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いま、確かに僕は生きている


国際ロマンス詐欺という言葉を耳にするようになったのはいつごろからでしょうか?

インターネットとSNSは、この30年ぐらいでものすごく進歩し、ものすごいスピードで人をつなぎました。海外にいる友達とつながり今でもやり取りをすることができるのは、とてもありがたいことです。
(切手代を気にしながら薄い便せんに手紙を書いていたのを思い出します。)
しかし、便利なものっていうのは、便利に人をだますこともできるようになったってことですよね。
僕も、実は、、全く恥ずかしいことで、ロマンス系ではありませんが、詐欺まがいのビジネスにまんまと手をだして大金を失った経験があります。(ある人にとっては少額かもしれないですが、僕にとっては大金)
それから、息子のために探し回ったムシキングのレアカード。Yahooオークションで落札し、入金したけど、モノが送られてこなかったということもありました。

FacebookやLinkedInなど、SNSをしていると突然友達の申請が来ることがあります。美女の写真と共に。
結構僕は律儀なので、メッセージがあれば返します。
SNSは共通の友人をみせてくれるので、「あ、あの人の友達になっているなら大丈夫か。」などと安心しちゃうこともあります。
誰もが経験があるのではないでしょうか。

さて、ちょっとこんなことがありました。
その人の名前はAnnaでした。背中をあらわにした後姿のプロフィール写真とともに僕に友達申請をしてきました。
「あぁ。いつものやつだな。削除削除」
と作業したのですが、何か心にひっかかります。
そういえば。。。。

「あぁ、杏奈ちゃんどうしているかな?」

ここに出てくる杏奈ちゃんは、今、天国にいます。
10年ほど前に闘病の末、なくなりました。
一時は回復したかのように思い僕も油断していたのですが、結局、彼女の死を知ったのは、やはりSNSでした。
会うたびに、「病気になって本当にわかります。健康って大切です。体を大切にしてくださいね。家族もいるんだし。」
そうやって僕をいつも気遣ってくれていました。

自分より先にあちら側に行ってしまう人もいます。(まあ、生きていてもたぶんもう会わない人もいますがね)
SNSの連絡先を削除できない人がいて、友達を解除できない人が何人かいます。
いつか天国と通信ができるようになったら交信と更新がはじまるんじゃないかなとありえないことを考えながら。

杏奈ちゃんを思い出したのが、
国際ロマンス詐欺の友達申請がきっかけなのはちょっと皮肉なのですが、思い出せたのが、思い出せた自分がちょっとうれしくなりました。
彼女とやり取りをしていた時の優しい想い出も。
どんどん来いよ詐欺メール。(いや、いらない。)

病気でなくなった杏奈ちゃんを思い出したことをきっかけに、
不慮の事故や、自ら命を絶った友人、突然の病に倒れた幼馴染や友人たちのことが次々と思い起こされました。
もちろんお世話になった先輩たちですでにあちら側に行かれた人たちのこともたくさんいますが、
同世代、自分より若い人たちのこと、それぞれと作った想い出。

何もなければもっともっと生きたかっただろう人たちの
小さな命のエッセンスをもらいながら、
今、自分が生きているということ。生かされていること。
味わいたいですね。

ところで、「あんな」と聞けば、
昭和生まれ世代は「安奈」でしょうかねぇ。

安奈 クリスマスキャンドルの灯はゆれているかい
安奈 お前の愛の灯はまだ燃えているかい。

「安奈」 甲斐バンド

8月の最終日にクリスマスキャンドルが登場する歌を思い出してしまう・・・残念。


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