【脳は忘れたことも覚えていた】忘却は学習の一形態かもしれないぞ

忘却は学習の一形態である可能性に関する新たな研究

神経科学者たちが、「忘却」が学習の一形態である可能性を検証する実験の結果を報告しました。これにより、忘却は単なる「バグ」ではなく、脳の機能的特徴であり、環境の変化に適応する手段である可能性が浮上しました。

記憶の忘却は環境適応の一部か

この新理論によれば、記憶の忘却は環境からのフィードバックや予測可能性に基づいています。特に、変化の多い環境では、過去の記憶を忘れることが有益で、新しい情報を受け入れるためのスペースを確保します。

実験的テストの成果

研究チームは、忘却の一形態である「遡及的干渉」に焦点を当てました。このために、マウスに特定の物体を特定の状況や部屋と関連づけさせ、競合する情報が最初の記憶に影響を与える状況を作り出しました。その後、マウスの脳に「エングラム」と呼ばれる特定の記憶を担当する脳細胞を遺伝子的に標識し、忘却後の記憶の変化を追跡しました。

エングラムの再活性化による記憶の取り戻し

興味深いことに、エングラム細胞を光で刺激する実験を行った結果、失われた記憶が複数の行動場面で取り戻されることが明らかになりました。また、新たな情報を提供することで、忘れられた記憶は再び活性化され、更新されることが示唆されました。

忘却と記憶の関連性を探る新たな展望

この研究により、忘却は単なる情報の消失ではなく、環境変化に適応するための重要なプロセスである可能性が示唆されました。また、アルツハイマー病などの脳の疾患において、忘却プロセスが誤って活性化される可能性があるため、将来的には疾患治療の新たなアプローチを開発するための重要な糸口となるかもしれません。

ChatGPTより作成


忘却という機能は、脳が新しいことを覚えるためにも必要なモノであって、一見困りそうなモノだけれど、ずっと覚えてしまうことで苦しんでいる人も存在していた。

A・R・ルリヤという心理学者の著書「偉大な記憶力の物語」では、新聞記者である男がメモを取らずに仕事をしていたので、記憶力を調べるために研究室にやってきた。この男は無意味な文字列も長くあっても記憶するし、再現することができた。しかし、詩を読んだり、複雑な文章を理解することがとても難しかったという。

記憶を思い出すことは、記憶の海から引っ張り出すことでは無くて、断片からイメージを再生することにあるという。つまり、作り直しているから、記憶の齟齬が生まれてしまう。

エングラムという記憶痕跡を活発にさせると、記憶を思い出すことができる、これを光で刺激すると失われた記憶がよみがえる。つまり、エングラムを刺激して、記憶を思い出すことが再現できるようになったら、認知症や記憶障害で大事なことを忘れてしまったケースにも解決ができそうだ。

これで、もう政治家には「記憶にございません」と言わせないぞ。


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