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文学やエッセイに関する話題を不定期で投稿しています。ご連絡はX(旧Twitter)まで。当編集室の出版書籍一覧:http://amzn.to/3VExi7y ※記事の無断転載を禁じます。

最近の記事

山川方夫「愛読する作家」:翻刻と解題

はじめに 日本近代文学館に、「山川方夫文庫」がある。これは、山川の遺品や関連資料を収蔵するコレクションのことで、残念ながら一般公開はされていない。『山川方夫全集』未収録作品「十八才の女」が本文庫から発掘され、『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』(ちくま文庫、2023年)に収録されたことは記憶に新しい。本文庫を開設されたのは、同館理事長を務めたことでも知られる、小説家の故坂上弘氏である。坂上氏は、『山川方夫全集』の編纂や講演活動等を通じて、山川文学の普及に誰よりも貢

    • 浮谷東次郎著作目録

      はじめに 1960年代に活躍したレーシングドライバー・浮谷東次郎(1942-65)は筆まめな人物としても知られており、23年間の生涯に膨大な量の日記や手紙を書き残している。それらの文章は没後に相次いで出版され、モータースポーツ界のみならず読書界からも注目を集めた。他にも、自動車雑誌やオートバイ雑誌に発表した記事も多数存在する。  そんな浮谷東次郎だが、雑誌記事を含めた本格的な著作目録は、筆者の知る限りでは存在しない。もっとも、著名な文学者や著述家でもない限り、著作目録を作成

      • 初心者のための山川方夫読書案内

        はじめに  純文学とショートショートの分野で活躍した小説家・山川方夫。数多くの作品がありますが、どの作品から読めばいいのか迷われている方も多いと思います。  そんな方に向けて、山川方夫初心者のための読書案内を公開することにしました。特に本記事では、「青空文庫の公開作品」「新刊書店で入手可能な作品集」「山川方夫全集」の3つについて、それぞれ解説しています。ぜひ、本記事を活用していただければと思います。 (※過去記事の総集編となる記事のため、一部重複する箇所がございます。)

        • 伝説のレーシングドライバー・浮谷東次郎の生涯

          はじめに  1960年代、黎明期のモータースポーツ界に彗星のごとく現れた一人のレーサーがいました。  そのレーサーの名は浮谷東次郎。わずか2年弱の活動期間において数々のレースで優勝を果たし、その驚異的な走りっぷりで人々を魅了しました。日本人で最初のF1ドライバーとなっていたかもしれない――そう評されることもある人物です。その著書、『がむしゃら1500キロ』や『俺様の宝石さ』は、のちに多くの若者に愛読されました。その鮮烈な生涯は、今なお伝説として語り継がれています。  今回は

        山川方夫「愛読する作家」:翻刻と解題

          当編集室のご紹介

          皆さまこんにちは、PD編集室です。 今回は、新規の読者の方も増えてきたということで、あらためて当編集室のご紹介をさせていただきます。 当編集室では、現在、主に次の2つを中心に活動しております。 ①noteでの情報発信 ②電子書籍出版 の2つです。 まず、①について。 当編集室のnoteでは、不定期で文学作品やエッセイに関する記事を投稿しています。主に山川方夫という作家の話題が中心です。 こう書くと、「なぜそこまで山川方夫にこだわるのか」と思われるかもしれませんが、別にそ

          当編集室のご紹介

          『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』詳細レビュー

           2023年2月、『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』(ちくま文庫。以下、『長くて短い一年』)が刊行された。  本書は、「山川方夫ショートショート集成」の第2巻にあたる。第1巻の『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』(以下、『箱の中のあなた』)と同様に、本書も充実した仕上がりとなっている。前回に引き続き、本書の詳細レビューを書いていくことにしたい。 『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』について まず、本書の構成を簡単に見ていこう。  先述の

          『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』詳細レビュー

          初心者のための山川方夫ブックガイド2 全集・中古本編

           純文学とショートショートの分野で活躍した小説家・山川方夫。数多くの作品集が出版されているが、どれから読むべきなのか迷われている方も多いのではないだろうか。この記事では、そんな方に向けて、おすすめの作品集を紹介することにしたい。  さて、本記事では、作者の没後に刊行され、現在中古でしか入手できない作品集を中心に紹介している。また、記事の後半では、『山川方夫全集』についても解説した。ぜひ最後までお読みいただけると幸いである。 【本記事は、「山川方夫ブックガイド」の第2弾にあ

          初心者のための山川方夫ブックガイド2 全集・中古本編

          当編集室について

           こんにちは、PD編集室です。今年も残りわずかとなりましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。  そういえば、これまで当編集室については、あまり詳しくお話ししたことがなかったように思います。「PD編集室」なる怪しい名前をしているので、どんな活動をしているのかと、いぶかしむ方もいらっしゃるかもしれません。  そこで今回は、当編集室の主な活動について、簡単にご説明させて頂きます。  改めてこんにちは、PD編集室と申します。  埋もれた名作を発掘し、電子出版するお仕事をしてい

          当編集室について

          『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』詳細レビュー

           2022年12月、ついに『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』(以下、『箱の中のあなた』)が刊行された。  本書は、「山川方夫ショートショート集成」全2巻のうちの第1巻にあたる。本書および続刊の『長くて短い一年 山川方夫ショートショート集成』(2023年2月刊行予定。以下、『長くて短い一年』)によって、山川方夫のすべてのショートショートがはじめて文庫本の形でまとめられることになる。  本書の刊行に先立ち、筑摩書房公式Twitterにて目次が公開された。筆者は、すで

          『箱の中のあなた 山川方夫ショートショート集成』詳細レビュー

          初心者のための山川方夫ブックガイド

           国語教科書に採択されたショートショート「夏の葬列」をはじめ、数多くの作品で知られる小説家・山川方夫。現在、いくつもの著作が刊行されているが、どれから読むべきなのか迷われている方も多いのではないだろうか。  そこで本記事では、山川方夫の初心者に向けて、近年刊行された代表的な作品集を解説することにした。各タイトルの並びは刊行順とし、おすすめ度を5段階評価でそれぞれ記載している。参考にしてくださると幸いである。 【現在中古で入手できる作品集や、『山川方夫全集』については、こち

          初心者のための山川方夫ブックガイド

          ご挨拶

          はじめまして、PD編集室です。 昔の小説・エッセイを発掘し、復刊するお仕事をしています。 このnoteでは、これまでに出版してきた本のこと、徒然に思うことなどを、発信していけたらと考えております。 どうぞよろしくお願いいたします。 各電子書籍ストアのリンク先は次の通りです。 Amazon Kindleストア 楽天Koboストア 【PD編集室 刊行書籍一覧】 山川方夫著 夏の葬列・昼の花火:山川方夫名作セレクション 親しい友人たち:山川方夫ショートショート・セレクション