【腸が呼吸する?】腸呼吸が人間にも備わっているらしいぞ

1989年の「アビス」と言う映画で深い深い深海の中で、劇中にネズミが特殊な液体に沈められながらも生きているシーンがある。酸素を含む液体でその中の酸素が無くならない限り、ネズミは生きていられる。

あの液体はフロリナートというもので、本来は3Mが電子機器の冷却剤の商標で、スパコンを冷却するために使うもの。

酸素を含めることが出来るので、肺の中にみたされれば、しばらくの間溺れることはない。ただ、健康への影響は予想されていないとのことなので、進んでやろうと思ってはいけない。映画では実験用のネズミに使われていたが、全てのネズミは死ぬことも無く、生き残っていたそうで撮影が終わったとはスタッフのペットになったという。

液体呼吸の研究はちゃんとあって、完全に出来れば、潜水が可能になる。肺の中に体外と同じ気圧に等しくならないと肺が潰れてしまうなど、問題はいくらかあるわけで、実用にはまだまだかかりそう。


東京医科歯科大学統合研究機構先端医歯工学創成研究部門の武部貴則教授は腸呼吸によって、マウスや豚などの哺乳類でも、腸呼吸で呼吸不全が改善することを突き止めた。

浣腸の要領で肛門に器具を入れて腸から全身に酸素を送り込むという。腸は吸収が早いので、アルコールを注ぐと簡単に酔っ払うとは聞いたことがあるけれども、酸素も取り込めるとは。

腸呼吸を思いついたのはドジョウが腸呼吸をすることで、ドジョウが毛細血管が密集した腸管後部の粘膜の薄い部位で酸素を取り込んでいる。人間も、肛門付近の直腸に静脈層と呼ばれる豊富な血行があり、粘膜もちょっと薄い。座薬が効くのはこの部分があるから。

というわけで、マウスを致死的な低酸素濃度の環境下で肛門から酸素ガスを注入してみたら、生存率がかなり上がったという。

つづいて、パーフルオロカーボンという液体に酸素を溶け込ませて、マウスに注入。これも生存率が上がった。なお、ブタにも同様に効いたという。

人工呼吸器が必要な重症患者に肺がまともに機能しなくなった場合になったら、直腸からパーフルオロカーボンによって、酸素を送れば生存率が上がるかもしれない。新しい救命手段になるだろうか。可能なら実用化を進めてほしいところ。

これが、もしも実用化できていたのなら、いまごろは志村けんや千葉真一も生存していたかもしれないかな…。


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