【新しい身体の錯覚】心の皮膚はスライムで伸ばせるぞ

手足を伸ばせるキャラクターって、どんなのがいたっけと思い出すと、アニメでは怪物くんが浮かんでくるし、ワンピースのルフィもそうだし、ゲームだとスト2のダルシムとか、超絶隣人ベラボーマンとか。

腕を伸ばすって発想はどこから来たんだろうと考えてみると、日常でどうしても手を伸ばしても届かないことが往々にしてあって、そのなかで手が伸びたらいいなと思う気持ちは人類に共通してあるんだろうなと。

そういう風に考えるとマジックハンドって、人類が望んだアイテムだったんだろう。


名古屋市立大学大学院芸術工学研究科の研究グループはかがみの奥に隠れた手の皮膚を引っ張るのと同時、鏡像となるスライムを引き延ばすことによって、自分の皮膚が伸ばされている感覚が得られることを発見した。

近年注目を集めているメタバースなどの仮想空間において、体験者はアバターになり、現実よりも空間的自由度の高い仮想の身体を自由自在に操ることが期待されている。

身体のリアリティを保ったまま変形をさせることができれば、仮想空間の操作性を大幅に高めることが可能であるけれども、心理的に無理のある変形はちょっと難しい。身体への自己同一性を維持することが困難となり、親密性や社会性の構築に支障を来す恐れがある。

今回の研究は2021年に手の皮膚をつまんで引っ張ると同時に、鏡像となるスライムを同じ方向に引き延ばすことで、皮膚が極端に伸ばされた感覚が得られる「スライムハンド錯覚」を発表。2022年2月に新宿で大規模の公開実験をしたところ、95人中91人が皮膚感覚の伸張を強烈に感じるという結果を得た。

引き続き、学内で実施した実験では手の甲の小指側の側面にたいしてスライムハンド錯覚を適用したところ86%の参加者が皮膚が伸びる感覚を強烈に感じたという。身体各部の主観的な1編かを計測したところ、40センチのスライム変形移動にたいして、約29センチほどの最大移動量を記録された一方で、小指の位置の移動量は平均して11センチ程度に留まった。

拡張した身体を操るにも、自分の肉体から物理的イメージを越えた感覚が無いと操作が難しいということ。何気なく使っているこの身体もイメージトレーニングで向上が出来ることは周知のこと。つまりは、そのイメージが変わらない限りは拡張した身体はイメージの外にあるため、何かしらの方法で拡張イメージを確立させないと使いこなせない。

スライムハンドに限った話ではなく、仮想空間なら翼をはやすことだって出来る。でも、翼を使った感覚が無いとただの飾り。仮想空間で空を自在に飛ぶなら、ジェット機を背負った方がイメージがつかみやすいかもしれない。

無難に身体を伸ばす方がより速くなじみそうですね。


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