当編集室について

 こんにちは、PD編集室です。今年も残りわずかとなりましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
 そういえば、これまで当編集室については、あまり詳しくお話ししたことがなかったように思います。「PD編集室」なる怪しい名前をしているので、どんな活動をしているのかと、いぶかしむ方もいらっしゃるかもしれません。
 そこで今回は、当編集室の主な活動について、簡単にご説明させて頂きます。

 改めてこんにちは、PD編集室と申します。
 埋もれた名作を発掘し、電子出版するお仕事をしています。
 こんな当編集室ですが、最初から電子書籍出版を志していたわけではありません。もともとは、山川方夫という作家の一読者に過ぎませんでした。そのショートショートにはまったのがきっかけで、『山川方夫全集』を読み漁るようになります。驚きました。数々の素晴らしい作品がそこにはあったのです。ショートショート以外の小説にも手を広げて読んでみましたが、どれもこれも素晴らしい作品ばかりでした。

 やがて、このような疑問をもつに至ります。
「なぜこれほど優れた作品が、世の中に知られず埋もれてしまっているのか?」と。
 当時、新刊書店で買える山川方夫の著書はごくわずかであり、すでに絶版となっているものも多数ありました。その一部の著書にしても、本当に良いと思う作品は収録されておらず、その代わりに、それほど優れているとは思えない作品が収録されていることさえありました。
 山川方夫の作品を周りの人におすすめしたいのだけど、そのほとんどが入手困難となっており、おすすめすることができない――そんなジレンマを抱えていたのです。

 そんなある日、ふと思いついたのです。
「他の出版社が出してくれないのなら、自分で出版してしまえば良いのでは?」
 ――それが、当編集室が電子書籍出版を始めたきっかけです。
 それから紆余曲折を経て、山川方夫の作品集を5点出版するに至ります。ありがたいことに、いずれの作品集もご好評を頂いております。いつも本当にありがとうございます。

 また、電子出版を手掛ける過程で、山川方夫以外の作家にも、埋もれてしまっている名作が数多くある、ということに気がつきました。
 毎月のように新刊書が出版され続けている現在、その波に押しやられて書店から姿を消してしまう本が、世の中にはたくさんあります。けれども、それらがすべて読むに値しないのかというと、そうではありません。なかには、今読んでみるとけっこう面白い、という作品が、少なからずあるのです。
 そんな隠れた名作に光を当てたい――その思いで、そうした作品を発掘し、編集・出版しています。

 主な著者としては、与謝野晶子、坂口安吾といった著名な文学者から、加能作次郎、十返肇といった知る人ぞ知る作家まで。有名作家の作品であっても、あまり知られていないようなマイナーな作品を中心に出版しております。おそらく、当編集室で扱っている著者をすべてご存じなのは、故坪内祐三氏くらいのものではないでしょうか。
 残念ながら、そういったマイナーな作品が、大手の出版社さんから出されることはそこまで多いとは言えません。そういった、大手の出版社さんでは扱ってもらえないけれど、実は面白い作品を世の中に送り出すというのが、当編集室の主な仕事だと考えております。

 ところで、電子書籍出版をしていると、どれだけ稼いでいるんだろう、という下世話な想像をされる方がいらっしゃいます。安心してください。当編集室の本などたいして売れておりません。大手の出版社さんに比べれば、当編集室の売り上げなど微々たるものです。マイナーな作品ばかりを出版しているので、当然といえば当然ですが……。
 そもそも、当編集室のような弱小編集室の本が、注目を浴びることなどほとんどありません。ていうか、本当に儲けたかったら、もっと有名な作品を出版するよね。つまりは、そういうことなのです。

 当編集室の出版物のうち、どれがおすすめですかと訊かれたら、すべての本がおすすめです、と答えます。ただ、強いて挙げるとすれば、山川方夫の作品集すべてと、浮谷東次郎の『がむしゃら1500キロ』については、できるだけたくさんの方に読んで頂きたいと考えております。

 当編集室では、今後出版したい本の構想が100冊以上ございます。また、現在は短篇くらいの長さの本が中心ですが、本当は長篇小説や、アンソロジー本をばんばん出版したいのです。
 けれど、多忙のためになかなか実現できない――というのが実情です。

 また、電子書籍出版と並行して、山川方夫に関する情報発信もしています。これは、もともと個人的に研究している作家ということもありますが、そもそも山川方夫を専門としている研究者が他におらず、やむなく自分が情報発信をしている――という事情もあるのです。
 マイナーな作家の研究をしていると、いろいろと苦労することも多く、正直に言って、そろそろ心が折れかけてきています。いつか優秀な山川方夫の研究者が現れてくれたら、心置きなく研究から手を引いて、趣味の野球観戦に打ち込むことができる。そんな日が来ることを願って、日々情報発信にいそしんでいるのです。
 早く優秀な研究者が現れてほしいものです。

 そんなわけで、当編集室のご紹介をさせて頂きました。
 今後も当編集室の出版物をご愛顧頂けますと幸いです。
 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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