「わたし」と「あなた」をつくるもの
「わたし」という存在が分かる動物
人間は、鏡を見ればそこに写っているのが自分だということが分かります。
人間以外では、チンパンジーやゾウ、イルカなど極少数の動物にしか自己認知(自分という存在が分かること)は存在しません。
「私」と「あなた」という認識は、限られた動物だけが持つ非常に特別なことなのです。
自己認識の実験
さて、チンパンジーを用いた自己認識の実験報告によると、
密室で一人でけ育ってきたチンパンジーは自己認識がない。
ガラス越しに他のチンパンジーが見える環境下で育ってきたチンパンジーにも自己認識がない。
という結果が出ています。
この報告では、身体接触がないと、他者の認識や自己認識が生まれない可能性がある、ということを示唆しています。
つまり,自己認識とは人間に元から備わっている能力ではないということでもあります。
「わたし」と「あなた」をつくるもの
「わたし」と「あなた」という認識は、他者がいて、その他者と身体を触れ合うことではじめて可能になるのです。
それは,脳さえあれば「わたし」でいられるということではない,という意味とも捉えられます。
そう,「わたしは”脳”ではない」のです。
「わたし」が「わたし」でいるためには,身体を通しての接触が必要なのです。
子どもを抱っこする、
友達と握手する、
祖父母の肩をたたく、
そんな身近な接触が、「わたし」という存在を確かなものにしてくれるのでしょう。
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