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乳児湿疹のはなし。

赤ちゃんの肌って、敏感なんです。
皮膚はとんでもなくきめ細かくてすべすべサラサラですが
一方でとっても繊細で傷つきやすい側面も。

乳児湿疹、というのは、赤ちゃんの肌トラブルの総称です。
特に下記3つの皮疹に分けられます。
 ①新生児ざ瘡
 ②脂漏性湿疹
 ③皮脂欠乏性湿疹
それぞれについて説明してみますね。

①新生児ざ瘡

ざ瘡、っていうのは、ニキビのことです。
顔とか胸のあたりに、赤いブツブツができます。

お母さんのお腹の中にいるとき、
赤ちゃんにはお母さんの血液が流れます。
お母さんの血液には、当然女性ホルモンがたくさんあります。
生まれてくると、お母さんからの血液はなくなります。
すると、女性ホルモンがガクッと減って、
相対的に男性ホルモン優位になります。
これが、ニキビの原因です。

生後2〜3か月までに自然に治りますので
それまで清潔と保湿を頑張りましょう。

清潔と保湿について

清潔については、
泡でしっかり洗って、しっかりすすぐことが大事です。
顔もしっかり泡で洗いましょうね。

しっかりと言っても、ゴシゴシする必要はありません。
パパママの手の平で、優しく泡を広げるように。
摩擦も刺激になります。
やさしく、やさしく。

すすぎも大事です。
せっかく洗っても、泡が残ると皮疹の原因になります。
シャワーのお湯でしっかり流しましょう。

②脂漏性湿疹

名前の通り、皮脂汚れです。
頭や眉毛、鼻、耳周りなど、
いわゆる顔の「Tゾーン」をはじめとする
皮脂の多いところによくできます。

時に、皮脂の塊である黄色いカスを伴います。

皮脂汚れなので、
やっぱり大事なのは清潔と保湿です。(前項参照)

もし皮脂の黄色い塊がうまく取れないときは、
入浴の15〜30分前に、
ワセリンをその部分に塗っておきましょう。
ふやけて取れやすくなります。
とはいえそれでも一回でスッキリとは取れないことも多いです。
ゴシゴシはNG、はお伝えした通り。
のんびり気長に落としていきましょう。

③皮脂欠乏性湿疹

今度は皮脂が足りなくなったパターンです。
生後すぐは皮脂が多めですが、
生後6か月頃になると、今度はカサカサしてきます。
いわゆるドライスキン

なので、大事なのは保湿です。
1日2回!
入浴後すぐと朝に、保湿剤を塗りましょう。
入浴後は15〜30分以内が良いです。
それ以降は徐々に乾燥していきます。

保湿剤は赤ちゃん用なら市販のものでも良いのですが、
ナッツやミルクなど、食物成分の入ったものは避けましょう
もしかしたら食物アレルギーの原因になるかも。。

治りにくいときの味方、ステロイド。

乳児湿疹は基本的に清潔と保湿で治ることが多いです。
ただし長引いてくると炎症を伴います。
炎症は、清潔と保湿ではなかなか治りにくい。
そんな時に必要なのが抗炎症薬
抗炎症薬の代表格がステロイドです。

ステロイドは以前、
1990年頃にメディアが誤った情報を流布したことで
いまだに誤った認識を持たれている方も多いですが
基本的にはとても安全で信頼できる薬です。

喘息発作のときなどのように、
内服や点滴で大量に投与(全身投与)すると
身体の中でステロイド産生をやめてしまうことなどにより
副作用が出現します。

一方、赤ちゃんに使うような弱いステロイドを
皮膚に塗ったくらいでは、
上記のような全身性の副作用は出現しません。

一時的に皮膚が薄くなって
赤ら顔になったりすることはあるものの
やめれば必ず治ります
皮膚はどんどん作られていますのでね!

ステロイドの副作用を心配しすぎて、
ほんのちょっとずつしか塗らない保護者様もいますが、
そうするといつまで経っても皮疹は治らず、
治療期間やステロイド使用総量は
結局増えてしまいます。

ステロイドを塗っても治らない場合、
薬がうまく塗れていない場合がほとんどです。

ステロイドを含めた皮膚外用剤は、
広めに厚めに塗りましょう。
皮疹部より2まわりくらい広く、
塗ったあとにティッシュを置いたらくっつくくらいたっぷりと。
そうすれば早く治りますよ!

ステロイドの強さは薬の選択で調整しています。
塗り方での調整は不要です!

ステロイド以外にも
最近はいろいろな新しい抗炎症外用薬も出てきましたが
炎症をしっかり抑えるには
いまのところステロイドが一番です。

最後に、
皮疹が治りにくいときに食事制限を!という人もいますが
これは誤りです!
皮疹が治りにくいからといって
食事制限は不要
です!

食べないと、本物の食物アレルギーになってしまいます。
少しずつ着実に、いろんなものを食べましょう。
食物アレルギーの話はまた今度。

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