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脳卒中後の肩亜脱臼に有効な電気刺激療法は?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後の半身不随の肩亜脱臼に対する位置トリガー式電気刺激の効果

Hong J, Jung T, Kim A, Choi H, Lee S, Kim D. Effects of position-triggered electrical stimulation on poststroke hemiparetic shoulder subluxation. Eur J Phys Rehabil Med. 2021 Oct;57(5):677-684. 2.9

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 結論
脳卒中後の肩関節亜脱臼の改善には、ポジショントリガー型ESが有効である可能性がある。

[背景]
肩関節亜脱臼は脳卒中後の頻繁な合併症であり、関節の不安定性、肩の痛み、日常生活動作の低下、リハビリテーションの進行の妨げとなる。電気刺激(ES)は、脳卒中急性期の肩関節亜脱臼の軽減に有効な手段と考えられている。しかし、正確な動きを検出して能動的な筋収縮を誘発する位置トリガー型ESの効果を検討した研究はほとんどない。

[目的]
本研究の目的は、脳卒中後の急性片麻痺性肩亜脱臼を軽減するのに、位置トリガーESが受動的ESよりも効果的かどうかを調べることである。

[方法]
研究設定:大学病院のリハビリテーションセンターを対象とした。
対象者:肩亜脱臼のある脳卒中後の亜急性半身不随患者50名。
方法:患者は無作為に2つのグループに分けられた。
ポジショントリガーES群・・・モーショントリガー用に特別に改良されたNovastim® CU-FS1(CU Medical Systems, Inc.、Gangwon-do, South Korea)を用いて、30分のESセッションを週5日、3週間行った。
受動的ES群・・・モーショントリガーなしで同じプロトコルを受けた。
ベースライン時(T0)、電気刺激終了時(T1)、治療3週間後(T2)に、垂直距離(VD)、関節距離(JD)、相対的VDおよびJD(rVD、rJD)、Fugl-Meyer運動評価の上肢成分(FMA<inf>upper</inf>)、Motricity Index(MI)、Manual Function Test(MFT)、および患部の肩関節外転筋のピークトルク(PT)を評価した。

[結果]
反復測定分散分析の結果、JDおよびrJDに対する時間と介入の間の有意な相互作用が明らかになり、肩の亜脱臼は受動的ESに比べて位置トリガーESで有意に減少したことが示された(P<0.05)。しかし、FMA<inf>upper</inf>、MI、MFT、PTはこの有意性を示さなかった。motion-triggered ES群の(△)JD、△rVD、△rJDの変化は、passive ES群よりもT1で有意に改善した(P<0.05)。この有意な改善はT2では見られなかった。

[結論]
脳卒中後の肩関節亜脱臼の改善には、位置トリガー型ESが受動型ESよりも有効である可能性があるが、この効果は刺激を中止しても維持されなかった。

[臨床リハビリテーションへの影響]
脳卒中後の肩関節亜脱臼の改善には、ポジショントリガー型ESが有効である可能性がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅ポジショントリガー型ESとは、例えば”IVES”のトリガーモードなどだろう。電気刺激療法の中でも種類は様々であるから、それぞれの機器の特徴や設定を理解し臨床応用していきたい。

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その他、脳卒中後の肩関節亜脱臼に関しては過去にシステマティックレビューがなされている。

Lee JH, Baker LL, Johnson RE, Tilson JK. Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis. Clin Rehabil. 2017 Nov;31(11):1431-1444.

Vafadar AK, Côté JN, Archambault PS. Effectiveness of functional electrical stimulation in improving clinical outcomes in the upper arm following stroke: a systematic review and meta-analysis. Biomed Res Int. 2015;2015:729768.

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