有害なものは家から排除。 と思っていても、人間にとって必要な物はそうはいきません。 歯痛止めその他の為に置いてあるエッセンシャルオイル。 そのままだと揮発して空気中に成分が出てしまうので、必要な時以外はジップロックに入れて厳重密封のうえ戸棚の奥深くに保管しています。 玉ねぎ、ネギ、アヴォカド。 なぜか猫たちは床に落ちた物は自分の物と考えるところがあるので、調理の際は床に落ちないよう細

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 57

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 56

          猫の世話。 気力と体力と忍耐力と猫への愛がなければ、決して成し遂げることのできないお仕事です。 食事中に膝にのってくれるのは嬉しいけど、隙あらばママのご飯をつまみ食いしようとします。 落ち着かないうえ、結果ママが早食いになります。 あまり体に良くないだろうなと思います。 今朝は膝に2匹のって、最初は仲良く毛づくろいし合っていたのに、ぎちぎちで居心地が悪いのかケンカし始めました。 こたつ掛けに味噌汁がこぼれて、その後片付けが大変でした。 ジョルジュは他の子のニオイが付いている

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 56

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 55

          イエネコ。 それは砂漠に起源をもつ可愛さのポテンシャルが半端なかった生物をもとに人間が作出した、人間と一緒に生きる生き物です。 ネズミ捕りの使役動物を経て共生からペット、そして家族へ。 その後、多くの家庭では家に君臨する、主へ。 で、その主も、3人いると元老院、執政官、小評議会。 といっても、話し合うわけでもなく譲り合うわけでもなく、近代の理想のように三権は分立せず、君主が3人いてオレがオレがのせめぎ合い。 せめて、ストーブの前は老猫優先席だと猫たちに教える術があれば…。

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 55

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 54

          断捨離。 魅力的な言葉です。 猫飼いにはほぼ不可能です。 なぜなら、物が要るか要らないか決めるのは、物言わぬ真の主人であるからなのです。 例えば、置きっぱなしになっていた段ボール箱をたたんで紐でまとめたとします。 ん?あれどこ行った?入って遊んでたんだけど、と捜されます。 ボロボロになった玩具を捨てたとします。 ボロボロにする、イコール気に入って遊びまくるということなので無くなったとなれば怒り心頭です。 他の新品ピカピカの玩具なんか見向きもしてくれません。 バタバタと本物のよ

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 54

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 53

          いつもと同じ朝。 それなのに、ジョルジュの様子が違う。 焦ります。 普段の私。自分お腹すいてるんですけど猫様のご飯からですか? その前に猫トイレの掃除ですね。へいへい。 え?何?食事前に軽く運動したいから玩具持ってこい? へいへい。 ああ、面倒くさい。 と思っていた自分を殴りたくなるほど焦る場面。 それが、猫様のイレギュラーな状態です。 いつものように遊びに誘っても見向きもしない。 ご飯をあげても見向きもしない。 食べない。この時がまさしく飼い主が絶望する瞬間です。 ジョル

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 53

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 52

          何が正解かわからない。 人生、子育て、そして猫飼い。 布団に入りたい時、飼い主が寝ていたらジョルジュは顔に軽く爪を立てて「僕入りたい」とお知らせしてきます。 いつもジョルジュが寝ている場所にモネがいたら、モネにちょっとつめてもらって、充分なスペースを確保したうえで「ハイ、どうぞ。入っておいで」と迎え入れます。 でも、ジョルジュはちょっと進んでモネの存在に気づくと後退していき、布団から出てしまいます。 月極駐車場の、自分の名前が書いてある駐車スペースに他の車が入っている並みに許

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 52

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 51

          良かれと思って。 猫様にかしずく飼い主(お世話係)によくある思考回路です。 最近、ジョルジュが朝ごはんの後ケポる回数が多くなってきて、歳のせいかな、15歳以上用のピュリナワンキャットをしかもふやかしてウェットフードと一緒にしてあげているんだけど、この上何を。 もう仕方ないかな、ケポったら後で総合栄養食ちゅーるをあげよう。 そう考えていたところで、ふと気づきました。 もしかして、冷たい水だと飲んでくれないからと瞬間湯沸かし器から出したお湯をあげているのが原因では。 そう思って、

          【時々エッセイ】猫の手ざわりは魔法でできている 51