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構文の五階層による言霊のデザイン vol.04

監修:大野靖志 / 執筆:寺内輝治

視点が階層を自在に上下する

前回は、「理不尽な理由で上司に叱られている」という状況をもとに、構文の五階層を作成しました。改めて各階層を見てみましょう。

五階層構文

最初のステップである一人称構文は個人の主観にもとづくものであり、自己中心的な不満などが入ります。この階層には、まだ客観的な視点は含まれていません。

次のステップである他人称構文では、自己の心情という枠から離れて、他者の心情へと思いを向けることから、一人称構文に対する客観視になります。自分のことで精一杯になった思考や感情から離れる段階です。

さらに、複合一人称構文では、自己と他者(あるいは自己と世界)との関わり全体を客観視することで、自分がそこにどういう心情を抱いているのかを捉え、存在する問題に意識を向けていきます。

この階層では、自己と他者がある程度統合された視点で記述されるため、思いやりの心が生じる土台になります。ただ、この段階では依然として視点が自己にあるため、その思いやりの心が実際の問題解決に繋がることは少ないでしょう。

さて、次の優先構文から、望む現実を引き寄せる自己と世界のデザインの段階になります。

優先構文とは、問題に囚われている階層を離れて、第三者の視点から問題全体を眺め、どう行動すべきかを見出す視点といえます。

そして、最後の自在構文では、問題を解決したり望みを叶えたりといった、構文の五階層の目的からも離れた視点に立って、ここまでのステップ全体を客観視することになります。

これはある意味で、神の視点をもって自己と世界を見ることを意味しています。そして、そこまで拡大した視点に立ったうえで、自己と他者(あるいは自己と世界)について、その存在のあり方を再定義しているのです。この再定義なしに自己と世界のデザインは決して成し得ないでしょう。

構文の五階層を文章化する

では、五階層を通して自分を客観視したうえで、総仕上げとして、それぞれの段階で作成した構文を組み合わせてひとつの文章にしてみましょう。

「真面目に仕事をしているのに叱られるなんて腹が立つ。上司は私の容姿が気にくわないという理由で私に怒りを感じているに違いない。
そのような理由で叱られることに腹が立つが、そんな感情に振り回されるのもうんざりだ。だから、上司の愚かさに怒るのではなく、上司を哀れに思うぐらいの心の余裕を持ったほうがよい。
そうだ、理不尽な理由で怒ることは愚かなことなのだから、そんなことに振り回されるのはもっと愚かなのだ。」

通常、何かを願うというということは主観的な行為であり、言い換えれば、自己中心的な視野に立つ行為だといえます。しかし、私たちは他者との繋がりのなかで生きており、社会のなかにおける役割や天地自然との関わり抜きに存在しているわけではありません。個人とは独立した存在ではなく、人々のネットワークや世界の中に包含された存在なのです。

そこで、構文の五階層における客観視では、個人の主観からいったん離れて、他者との関係性における自己の姿をありのままに捉えていくことになります。

そのプロセスを経て、各階層の構文をひとつの文章にまとめるわけですが、ポイントは、自分のマイナス面を隠すことなく、それを表に出して認めることにより、次の階層に上がるきっかけを作っているところにあります。

つまり、階層の内容を確定させるということです。そうすることで、自分から逃げることなくありのままを客観視し、臆することなく自身をもって言葉による表現ができるようになるのです。この点で、プラス思考におけるアファメーションと根本的に異なるのです。

七沢賢治氏は、このような構文を自分で作成して実際に唱えることで、新しい現実を創造することができるといいます。

構文の五階層は言霊(=言語エネルギー)を現代的な文脈で理解し、かつその力を体感するための強力な手段なのです。

次回から、家庭や恋愛など、日常で遭遇するさまざまなケースを構文の五階層で紐解いていきます。


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【寺内輝治のプロフィール】
Parole編集員。
中学2年生まで友だちとラケットベースボールやパソコンゲームに熱中する元気な子どもだったが、ある日、教室で奇妙な白昼夢を見て以来、「何のために生きているのか」を自分に問うようになる。
大学時代、周囲と同じように就職活動をすることに強い抵抗を感じ、翻訳で生計を立てるべく専門学校で学ぶ。
しかし、一度社会で揉まれる必要性を感じ、セールスプロモーションの会社に就職。イベントや展示会の企画運営、印刷物やWEBサイトの制作などに10年間携わる。
ホメオパシーに出会い、その魅力に取り憑かれてホメオパシー関連の会社に就職。タマネギの皮がむけていくような内面の変化を体験する(周囲から変わったと指摘される)。
その後、フリーランスとしてデザインや翻訳などをこなすなかで、「何のために生きているのか」という問いが爆発しそうになっていたとき、七沢研究所と出会い、その答えを見いだす。
2018年に京都から甲府に引っ越し、心身ともに健やかな毎日を過ごしている。



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