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「あ、骨が折れてるかも」と思ったら ④

とはいえ、一般的な応急処置もまとめておきましょう。

RICE 療法

Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取って、RICE 療法といいます。骨折・脱臼・捻挫ほか打撲も含め、現場における処置として有名です。内出血や腫脹を抑えることで二次的炎症を軽減し、障害が重度になるのを防ぎます。RICE 療法の詳細については、下記リンクをご参照ください。イラストつきでよくまとまっています。

応急処置だけでなく、病院での処置後の管理としても「基本」とされてきたRICEですが、近年少しずつ概念が変わってきているようです。

Rest(安静)だけでは、軟部組織の損傷が防げないということで、Protection(保護)が重要であるとして、RICE → PRICE へと変遷を遂げました。さらに近年では、Rest(安静)だと過剰な安静をしてしまっている可能性があるとして、Rest から Optimal Loading(適切な荷重)が重要であるといわれているようです。頭文字は RICE → PRICE → POLICE となっています。

いずれにせよ、現場でできることは多くないので、簡単に言うと、

骨折部位が動かないように副木(そえぎ)で固定
冷やしながら病院へ!


ということになります。だらんと手を下げておくよりは、カラダよりも高くしておいた方が痛みは和らぐという意味で、三角筋などで挙上しておく意味はありますね。現場ではこれぐらいできれば十分でしょう。


副木のあてかた

骨折した部位は、動かすと出血が増強します。また痛みも増悪します。この為、適切に固定しておくことが大変重要です。(protection)

現場では段ボールなどを利用して、骨折部位の上下の関節を越えて固定します。段ボールがなければ、折りたたみ傘、雑誌なども利用できます。とにかく動かないように固定することがポイントです。

みようみまねで固定することを考える方も見えると思いますが、

骨折部位の上下の関節を越えて固定

がポイントです。副木が動かない程度に包帯などで「きつすぎず・緩すぎず」を狙って固定をします。


三角筋の使い方

上司の骨折では重宝する三角筋。付け方を解説しようと思ったのですが、とってもわかりやすい動画ありましたので、ヘタな解説より共有します。

また、三角筋を持ち合わせていない場合は、ビニール袋などでも代用できます。こちらも動画を共有しておきます。

https://www3.nhk.or.jp/news/contents/bousai_tips/cont04.html

「事故予防」再考

子どもたちの活動度が上がるほど、骨折はつきものですが、骨折しないような環境作りもすすめたいものです。
公園をどう作るか?というのは、地域がどのように子どもを見守るか?ということでもあると思います。ご参考までに下記の記事良かったら読んでみてください。

http://www.minnanokoen.net/report_hint_kaigai08.html

【参考文献】
1. Optimal Loading について: Br J Sports Med 2015;49:278-279.






小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン