【もう終わり?】フランスでワインが売れない!伝統ピンチ!ワイン文化の終焉?政府も中国も頼れない!ワイン栽培者の生きる道
フランス人のワイン消費量 激減の背景
ちょっとタイトルは煽ってしまいましたが、ソムリエ資格を持つ私がこんな話をしなければならないとは…
今のフランスのワインの状況を少し。。
上の図を見ていただきたいのですがこれはVin et sociétéという、フランス最強の業界ロビー団体が出している資料です。(この人たちロビー団体ですから、だいたい、議員さんに'あなたの地方の産業であるワイン保護して'とプレッシャーをかけるロビーですから。。、、まぁ日本で言う日本酒酒造中央会+にみたいなものでしょうか)
内容はフランスのアルコール消費量の推移ですが見ての通り、1960年と2018年では各アルコール飲料の消費量の減少率を示しています。その中でも、、ワインの減少率が著しいのが見えます。60年で60%減というのが業界の合言葉なりつつあるんですよね。。まぁ日本酒のそれも同じようなものですが今日はフランスマーケットのお話をしますね。
もともとはINSEE(統計局)からの数字です。なぜこのように減っているのか?
明らかなのは社会がやはりホワイトカラー化しているからだと思います。技術の発展で肉体労働が減り、それに伴うカロリー摂取量が減ったことでしょう。そして我々が健康的な食生活を意識するようになっていることや、可処分所得が減少や嗜好の変化で正直アルコールにお金を使えないことも影響しているでしょう。。また若者は、以前よりもビールやカクテルなどを好むようになってることなど複合的な要因があります。もちろん日本も同じですよね・・・
ワイン離れの影響
では、フランスの産業構造ではどうなっているのでしょうか。ワイン産業従事者でみるピュアなワイン関係者が約70万人+レストラン・カフェ・ホテルの180万人の雇用をあわせると250万人へ影響するんですね。(フランスの労働人口は2900万人と言われてるのだだいたいフランスで働いてる人の1/10はワインに関係してると言っていいでしょう。かなりざっくりですが。。ですから問題はみんな深刻です。たとえ栽培者が少なくともそれに波及する産業に従事する人の数が結構多いのです。
まず政府やヨーロッパ議会が考えることは一つ。ワイン栽培者にワインの木を引っこ抜くことが奨励されます。phytoplasmeという葡萄の樹の病気対策が名目ですが、実際は過剰生産(売れない)減らし対策です。ヨーロッパ議会やフランス政府にが引っこ抜いた畑に1ヘクタール当たり6000EUROの補助金がでたり。いわゆる減反ですね。いやもうブドウ栽培のリストラといっていいでしょう。
では業界では消極的動きではなく積極的動きを見てみましょう。。。
業界の取り組み
まず最初に考えるのが販売促進!ですがどこに売ればいいのでしょう?中国アメリカインド?世界的にそんなにうまいこといかない。。。今までの頼りだった 中国への輸出量がコロナ後3割減・・・やばくないですか?日本も減ってますが。。そこまでひどくない。(今はインドが一番の便りの綱と言われています)
もちろん中国だけではなくCOVID-19やウクライナ危機など社会要因も見逃すことができません。。。うーん困った・・となれば。。
ほんならもう商売替え!っということでボルドーではぶどうから食用の畜産業兼業野菜果物への転植やなんとオリーブの樹が植えられるようにもなり多様化の波が来ています。オリーブが植えられることはワインの過剰生産(売れない)及び気候変動も影響しているからボルドー地方でも可能になったのですが、このように多要因での環境の変化に対応していますが、オリーブの収穫もあと数年待たなければならないし、
もちろんシャトーなにがしのグランクリュではなく普通の小さなところばかりなので、彼らも副業として昔からのワインツーリズムで頑張っているのです。。
https://www.youtube.com/watch?v=9DThToqBBZo
新トレンドへシフトチェンジ
また、新しい商品開発にシフトする人もいます。一番手っ取り早いのが、蒸留にするという選択。コロナの特需要でアルコールジェルに転換が急がれましたが、今は安定。なぜかジンやラムを作ってる人もいたり、。今一番ホットなのは低やノンアルコール(NOLO)やワインベースのミクソロジーカクテルへの転換も見逃せません。私は個人的にノンアルよりも低アルコールへの方に興味があるのですが。。
まとめ
いかがでしたか?意外と余裕こいてるように見えますが、フランスのぶどう栽培者は結構もがいております。
ご存知の通りワインは工業製品でもなく農業加工品です。天候にも左右されますし、また世界のマーケットにも左右されます。そして、消費者の好みにも左右されます。
最近の一番の大きなブームはノンアルやローアルを無視できない時代がやってきました。大手アルコールコングロマリットたちが(偽善的とはいえ)ノンアルや消費者の体調について考えるようになりました。だってこれから社会全体が高齢化していくのですからみんなが体を考えるのはあたりまえのことでしょう。
この流れはほんとうはコロナ前からあったのですが少数派でしたがコロナ後になってから声も大きくなってきて選択の自由が当たり前の時代になってきました。極論ですがZ世代はお酒を飲まない人がポツポツいます。もちろん飲みますが、私たちの時代のそれとは違うのです。タバコはほとんど吸いません。徹底した禁煙教育のおかげでしょう。もしかしたらお酒もそうなるかもしれません。消費量が先進国でどれだけ減ろうとも、人間はアルコールを飲み続けますが、好みが変わります。そしてどのように作ってどのように売っていくのか?フランスのワインの例を取りあげてみました。
食品産業はどこも大変で気候変動/中国の停滞など人ごとではありません。現場にいるからわかりますが変化に対応するものが生き残る。。ダーウィンの言葉通りかもしれません。。
つぎはZ世代が何を飲んでるかなども調べてレポートします!
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