災害時小児周産期リエゾン養成研修②
昨日の記事でご紹介し忘れていましたが、「災害時小児周産期リエゾンってなんじゃ??」というかたは、過去の記事をご参照下さいね。
ということで本日は2日目様子をお伝えします。
保健活動についてのシミュレーション
小児周産期リエゾンの主な仕事は、下記の3つでした。
このなかで保健活動について、特に取り上げて実例を取り上げながらシミュレーションをしていきます。
たとえば、アレルギー食や、妊婦健診などの情報を必要な方に届けたい、として、どうやって情報を届けたらいいでしょうか?
あるいはアレルギー食はどうやって手配しますか?そのときに誰とどんな連携をしたらいいでしょうか?
なんてことを、考えていきます。総論的に「避難所に情報をながす」とか「栄養士会に働きかけます」という回答では実際は何も進みません。
避難所に妊婦さんはいるのでしょうか?
避難所に情報を回すためには誰に相談したらいいでしょうか?
そもそも避難所ってどこにあるんですか?
チラシを配るとして誰が持って行きますか?
など、全体を俯瞰しつつも超具体的に考えてみる必要があり、具体的に考えるほど、どうしていいかわからなくなります。実際にはそうやって連携を取らなくてはいけないことを知って頂き、実災害ではカウンターパートをきちんと探して話をする、あるいは平時からそのようなことを想定して連携しておく、などの対策を取っていく必要があります。
本部活動訓練
総合演習です。2日間で学んだことを元に、実際に災害の想定をして、みんなでやってみましょう、という訓練になります。
実際に EMIS を用いて情報収集したり、DMAT役のスタッフと搬送の調整、交渉をしたりと、本番さながらの情報負荷が与えられ、皆さん大混乱します。
学ぶだけでなく、実際にやってみることで、臨場感とともに頭の整理、これからの課題などを洗い出していただきます。
平時に何をするか
多くの受講生の方が、これまでの講義で、公からの援助、つまり「公助」には限界があること、災害時に必要な情報や事務作業を考えたときに、平時にやっておけることが相当数あることに気づかれます。
それを踏まえ、患者さんの「自助」の能力を高めて行くこと、平時に準備しておけることなどを、シミュレーションを交えて、皆さんでディスカッションしていきます。
ここまで来ると、災害に対する問題意識がわき上がってきていますので、皆さんからどんどん意見が上がってきて、「あれもしなくちゃ」「これもしなくちゃ」と焦りとともに、議論が進みます。
とはいっても一歩ずつですので、「帰ったらまずこれをします」という講堂宣言をして講義終了です。
長丁場にもかかわらず、皆さんしっかりと議論をして下さいました。
ちなみん、リエゾンの活動要領には平時の活動として以下のような者が挙げられています。ご参考まで。
最後に
ざっと研修の内容をお伝えしましたが如何だったでしょうか。今年度は1月と2月に東京で研修が行われます。その様子はまたお知らせしますね。
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン