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入院時のBBSは、脳卒中患者の退院時の地域歩行を予測することができる

▼ 文献情報 と 抄録和訳

入院時のBerg Balance Scaleは、脳卒中患者の退院時の地域歩行を予測することができる

Liao WL, Chang CW, Sung PY, Hsu WN, Lai MW, Tsai SW. The Berg Balance Scale at Admission Can Predict Community Ambulation at Discharge in Patients with Stroke. Medicina (Kaunas). 2021 May 31;57(6):556.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ 結論
入院時のBBSスコアは、脳卒中患者の退院時の家庭内歩行者と地域内歩行者の予測に用いることができる。

[背景・目的]
脳卒中患者にとって、地域を移動する能力を回復することは意味のある目標である。最近の研究では、6分間の歩行テストで達成した距離(6MWTで205m以上)が、地域歩行の定義として最も適していると推奨されている。これまで、この最新の定義を用いて関連する予測因子を調査した研究はほとんどない。本研究の目的は、入院時の臨床パラメータと退院時の6MWTで測定した地域活動能力との関連を調べることである。もう一つの目的は、入院時のBerg Balance Scale(BBS)のカットオフスコアを見つけ、家庭内歩行者と地域内歩行者を区別することである。

[方法]
本コホート研究では、ポストアキュートケア脳血管疾患プログラムに入室した患者のデータを収集した。多変量ロジスティック回帰を用いて,入院時に測定された地域歩行と関連する有意な予測因子を特定し,受信者動作特性を採用して入院状態のカットオフ値を算出した。本研究に参加したのは120人で、そのうち25%(n=30)が退院時に地域歩行の能力を取り戻した。入院時のBBSは、地域歩行の唯一の有意な予測因子として同定された(オッズ比1.06)。

[結果]
入院時のBBSの最適なカットオフスコアは29であり、退院時の家庭内歩行者と地域内歩行者を識別する際の入院時のBBSスコアの曲線下面積は0.74であった。

[結論]
入院時のBBSスコアは、脳卒中患者の退院時の家庭内歩行者と地域内歩行者の予測に用いることができた。本研究の結果は、臨床医が早期に適切な退院目標を設定するのに役立つと思われる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅この手の研究は沢山あるのだが、改めて、予後予測としてのBBS測定の重要性を示唆している。大切なのはこの知識を『知っている』だけではなくて、臨床で『活用している』ことであるだろう。

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日本人を対象にした研究もあるため紹介します。

Makizako H, Kabe N, Takano A, Isobe K. Use of the Berg Balance Scale to predict independent gait after stroke: a study of an inpatient population in Japan. PM R. 2015 Apr;7(4):392-9.

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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