溺水②〜溺れるってどういうこと?〜
昨日の記事の連絡用のTwitter (@ka_z000n) のインプレッションがものすごい数で伸びたことにビックリしています。記事自体はいつもどおりの購読数位なのですが、、、Twitterの仕組ってどうなっているんだろう。インプレッション数に差があるのはハッシュタグのせいなんですかね、だとしたらどのハッシュタグに反応されているんだろう、、、詳しい方教えて下さい。
ということで、溺水です。「水につかって死ぬ」と漠然と考えている方が多い印象です。ものすごい大量の水を飲んで窒息するイメージですね。すこし詳しく見てみましょう。
「肺が水浸し」が先か「心停止」が先か?
溺れていく過程をつぶさに見たことがある方はいらっしゃるでしょうか。溺水で搬送される人の付き添いの方が「ちょっと振り向いたら消えていた」と話されることがあります。
日本スポーツ振興会による「学校の管理下における水泳事故の現状」から事例をいくつか見てみましょう。
事例1)
事例2)
事例3)
如何でしょう。いずれもごく短時間の間に「溺れて」おりそれほど大量の水を飲んで肺が水浸しになっているとも考えにくそうです。
「溺水」の定義
同じ「溺れる」ことを表す言葉として、immersion と submersion という言葉があります。昔はnear drowning とか、wet drowning / dry drowning とか、用語が混在していましたが、今はimmersion/submersionの用語に統一されています。
簡単に言うと
Immersion: 水面に顔が出ている状態で「溺れる」
Submersion: 水面下に頭が使った状態で「溺れる」
ということになります。
溺水のプロセス
immersion / submersion いずれにしても、意識がある人であれば咳き込みますので、容器に水を入れるようにいきなり大量に肺に水が流れ込んでくるわけではなさそうです。溺水の過程をまとめると、以下のようになります。
水が気管に入り込むことで、「水で窒息」するわけでなく、喉頭といって喉の奥、気管に入る手前の部分が痙攣をして空気の通り道が急激に狭くなります。これにより脳に酸素が行かなくなり、カラダの力が抜けることが全ての始まりです。この経過は通常2-3分で生じるため、「一瞬」目を離した隙に人が沈んでしまうわけです。
【参考文献】
1. 日本スポーツ振興会「学校の管理下における水泳事故の現状(2018)」
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/tabid/102/Default.aspx
2. NEJM 2012: 366; 2102-2110
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン