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凡庸“創作”雑記「日本のことを描いた2作品」

日本を描いた2作品


最近、日本を舞台とした作品を2作見た。それが、予想以上に面白かったので、少し呟いてみる。

一つはドラマ、もう一つはアニメ。どちらも、作ったのは海外のスタジオ。

最近は日本をネタとして、作品が作られることが多くなった。

別に、自分とは関係ないのだけど、嬉しくなってしまうのは、この国に住んでいる人としての、人情として、致し方無いこととして、広くご勘弁を。

本格ヤクザドラマ「TOKYO VICE」


ドラマの方は、東京を舞台としたその名の通り「TOKYO VICE」

もちろん、ほとんどが日本の俳優が出演。渡辺謙を筆頭に、菊地凛子、伊藤 英明。そして、存在感が半端なくあった主役級としての笠松将。その他、ヤクザ映画でよく見るコワモテ俳優も多数出演。

あまり個人的には見知った俳優ではなかった笠松将が、存在感のある若手ヤクザを演じて、その旨さと存在感に驚いた。裏話では、本来、鈴木亮平がやるはずだったらしい。コロナ禍でスケジュールが狂い。どうしてもスケジュールが合わなくなり、断念せざるを得ないことになったようだ。もちろん、笠松将で僕は何にも文句はないが、鈴木亮平も見たかった思いはどうしてもある。英語も堪能だし、カメレオン俳優として、存在感のある熱い演技を世界で高い評価を得たではないかなと、少し残念に思う。

ここまで、日本人俳優を使ってくれていて、なんだか、嬉しい。(まあ、日本しか舞台として扱われているので、当たり前なのだけど)それも、海外作品に出ている日本

主人公はアンセル・エルゴート。好きな映画の「ベイビー・ドライバー」で主演した俳優。異世界の東京で戸惑いながら、じわじわ成長(しているのだろうか?)する姿が、彼の日本語と共に描かれていく。

感心したのが、よくあるとんでも、日本や東京でなく、かなり本気で濃厚な東京がリアルに(実際経験していないのでどこまでかようわからんけど)描かれている。日本の美しく華やかなところもあるが、それ以上にやばいヤクザと夜の街の闇を、突っ込んで描いている。

端々に、日本社会の矛盾や歪みを日本人以上に、直接的に描いていて、痛いところをつかれたなあと考えさせられる。やっぱり、良い意味で、アメリカのスタッフだからここまで表現できたのだろう。たぶん知らんけど。

ブラックな働き方や、男女差別、それに、在日朝鮮人。日本人が躊躇している内容も、他人の目線でしっかり描いている。かえって、日本人としては新鮮だった。

ヤクザの描き方も、変な化け物的な恐怖でもなく、任侠的に格好良くでもない。普通に恐ろしい犯罪組織と描かれ、関わると、かなり厄介な関係になると、感じさせてくれる。夢幻のような存在ではなく、現実の犯罪組織として。

これだけなまなましいものを作ったのは、アメリカの脚本と監督なのに。

そのアメリカの製作陣が、少々名のあるレベルどころでなく、超が付くレベル。筆頭監督がなんたって、マイケル・マン。「ヒート」や「マイヤミ・バイス」を撮った完全な巨匠。それに、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のジョン・レッシャー。世界的なスタッフが集合して、完膚なきまでに1999年代の闇の東京を描き切った。

驚いたのが、まるで別人のようにいつも見かける日本人俳優の顔が良い。ここまで、日本人の俳優は演技がうまかったっけ?と、首を傾げるほど。

ハリウッドの巨匠の演出家、潤沢な制作費のおかげなのか、はたまた元々演技力が隠されていたのか、それとも日本の製作陣がウンヌンカンヌン………..言わんとここれ以上は。

とっても濃厚なので、一気に見切ることが出来ず、気力がある時にぼちぼち最後まで。最後の最後まで堪能できた堪能できた。話も、これからってところで終わった。内容も最高シーズン2も作られるようだから、大いに期待して待ちたい。でも、Netflixに降りてくるのは、配信されてから一年後だから、観られるのはかなり先になるだろう、残念だ。

青い目のサムライアニメに夢中


もう一つはアニメ。作品名は「ブルーアイ・サムライ」

青い目の混血サムライが、復讐をする物語。簡単に言うと。

アメリカの制作したサムライアニメだから、たいしたことはないだろうし、経験上、Netflixアニメは今一歩グッとくるものが無いのが多い。サイバーパンクエッジランナーズみたいな例もあるけど。

これもとんでも日本が満載なんだろうと、今期はいろいろと観るものが多く、時間を使うこともないだろうと、無視するつもりだった。それが、かのゲームクリエイターの小島秀夫氏が絶賛しているとの記事を目にして、試しに一話だけでもと、見始めた。

初見は、超独特の人物造形に正直ドン引き。日本人だからと、目がとんでもなく細く、みんな45度ぐらい吊り上がっている。もちろん鼻はかろうじてついているぐらい低く丸い団子っパナ。

美人だ美男だとセリフでは語らせているが、贔屓目で見ても、滑稽で陳腐。これって、わざと東洋人を嘲笑した絵作りなの?なんて、思うほど。

でも、それほど露骨にアジア人を滑稽に描くわけはないだろうし、これが、欧米人から見た真っ当なアジア人であり日本人なのだろう。

で、見始めはこんな感じで、少々うげっ!てところだったのだけど、見続けると、これが隅々までよくよく日本を勉強して、彼ら自身で理想のサムライを作り上げたと感じる。

特に、斬り合いの場面の所作が本当にとても美しくて、一発で魅了されてしまった。よくもまあこんなに伝統的な殺陣を保ちつつ、それでいてマトリックスや、ジョン・ウィックみたいな創造性もある。

それに、よくある復讐の物語を、あらゆる要素をつけ加え、豊かな広がりを創作している。日本人ならばよくよく知っている事柄を、予想を超えた意外な内容と組み合わせ、とんでも日本になりそうでならない、ギリギリのところで保っている、演出の才能をひしひし受け取ってしまう。

どこの誰が作ったのかは全くわからない。と言いますか、興味はないのだけど、かなりの才能の持ち主だとしみじみ感じる。

やっぱり、世界の才能の底力は恐るべし。

初めは、滑稽な物語だと侮って見始めたが、最後は次回作を楽しみに待っている僕がいた。アニメは、それもサムライは、やっぱり日本が一番でしょう。なんて、思い込みを粉砕してくれる良い作品だった。

最近は日本を取り上げてくれる作品が多くなった。まだまだ、トンデモ作品が多いが、こんな感じで経験を経て、日本以上に日本らしい作品が増えていくのだろうか。

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