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オープンカレッジ 講演報告

台風19号、私の住んでいる地域は直前にコースがそれてくれたので、そこまで大きな被害は出ていませんが、あちこちで河川の氾濫なども起きていて、大変なことになっていますね。上陸直前に中心気圧が上がっていたので、風の被害自体はすくないものの、雨はかなり広範囲でしたし、東北地方はいままさに、ですので是非お気を付けください。早めの避難を。

以前の記事ですが、再掲しておきます。

そんな中ですが、先日、当院のオープンカレッジでお話ししてきましたので、その活動報告です。

セーフティネット?

社会のセーフティネットとしての救急医療、という大きなお題のなかで、小児×救急医療、というお話しでした。

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いろいろ迷ったのですが、小児にだけ特別に「セーフティネット」を引きましょう、という文脈がどうしてもなじまず、直前まで迷った結果、この話から始めることにしました。

セーフティネットを別で作るというより、成人含め既存の救急医療体制をきちんと活用しよう。でも、やっぱりうまくいかない部分があるのは何故だろう、何に気をつけたらうまくいくのだろう、という切り口でお話をしています。

で、だいたい大人と一緒でいいんだけれど、どこがピットフォールなのか?ということで、小児の疾患(病態・重症度)構成、虐待とそれを発見するという意味での事故予防、小児周産期リエゾンのお話しを中心にさせていただきました。

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オープンカレッジとは?

大学の社会貢献活動の一環で、1 ターム 3 ヶ月で毎週大学教員が市民の方向けに講義をさせて頂いています。3 ヶ月毎に新しい分野のお話が聞けるということになっていて、受講料は 1 ターム 8000 円と聞いています。

受講者は今回は 50 名強で、80 代以上の方も 10 人弱いらっしゃるということで、知識欲とその生き方に強く感銘を受けました。素晴らしいことだな、と。

ということで、以下、受講者の感想から、割と意外だったことをいくつか。

「救命の連鎖」って、以外と知られていない

こういう業界にいると、割と使い古された話題という感が否めない「救命の連鎖」ですが、意外と知られておらず、またインパクトがあるようで、感想にあげてくださっているかたが、割といらっしゃいました。特に鎖の一つ目が、「予防」になっているいことが印象に残ったようです。

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Accident vs Injury

こちらは鉄板ネタといえば鉄板なのですが、やはり事故を injury = 傷害 と捉える視点は、皆さん興味深く聞いて頂いたようです。このNOTEではおなじみの話題ですね。

虐待は実母・実父によるモノが多い

これとあわせ、虐待には 4 種類 あって、身体的虐待は実は割合としてはせいぜい30% 位である(もちろん統計が適切かどうか、実数を版絵しているかどうかは検討課題ということも併せてお話ししましたが)、ということもお話ししました。ここを感想にあげていただいている方が多くて、昨今の報道の偏りの反映かと思いました。

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もう一点、すこやか親子21  のお話しに加えて、虐待を肯定するつもりは一切ないが、親自身が被虐待者(過去だけでなく、現在のDV含め)である可能性をお話しし、虐待をしてしまっている親自身も援助の対象かもしれないという視点はどこかで持っていて頂きたい、というお話を学習性無力感にもからめてさせていただきしました。

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このお話しも、さんざん使い古されているお話しだとおもいながらも、感想にあげて頂いた方がおおく、むしろ驚きました。報道のせいばかりにしてはいけませんが、やはりその影響を感じざるを得ないなあという感想です。

学習性無力感についてはまたどこかで触れようと思います。

ということで、、、

まだまだお伝えしたいことはありますが、一旦ここで。
それにしても、90 分の講義を集中して聞いて頂き、この場でこんなに話題が提供できるほどたくさんの感想を(しかも記述式で)書いて頂いたことが本当にありがたいとともに、平均年齢60歳をこえるなかで、毎週の講義にお出かけ頂ける、という知識欲に大変感服いたしました、というお話しでした。










小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン