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失われた感情を求めて<好きへのプロセス2>愛着の感情

このところ、Kとは週に2回のペースで会っていた。
私の「好き」がわかるまでSEXしない約束で。

ある時実験ついでに、普段わざわざやろうとしない、昼間のデートにも挑戦してみた。

展示会デートでツンデレを自覚


1度目は、仕事中のデート。
展示会のVIP券をもらったので、Kに興味ある内容か聞いたところ、ちょうど新しい仕事の内容と重なるとのことで、東京Bigsiteで待ち合わせした。

表面上、以前と同じ同僚の関係に戻った感じで不思議な感じ。お互い、自分に必要な情報を得るために、あちこち動き回っては話を聞いていた。

VIPブースで落ち合って一休みした時のこと。

「そいえば、なんでいつもスーツ着てるのん?」
「俺すっごい服に無頓着で、スーツ以外持ってないですよ。」
「E?パジャマも?(笑)」
「部屋着はボロッボロのやつをず〜っと着てます笑」
「本当に服とか興味ないし、わからないし。何か言われたらその人を買い物に連れて行って、これって言われたものを買う様にしてます。」

「特性わらび餅です〜❣️」
お茶菓子が配られたが、私はファスティング中〜と言って、Kにあげると、美味しそうに2つ平らげていた。

「君ってよく食べるのに、ガリガリだよね。」
「いざという時の為に、普段お腹空かせてるんですよ〜」
「はぁ、なるほどね!」

Kのことがよくわかった。
いつも仕事100%で、あらゆるリソースをその為だけに注いでいる。細かいことは考えず、真っ直ぐに。もちろん営業マンとして仕事中の見た目は完璧なので、私も余計なところは無理に見ない事に決めた。

それはとても潔い生き方と思った。私も男だったらそうしたかった。
でも女はそうはいかない。ガリガリになっちゃったら女としての魅力半減だし、特に年齢を重ねてきたら、健康に気を配らないとどんどん老いていく。服装はどうだろう。やっぱり滅多に人に見せない部分も心地よいものにしておきたいと思ってしまう。

そして後半は一緒にブースを回ったが、やはり私は仕事モードの時、全然Sweetなメスになれなかった。後で、Kに「ほんっと、ツンデレですよね!」と言われたのが妙に腑に落ちた。

カラオケデート 愛着の芽生え


2度目は、長時間ふたりで昼間の時間を過ごすのにカラオケを選び、お昼に近くのコンビニで待ち合わせた。
彼は今日もスーツ姿で現れ、爆笑してしまった。
「マジで今日もスーツなの?!」
「だって〜!それしか無いって言ったじゃん!!!」
8時間分のアルコールと食料を調達していざ乗り込む。

彼はカラオケが数年ぶりと言っていたが、腕は中の上くらいか。
それに、あまり最近の曲を知らない私でもわかる曲を選ぶ優しさがあった。
試しに採点をずっとつけておいたが、いつも彼の方が数点高くて、私は負け続けていた。

B型の私に比べてA型の彼はきっちりお手本を知覚し、アウトプットする能力がある様に感じた。私はというと、パッと見聞きして自分解釈で取り込んでしまう癖がある。つまり、彼の歌がセクシーでエモくて、私の歌より素晴らしい!と言うわけではなく、ただ正確性に優れているのだ。

「〇〇さんて、人の話聞いてないですよね〜」
「なんでそう思う?」
「だってWeb会議とかで、もう説明された事に対して
まるで今初めてって感じで質問するじゃないですか!笑」
図星を突かれた。

会話中に、何かのトリガーワードに興味を持つと、思考が飛んで次々に展開してしまう。そうすると、真面目に聞いてるつもりでも、全体像や結論は捉えていはいるけど、細かいところを聞き逃してしまっている事が、最近わかってきていた。去年、厳しい上司に代わって、そのような細かいことまで、毎日叱咤される様になってやっとのことだが。

こういうところがアスペルガーなのかもしれない。
あるグループ内で診断テストをしたら、私は1、2を争う得点でアスペ判定された。初めはその判定に、どうしよう...と思って落ち込んだ。
そのグループは、自分の中に他との異質性(⇨天才性に発展の可能性)を見出し、伸ばしていこうというものだったので、メンターには「僕らの中では、アスペっていうと羨ましいくらいだから」と誉め?慰められた。

各所でサラリーマンを長年やってきて、ある程度社会性に自信を持っていたが、どうにも能力や経験に見合った評価を一度ももらったことがないのにフラストレーションを感じていた。

カラオケの評価はいつも<安定性>の得点が平均を下回っている。おそらくそんな安定性の無さが、管理職に上がれない要因なのだろう。しかし、人生に安定性をこれっぽっちも求めない自分なのだから、社会で認められうことはもう宿命と思って諦めるしかないではないか。

歌うという行為は人をエモーショナルにする。
私は好みが偏っており、椎名林檎やXJapanで自主的にテンションを上げる。彼が歌う曲のサビだけ知ってて一緒に歌うというのを続けていると、自身の色々な思い出や、作者や歌い手の思いが絡み合って発散、昇華する。自然と2人の興奮度は高まり、その場の気流に任せて、くっついたり離れたり。とても楽しい。

その後、一緒にに帰ってホラー映画を見て、ピロートークしながら眠った。

「好きなの?」
「う〜ん...まだわからない。」

一緒に過ごす楽しい時間や、すべすべで熱のこもった肌の感触はとても心地よく、幸せを感じた。でもまだ好きとは違う。言語化するとまだ<好意>とか<愛着>が近いのよ、説明した。

彼にとっては、好意と好きは同じらしく「好きなんでしょ。もう!」
と拗ねている。拗ねる年下男子を後から抱き締めると、数秒後くるっと向き直ってもうニコニコしながら抱きついてくる。

わんこ的な愛らしさである。
パートナーに対し、わんこと同じ好きで良いのか?
身体が温もりを求めてるだけではないのか?

お昼間デートを通して、ふたり和気藹々の時間を長く過ごしたら、愛着が深まったのは確かだった。そして彼を、いつも飼い主の為に一生懸命愛嬌を振り撒くワンコのように愛おしく感じるのだ。

ちなみに男性に対して可愛いという感じたのは初めてだけど、飴と鞭を自由自在に使えるこの関係性は、思いのほか心地よい。ツンデレと犬の相性は最高かもしれないことを発見した。

従来、私は男性の冷酷な表情に萌えるタイプだった。自分よりSでマスキュランで、仕事をこなし、バスバス決断を下し、戦っている姿を前にして、初めて女になれる気がした。今はほぼ世界中を敵に回してしまったが、有名人の中では、露国の大統領が一番タイプだったくらい。

しかし、今回意外にも、忠犬タイプに対しても女になれる事を発見したわけだ。こういったニッチなマッチングは他にも隠されているかもしれない?!と思うと、ワクワクする。

これを好きにまで高めるにはどうしたら?
実験はまだ続いている。好きの感情は、一体何がトリガーとなって発現するのだろうか。彼を焦らすのも一方で楽しくなってきたので、じっくり検証を続けるのであった。

つづく



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