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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑥ 日々の読書会 『日々の読書会通信 vol.0』(東京都目黒区)

COLLECTIVE の魅力のひとつに、自分では手に取らないであろう、読まないであろう ZINE との出会い = つまり未知の世界との出会いがあります。そもそも出版というバイアスがかかっていない ZINE というメディア自体が未知だし、参加にあたっての『チェック』や『審査』というものが存在しないので、内容がわからない未知の状態で納品されます。そしてそのすべてに目を通すことにしているので、そこに出会いが生まれます。

自分の「好き」に正直になることももちろんいいことだけれど、個人的に日頃から「自分の居心地のいいところばかりにいると成長できない」と思っているので、自分が本屋に行ったら、もしくは ZINE のイベントに行ったら手に取らないだろうなという ZINE との出会いはとても大事にしています。

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公募するにあたって最初に作ったこのキービジュアルはスタンリー・キューブリックの名作『2001年宇宙の旅』に出てくるモノリスです。「自分の好きとか嫌いとかじゃなく、好奇心で触れたその ZINE は、私たちを進化させるであろう」というわけです。

何時間かけてもらってもいいので、じっくり1冊1冊、ZINE に触れてみる休日を作ってみるのもいいかもしれませんね。椅子もビールもありますので。

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2016年から継続する読書会の活動報告を中心に、暮らしの中にある読書と、本を通じて思考する場について想いを巡らせた、ささやかな記録です。

東京から参加の鈴木知子さんの企画・編集による ZINE『日々の読書会通信』はまさにモノリス。2016年からはじまった『読書会』のレポートと楽しみ方、常連さんたちによる対談を気持ちのいいデザインでまとめた一冊。まったく読書をしない僕にとっては未知の世界。モノリスのまわりをうろつく猿状態だったのだけれど、これを機に「タッチ」してみた。

新しい『視点』に気づくことが大事なんです。

読書会の唯一の参加条件は『課題図書を読了してること』。決められた課題図書(2020年の2月までで全10回、10冊)を読んで、感想や考察を持ち寄って、解釈の違いや、共感を楽しむ。ビジュアライズされている映画ではなかなかそういうわけにはいかないかもしれない。言葉から連想する景色はきっとみんな違うし、意見の食い違えば起これば起こるほど読書会は盛り上がる、と対談でも語られているように、多様な読み手による多様な読み方が、新しい『視点』を生み出す。著者の首根っこをつかまえて正解を導き出すのが目的ではなく、共感できることが正しいわけではなく、理解しようとする『姿勢』と新しい『視点』に気づくことが大事なんだということがわかる。これは本だけに限らず理解しようとする姿勢と、新しい視点の導入は何事においてもとても大切。読書はしないけれど毎朝新聞を2紙、比較するように読んでいて思うのは、社会とは理解と視点の許容だなと。鈴木さんが言う『知的好奇心をくすぐる社交』とはまさに。『読書会』という体験を通じて社会におけるコミュニケーションの『あり方』を探そうとしているのかも。

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デザインも文章も、『本好き』が作っているなあとわかるくらい読みやすいです。読書会や本に興味あるひともない人も、一度手に取ってみるといいと思いました。

進化しました。

ちなみに、パークギャラリーでも月1で読書会のようなことをやってみたことがあります。各テーマに合わせて(例えば「ロマンチック」とか)それぞれが本を持ち寄ってプレゼンをするという回でした。しかもお酒と料理を楽しみながら。思い返すと、誰かが紹介されていた本よりも、お酒の楽しさや料理のおいしさ、みんなの笑顔のほうが記憶に残ってる。『日々の読書会通信』のあとがきにも打ち上げのごはんのことが書かれてて、本を通じて交流するというのは、シミジミ日々の暮らしを豊かにするものなのだと知りました(進化しました)。


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


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作家名:日々の読書会(東京都目黒区)
2016年より有志で読書会を企画・開催している。
https://twitter.com/daily_readin
【 地域のオススメ 】
① SUNNY BOY BOOKS … ステキなzineやリトルプレスに出会える。
http://www.sunnyboybooks.jp

② AWORKS … 美味しいカレーとカラフルなチーズケーキが食べられる。
https://twitter.com/AzzurroCafe?s=20

③ Maison romi-unie … 店内で丁寧に手作りされた焼き菓子が買える。
https://www.romi-unie.jp

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